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1章 旅立ち
1-21話
「あ、あの子……足を痛めている?」
平地に降り立った小隊の中の1匹、赤い鱗に水色の目をした小柄な飛竜が、少し足を引き摺るような仕草を見せた気がした事が気になって口から言葉が溢れる。
「王子様、どの個体ですか?」
「あの、瞳が水色の……」
「少しお待ちを」
ネイトが手を上げると、赤騎士の1人が近寄ってくる。
「セラフィリーア王子、こちらは副団長のひとりルシウスです」
「初めましてセラフィリーア王子、副団長のルシウスと申します」
お見知りおきをと、笑った騎士はセラフィリーアより頭1個分は大きいのではないだろうか、がっしりとした体格としっかりと短く刈り込んだ鮮やかなオレンジの髪が印象的な偉丈夫だった。
「初めまして、本日は急な訪問をさせていただきまして、ありがとうございます」
「いえ、で、ネイト副団長の話ですと、隊の中に怪我をした飛竜が居ると?」
「怪我かどうかはわかりませんが、そのように見えただけです。違うといいのですが」
ルシウスを見上げながらそう告げると、輪の中にいる先程の飛竜に視線を移した。側にいるのは契約を交わした騎士だろう、何やら慌てた様子で何かをしている。
「やはり、怪我をしていたようですね…今、薬などが運ばれるでしょうが、ルシウス…セラフィリーア王子がそれに気付いたのは、竜が空にあるときだったのです」
「はぁ?」
ルシウスがすっとんきょうな声を上げた。
どうして?と、セラフィリーアが首を傾げるとネイトが苦笑する。
「王子様、飛竜が空を駆ける時は、足は使いません。背中の翼で滑るように進みます。
空を駆ける時に足に力は入りませんから、痛めていることは隣を駆ける騎士にもわからないのです」
地上で歩かないと、足の不具合には気付かないだろうとのこと。
ネイト副団長も半信半疑だったようだが、そのあと慌てた騎士の行動にやはり痛めているのだと確信したようだ。
「他にもわかりますか?」
そう聞かれてもう一度飛竜達を見る。
「あの子……目がオレンジの……少し羽……左が曲がっています?」
「あぁ、あれは2年前に痛めた翼がやっと感知してきたと報告を受けた個体だ」
ほうと、ルシウスが驚いたように目を見開く。
「それと、右の手……が曲がりにくいのかな、黄緑の目の子です」
「それにしても良く目の色まで見えますね…私達は目の色を聞いて、誰の個体かわかるのでその個体を探せますが……」
ネイトも、感心したようにポツリと呟いた。
「えぇ、目は良いので…田舎者ですから」
誉められたと、ふふっと笑うも、何故かセラフィリーアは昔から目が良かった。
草むらのウサギや、山間部にいる山羊など、兄達と競っても見付けるのは負けたことがない。
「セラフィリーア様、この事は陛下にお伝えしても?」
「え、はい…」
ネイトに、何かアイヴィスに伝えなければならないようなことがあるかと不思議そうにしながらも、困らないだろうと頷いた。
平地に降り立った小隊の中の1匹、赤い鱗に水色の目をした小柄な飛竜が、少し足を引き摺るような仕草を見せた気がした事が気になって口から言葉が溢れる。
「王子様、どの個体ですか?」
「あの、瞳が水色の……」
「少しお待ちを」
ネイトが手を上げると、赤騎士の1人が近寄ってくる。
「セラフィリーア王子、こちらは副団長のひとりルシウスです」
「初めましてセラフィリーア王子、副団長のルシウスと申します」
お見知りおきをと、笑った騎士はセラフィリーアより頭1個分は大きいのではないだろうか、がっしりとした体格としっかりと短く刈り込んだ鮮やかなオレンジの髪が印象的な偉丈夫だった。
「初めまして、本日は急な訪問をさせていただきまして、ありがとうございます」
「いえ、で、ネイト副団長の話ですと、隊の中に怪我をした飛竜が居ると?」
「怪我かどうかはわかりませんが、そのように見えただけです。違うといいのですが」
ルシウスを見上げながらそう告げると、輪の中にいる先程の飛竜に視線を移した。側にいるのは契約を交わした騎士だろう、何やら慌てた様子で何かをしている。
「やはり、怪我をしていたようですね…今、薬などが運ばれるでしょうが、ルシウス…セラフィリーア王子がそれに気付いたのは、竜が空にあるときだったのです」
「はぁ?」
ルシウスがすっとんきょうな声を上げた。
どうして?と、セラフィリーアが首を傾げるとネイトが苦笑する。
「王子様、飛竜が空を駆ける時は、足は使いません。背中の翼で滑るように進みます。
空を駆ける時に足に力は入りませんから、痛めていることは隣を駆ける騎士にもわからないのです」
地上で歩かないと、足の不具合には気付かないだろうとのこと。
ネイト副団長も半信半疑だったようだが、そのあと慌てた騎士の行動にやはり痛めているのだと確信したようだ。
「他にもわかりますか?」
そう聞かれてもう一度飛竜達を見る。
「あの子……目がオレンジの……少し羽……左が曲がっています?」
「あぁ、あれは2年前に痛めた翼がやっと感知してきたと報告を受けた個体だ」
ほうと、ルシウスが驚いたように目を見開く。
「それと、右の手……が曲がりにくいのかな、黄緑の目の子です」
「それにしても良く目の色まで見えますね…私達は目の色を聞いて、誰の個体かわかるのでその個体を探せますが……」
ネイトも、感心したようにポツリと呟いた。
「えぇ、目は良いので…田舎者ですから」
誉められたと、ふふっと笑うも、何故かセラフィリーアは昔から目が良かった。
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「セラフィリーア様、この事は陛下にお伝えしても?」
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