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本編
569話
あれから、船からいかりを降ろし停泊させて夜を明かした。
朝日が昇ると、お父さんの号令で船はまた進み始める。
空は高く風は無風。
ガガッと、音がするのは船にのせてある回転輪を動かしている。
ゆっくりゆっくり滑るように船は進んでいく。
「ママ、あとどのくらいでシャーラにあえるかなぁ」
ライがくいくいとシャツの裾を引っ張った。
「どうかなぁ、お昼くらいには着くかな?」
ひょいとライを抱き上げてそっと甲板を歩く。
丸一日経ったから大丈夫だろうと思いながらも、やはり何処かから這って出てこないかヒヤヒヤしていた。
「ライはシャーラが好き?」
「すき、おはなししてくれるの」
「どんな?」
「んーとね、おひさまきもちいいねとか、あめがふるよとか、とりさんがあそんでるよとかかなぁ」
「そっか。ママはシャーラの声が聞こえないから、今度教えてね?喉乾いたとか言ったらたくさんお水飲んでもらいたいし……」
「うん、るすもきこえてるんだよ……シャーラかわいいねぇ」
「そうだね、ライの弟みたいなものだもんね」
ニコニコ笑うライが頬擦りをしてくれるので、俺はチュッとライの頬にキスをした。
小さな丸い耳がふるふる揺れる。
レヴィにそっくりなライ。
こんな子供だったのだろうかと思いながらライを抱き締めた。
ルスもライも甘えたがりだが、ライの方が俺にべったりな気がしてはいる。
現に、ルスはリルと船内を駆け回っているだろう。
「失礼します」
俺はそっと操舵室へ足を踏み入れた。
舵をとっているのは船長であるお父さん。
「じぃじ、おふねみせて」
ライは、船の操舵に興味があるようで俺はライにお仕事の邪魔をしないならと約束をしてここに来た。
「お父さんすみません、俺が抱いていますからライに船の中を見せてもいいですか?」
そう問い掛けるとルーファスさんは頷いた。
「ライを降ろして構わない、その代わり入口は全て閉めて外に出ないようにな」
「あ、ありがとうございます」
俺は手近な椅子にライを座らせると、少しの間ここにいてと言い、入ってきた扉と反対側の扉を閉めた。
「無いとは思うが、何かでライが転げ出るとも限らないからな」
「はい、大丈夫です」
俺はしっかりと閉まったのを確認した。
「ライ、じぃじのところにおいで。舵を触ってみるか?」
「うん!」
ぴょんと椅子から降りたライは一目散にルーファスさんへと駆け寄った。
ゆらゆら揺れる船の上を難なく走れるのはやはり獣人。
ルーファスさんが掴んでいた丸い輪の舵を、ライは嬉しそうに触る。
ルーファスさんはライを抱き上げ肩車をして舵取り方法を教えながら窓の外を見させた。
遠くに見える山々の形などを教えながら、船は漸く湖に入った。
もう港は遠くに見えている。
もうすぐで帰れるのだと俺は漸く実感した。
朝日が昇ると、お父さんの号令で船はまた進み始める。
空は高く風は無風。
ガガッと、音がするのは船にのせてある回転輪を動かしている。
ゆっくりゆっくり滑るように船は進んでいく。
「ママ、あとどのくらいでシャーラにあえるかなぁ」
ライがくいくいとシャツの裾を引っ張った。
「どうかなぁ、お昼くらいには着くかな?」
ひょいとライを抱き上げてそっと甲板を歩く。
丸一日経ったから大丈夫だろうと思いながらも、やはり何処かから這って出てこないかヒヤヒヤしていた。
「ライはシャーラが好き?」
「すき、おはなししてくれるの」
「どんな?」
「んーとね、おひさまきもちいいねとか、あめがふるよとか、とりさんがあそんでるよとかかなぁ」
「そっか。ママはシャーラの声が聞こえないから、今度教えてね?喉乾いたとか言ったらたくさんお水飲んでもらいたいし……」
「うん、るすもきこえてるんだよ……シャーラかわいいねぇ」
「そうだね、ライの弟みたいなものだもんね」
ニコニコ笑うライが頬擦りをしてくれるので、俺はチュッとライの頬にキスをした。
小さな丸い耳がふるふる揺れる。
レヴィにそっくりなライ。
こんな子供だったのだろうかと思いながらライを抱き締めた。
ルスもライも甘えたがりだが、ライの方が俺にべったりな気がしてはいる。
現に、ルスはリルと船内を駆け回っているだろう。
「失礼します」
俺はそっと操舵室へ足を踏み入れた。
舵をとっているのは船長であるお父さん。
「じぃじ、おふねみせて」
ライは、船の操舵に興味があるようで俺はライにお仕事の邪魔をしないならと約束をしてここに来た。
「お父さんすみません、俺が抱いていますからライに船の中を見せてもいいですか?」
そう問い掛けるとルーファスさんは頷いた。
「ライを降ろして構わない、その代わり入口は全て閉めて外に出ないようにな」
「あ、ありがとうございます」
俺は手近な椅子にライを座らせると、少しの間ここにいてと言い、入ってきた扉と反対側の扉を閉めた。
「無いとは思うが、何かでライが転げ出るとも限らないからな」
「はい、大丈夫です」
俺はしっかりと閉まったのを確認した。
「ライ、じぃじのところにおいで。舵を触ってみるか?」
「うん!」
ぴょんと椅子から降りたライは一目散にルーファスさんへと駆け寄った。
ゆらゆら揺れる船の上を難なく走れるのはやはり獣人。
ルーファスさんが掴んでいた丸い輪の舵を、ライは嬉しそうに触る。
ルーファスさんはライを抱き上げ肩車をして舵取り方法を教えながら窓の外を見させた。
遠くに見える山々の形などを教えながら、船は漸く湖に入った。
もう港は遠くに見えている。
もうすぐで帰れるのだと俺は漸く実感した。
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