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本編
217話
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その夜は花が落ちることは無かった。その次も、またその次も。
小さいけれども美しい花は実を付けずに咲いている。
どうして?
過去の記録を読むと、花が落ちるのにかかる時間は3日ほどだという。
それにしても長い時間咲いている。
日参するつもりでいたが、俺は心配になり王妃の望みもあって王宮の隅っこの部屋を借りた。
そして日中一時間に一度、聖樹の幹に触れることが仕事になった。
触れた時にだけふるりと聖樹が反応を示す。
「今日もまた元気が無いね……大丈夫かな」
聖樹に話し掛けながらそっと木の幹に触れる。
ゴツゴツとした硬い手触り。
「リクト、いつも申し訳ないわね……」
背中から掛かった声に振り向く。
「王妃様」
優しい桃色のドレスを纏った王妃様が立っている。
「大丈夫リクト、頻繁に来てくれていると聞いているわ」
「頑張っている聖樹の力になれるなら全然大丈夫です」
焦りを顔に出さない王妃様に、胸が痛くなる。
「無理はしないで?貴方の命が大切よ、この子はきっと恥ずかしがりやなのね、だからなかなか顔を見せてくれないもの」
「そうかもしれませんね、でもミラもそうでしたし……でもきっと可愛い子が生まれてくださいますよ」
俺の心からの気持ち。
頑張れ、頑張れ。
俺ができることは少ないけれど、生まれれ来る子もその親も幸せになって欲しい。
「王妃様も触れてあげてくださいきっと喜びますよ」
王妃様の手が躊躇い、それでもそっと聖樹の幹に触れた瞬間、その花弁がはらりと落ちて花の根元に小さな実がポチっと膨らんだ。
「えっ……」
「リクト!」
「誰か王様にお知らせを!」
俺が走ってもいいけれど、何処に王様がいるかわからない。
声を上げると遠くに控えていた侍従だろうか、くるりと踵をかえし走って行った。
「王妃様、おめでとうございます。実が付きましたから後は大きくなるのを待ちましょうか、もうすぐですよ」
落ちてしまった花を拾い上げるとそっと王妃様に手渡す。
「記念に栞でも作られますか?」
まだ、枯れて落ちたわけではないため、美しい形を保っているのだ。
「えぇ、ええ、ありがとうリクト……」
「俺は何もしていませんよ、王妃様が触れたからです、王妃様のお手が嬉しかったのかもしれませんね」
「できるだけ時間を作って触りに来るわ」
両手で花を抱くように持つ王妃様の目は涙で潤んでいた。
大丈夫、きっと元気な子供が生まれるからと、俺は何度も頷いた。
小さいけれども美しい花は実を付けずに咲いている。
どうして?
過去の記録を読むと、花が落ちるのにかかる時間は3日ほどだという。
それにしても長い時間咲いている。
日参するつもりでいたが、俺は心配になり王妃の望みもあって王宮の隅っこの部屋を借りた。
そして日中一時間に一度、聖樹の幹に触れることが仕事になった。
触れた時にだけふるりと聖樹が反応を示す。
「今日もまた元気が無いね……大丈夫かな」
聖樹に話し掛けながらそっと木の幹に触れる。
ゴツゴツとした硬い手触り。
「リクト、いつも申し訳ないわね……」
背中から掛かった声に振り向く。
「王妃様」
優しい桃色のドレスを纏った王妃様が立っている。
「大丈夫リクト、頻繁に来てくれていると聞いているわ」
「頑張っている聖樹の力になれるなら全然大丈夫です」
焦りを顔に出さない王妃様に、胸が痛くなる。
「無理はしないで?貴方の命が大切よ、この子はきっと恥ずかしがりやなのね、だからなかなか顔を見せてくれないもの」
「そうかもしれませんね、でもミラもそうでしたし……でもきっと可愛い子が生まれてくださいますよ」
俺の心からの気持ち。
頑張れ、頑張れ。
俺ができることは少ないけれど、生まれれ来る子もその親も幸せになって欲しい。
「王妃様も触れてあげてくださいきっと喜びますよ」
王妃様の手が躊躇い、それでもそっと聖樹の幹に触れた瞬間、その花弁がはらりと落ちて花の根元に小さな実がポチっと膨らんだ。
「えっ……」
「リクト!」
「誰か王様にお知らせを!」
俺が走ってもいいけれど、何処に王様がいるかわからない。
声を上げると遠くに控えていた侍従だろうか、くるりと踵をかえし走って行った。
「王妃様、おめでとうございます。実が付きましたから後は大きくなるのを待ちましょうか、もうすぐですよ」
落ちてしまった花を拾い上げるとそっと王妃様に手渡す。
「記念に栞でも作られますか?」
まだ、枯れて落ちたわけではないため、美しい形を保っているのだ。
「えぇ、ええ、ありがとうリクト……」
「俺は何もしていませんよ、王妃様が触れたからです、王妃様のお手が嬉しかったのかもしれませんね」
「できるだけ時間を作って触りに来るわ」
両手で花を抱くように持つ王妃様の目は涙で潤んでいた。
大丈夫、きっと元気な子供が生まれるからと、俺は何度も頷いた。
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