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7章 記憶
7-1
漸く寝台から降りることができるようになって、部屋のなかを自由に歩く許可が出ると、セラフィリーアは良く窓辺に置かれた椅子に腰掛け、ゆったりと身体を休めながら外を見ていた。
窓を開けてもらい、白いレースのカーテンがはためくように風を入れる。
暖かくなってきた風を感じながら。
こうして動けるようになってから、此所はファレナスではなく、アルトリアという国だと聞いた。
不慮の事故で最近の記憶を無くしているが、アルトリアには留学をしに来ていること。
あの事故から3年の月日が経ったこと。
沢山の新しい情報に頭のなかが飽和状態でくらくらとしている。
ぎゅっと、目を閉じると瞼の裏にはいくつもの映像が浮かび上がった。
「綺麗」
ゆっくり目を開くと遠くでは飛竜が騎士を背中に乗せて空を駆けている。
遠目でもわかる優美な姿。
鮮やかな色彩。
時折混ざる金は上級色の証であり、隊長以上の階級が主だ。
「もっと近くで見てみたい……」
セラフィリーアは何度も頼んだが、なかなか受け入れて貰えない。
通常の人には危険だからと言われている。
1度だけ、白い飛竜が窓際を飛んだ事がある。
精悍な顔立ち。
引き締まった体躯。
それを見た瞬間、何故か涙が溢れたのは、その荘厳な姿だからだろう。
早く歩けるようになって、あの竜達が飛び交う近くまで行きたい。
それにはしっかりと食べて体力をつけてからでないといけないと、セラフィリーアは軽く手を握る。
服で隠れてはいるが、アスランに身体を拭いて貰う度に浮き出た肋骨や手足の筋が嫌でも目に入る。
アスランは筋肉でなく脂肪でも構わないというが、少し食べ過ぎてしまうと身体が辛くなる。
困ったなと笑いながら、用意されたお茶を飲む。
ふわりと甘く花が香るお茶はファレナスの物で、懐かしい。
添えられた焼き菓子はファレナスの物ではなかったが、何故か懐かしく優しい味がした。
少しずつ覚えることと思い出す事がある。
「アイヴィス……様」
窓際に置かれた小さな花瓶の中が毎日変わっているのは、アイヴィスが送ってくれるからだとアスランが言った。
アスラン以外にもリオルが侍従としているのたが、やはり何だか慣れないため、アスランにばかり負担が行ってしまうのが申し訳なく思う。
ファレナスではできることは自分でするため、誰かに何かを頼むのが得意ではなく、だからといって今の自分は何もできないのだ。
お荷物なのだとわかってはいる。
早く本当の自分を取り戻したい。
もやもやした気持ちのままただ窓から外を見るだけだった。
窓を開けてもらい、白いレースのカーテンがはためくように風を入れる。
暖かくなってきた風を感じながら。
こうして動けるようになってから、此所はファレナスではなく、アルトリアという国だと聞いた。
不慮の事故で最近の記憶を無くしているが、アルトリアには留学をしに来ていること。
あの事故から3年の月日が経ったこと。
沢山の新しい情報に頭のなかが飽和状態でくらくらとしている。
ぎゅっと、目を閉じると瞼の裏にはいくつもの映像が浮かび上がった。
「綺麗」
ゆっくり目を開くと遠くでは飛竜が騎士を背中に乗せて空を駆けている。
遠目でもわかる優美な姿。
鮮やかな色彩。
時折混ざる金は上級色の証であり、隊長以上の階級が主だ。
「もっと近くで見てみたい……」
セラフィリーアは何度も頼んだが、なかなか受け入れて貰えない。
通常の人には危険だからと言われている。
1度だけ、白い飛竜が窓際を飛んだ事がある。
精悍な顔立ち。
引き締まった体躯。
それを見た瞬間、何故か涙が溢れたのは、その荘厳な姿だからだろう。
早く歩けるようになって、あの竜達が飛び交う近くまで行きたい。
それにはしっかりと食べて体力をつけてからでないといけないと、セラフィリーアは軽く手を握る。
服で隠れてはいるが、アスランに身体を拭いて貰う度に浮き出た肋骨や手足の筋が嫌でも目に入る。
アスランは筋肉でなく脂肪でも構わないというが、少し食べ過ぎてしまうと身体が辛くなる。
困ったなと笑いながら、用意されたお茶を飲む。
ふわりと甘く花が香るお茶はファレナスの物で、懐かしい。
添えられた焼き菓子はファレナスの物ではなかったが、何故か懐かしく優しい味がした。
少しずつ覚えることと思い出す事がある。
「アイヴィス……様」
窓際に置かれた小さな花瓶の中が毎日変わっているのは、アイヴィスが送ってくれるからだとアスランが言った。
アスラン以外にもリオルが侍従としているのたが、やはり何だか慣れないため、アスランにばかり負担が行ってしまうのが申し訳なく思う。
ファレナスではできることは自分でするため、誰かに何かを頼むのが得意ではなく、だからといって今の自分は何もできないのだ。
お荷物なのだとわかってはいる。
早く本当の自分を取り戻したい。
もやもやした気持ちのままただ窓から外を見るだけだった。
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