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16 添い寝
「どうしました?寝不足ですか?」
セラフィリーアの小さな欠伸に気付きアイヴィスは声を掛けた。
「すみません、少し寝不足で…」
「生活が変わったのだから仕方ない。ゆっくりと休んでいいですよ?」
ファレナスからアルトリアに来て直ぐ、そんなに繊細でないつもりだったが、眠りが浅いのには気付いていた。
侍従にホットミルクを用意して貰ったり、ゆっくりと湯船に浸かったり、少し長めに散歩をしたりとしているのに、寝台に入ってもなかなか眠りはやってこない。
「いえ、大丈夫です…こんなじゃいけないのはわかっているのですが」
家族と離れたからだろうか。
「眠りは全てに繋がるからな…私で良ければ添い寝でもするか?他人のぬくもりがあった方が寝られる場合もあるしな…どうだ?」
断られるだろうと提案したアイヴィスだったが、意外にもセラフィリーアは考える様子を見せる
「あの、アイヴィス様のお邪魔にならなければ…お願いしても?」
「あ、あぁ構わないが…私がそちらに行こう。早めに仕事を終えるようにして行くが、少し遅くなりそうだ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうな満面の笑顔を見せたセラフィリーアに、アイヴィスは大丈夫だろうかと不安になる。
だが、仕方ない。
言い出したのは自分からなのだからと手元の書類を決裁する。
まぁ、これでセラフィリーアとの距離が近くなるのならば良かったのだろう。
できれば添い寝から先にも…と、アイヴィスは無言で思ったとか思わないとか。
その夜、遅い時間にカンテラを手に現れたアイヴィスをセラフィリーアは招き入れる。
軟らかく肌触りの良い薄い夜着で、窓際に置いた椅子に座りながらセラフィリーアはカップを片手に外を見ている。
「風邪を引きますよ?」
後ろからそっと抱き締めると、セラフィリーアの髪からは優しい花の香りがした。
「すみません、アイヴィス様…来ていただいて。アイヴィス様もホットミルクを用意しましょうか?」
綺麗な指でカップを包むようにしたセラフィリーアが、振り返りながら上を向いてくる。
ちらりと見える首筋から鎖骨へのラインは妙に艶かしい。
「大丈夫、それより遅くなってすみません。寝台に入りましょうか」
手にしていたカップをそっと持ち上げてテーブルに置くと、セラフィリーアを抱き上げる。
数歩歩くと寝台にそっと下ろしてから、天蓋を引くと軟らかな明かりだけが部屋に満ちた。
「こっちへ」
セラフィリーアの隣にアイヴィスは潜り込むと、促すように手を開いてセラフィリーアを誘い、セラフィリーアの意思で腕の中に収まるようにさせた。
「これでどうでしょう」
抱き締めるようにしながら、他愛のない会話をしていると、次第にセラフィリーアの瞼が落ちていく。
深く眠れるといいなと、アイヴィスはそっとセラフィリーアの額にキスを落とした。
セラフィリーアの小さな欠伸に気付きアイヴィスは声を掛けた。
「すみません、少し寝不足で…」
「生活が変わったのだから仕方ない。ゆっくりと休んでいいですよ?」
ファレナスからアルトリアに来て直ぐ、そんなに繊細でないつもりだったが、眠りが浅いのには気付いていた。
侍従にホットミルクを用意して貰ったり、ゆっくりと湯船に浸かったり、少し長めに散歩をしたりとしているのに、寝台に入ってもなかなか眠りはやってこない。
「いえ、大丈夫です…こんなじゃいけないのはわかっているのですが」
家族と離れたからだろうか。
「眠りは全てに繋がるからな…私で良ければ添い寝でもするか?他人のぬくもりがあった方が寝られる場合もあるしな…どうだ?」
断られるだろうと提案したアイヴィスだったが、意外にもセラフィリーアは考える様子を見せる
「あの、アイヴィス様のお邪魔にならなければ…お願いしても?」
「あ、あぁ構わないが…私がそちらに行こう。早めに仕事を終えるようにして行くが、少し遅くなりそうだ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうな満面の笑顔を見せたセラフィリーアに、アイヴィスは大丈夫だろうかと不安になる。
だが、仕方ない。
言い出したのは自分からなのだからと手元の書類を決裁する。
まぁ、これでセラフィリーアとの距離が近くなるのならば良かったのだろう。
できれば添い寝から先にも…と、アイヴィスは無言で思ったとか思わないとか。
その夜、遅い時間にカンテラを手に現れたアイヴィスをセラフィリーアは招き入れる。
軟らかく肌触りの良い薄い夜着で、窓際に置いた椅子に座りながらセラフィリーアはカップを片手に外を見ている。
「風邪を引きますよ?」
後ろからそっと抱き締めると、セラフィリーアの髪からは優しい花の香りがした。
「すみません、アイヴィス様…来ていただいて。アイヴィス様もホットミルクを用意しましょうか?」
綺麗な指でカップを包むようにしたセラフィリーアが、振り返りながら上を向いてくる。
ちらりと見える首筋から鎖骨へのラインは妙に艶かしい。
「大丈夫、それより遅くなってすみません。寝台に入りましょうか」
手にしていたカップをそっと持ち上げてテーブルに置くと、セラフィリーアを抱き上げる。
数歩歩くと寝台にそっと下ろしてから、天蓋を引くと軟らかな明かりだけが部屋に満ちた。
「こっちへ」
セラフィリーアの隣にアイヴィスは潜り込むと、促すように手を開いてセラフィリーアを誘い、セラフィリーアの意思で腕の中に収まるようにさせた。
「これでどうでしょう」
抱き締めるようにしながら、他愛のない会話をしていると、次第にセラフィリーアの瞼が落ちていく。
深く眠れるといいなと、アイヴィスはそっとセラフィリーアの額にキスを落とした。
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