【BL】空と水の交わる場所~ゲーム世界で竜騎士になりました。

梅花

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1章 旅立ち

1-25

「ルディアスありがとう。卵のところに行ってくる」

「セラ、行こう」


アイヴィスに促され、ルディアスの手の中から地上に降り立つと、少しだけふらりと身体が傾ぐ。


「危ない」

「すみません、大丈夫ですから」


アイヴィスに抱き留められると少し動きを止めて細く息を吐いてから、大丈夫の意味を込めてアイヴィスの腕に触れると、すうっと揺れている感覚が抜けていく。
ルディアスの頼んだと言う声に頷きを返してから強張っていた身体から力を抜く。


「ほぅ…」


無意識に口から溢れた吐息を拾ったのか、アイヴィスがクスクスと笑う。
笑われると、少し恥ずかしくてセラフィリーアは目を伏せた。
そっと取られた手を引かれて卵の建物へ向かうと、その前と後ろを飛竜騎士が固める。
少し物々しいと思いながらも希少な卵の所へ入らなければならないからだと理解する。


「陛下…ディアはあぁ言ってたけれど、私が触れていいものでしょうか…」


アルトリアの騎士が憧れる飛竜騎士。
誰でも飛竜の卵が持ち込まれると契約をしたいと触れに来るくらいなのだ。
そんな大事なものに他国の人間が触れるのを良しとするわけがない。


「問題ない。
ルディアスが、触れて欲しいと言うくらいだ。
普段、飛竜達はそんなことを口にすることはないからな…どんな結果になろうとも、アルトリアは全てを受け入れる。
そのために私が来た」


何かがあれば王の責任だとアイヴィスは言外に告げる。

先程見た扉から、アイヴィスと一緒に中に入るとほわりと外気よりも暖かった。
柔らかい布の上に置かれた卵。
その形を見ただけで、何故か無性に愛しい。
扉の向こうでは感じなかった感情に、どうしてだろうと不安になる。


「陛下、何か触れる前に祝詞などが必要ですか?」


ただ、触れるだけでいいのか。
アルトリアの作法など知らない。
ちらりとアイヴィスを見上げると、アイヴィスは左右に頭を振り、セラフィリーアの手に触れる。


「気にしなくていい。思うように触れてみてくれ」


そう言われてセラフィリーアが触れたのは、2つのうち、少し小さな卵だった。
抱けばすっぽりと腕に収まるサイズ。
指先からゆっくりと掌全体で触れるようにすると、掌で小さな鼓動を感じるような気がした。


「あたたかい…」


あたたかく感じた卵が、ふるりと震えた気がして驚きセラフィリーアは手を離す。
それと同時に卵に小さなヒビが入り、中から少しずつ殻が崩れた。


「えっ…」


ゆっくりと割れていく卵。
その中から現れたのは角と瞳と爪に金を穿く純白の個体だった。
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