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第1章 転生
6話
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しっかり温まるとそのまま俺は湯殿を出て、浴衣と下着のまま廊下を歩く。
濡れた髪を拭きながら廊下を曲がった瞬間、誰かとぶつかった。
「っ、わ」
手を上げていたため、ぶつかって尻餅を突くかと目を閉じたが痛みはやってこず、腰に回された腕がそのまま支えてくれていた。
そろりと目を開けるとそこに居たのはこの屋敷の持ち主であり、年長者でもある俺の推しメンである鶸。
村人にはお館様や、先生、師匠、鶸様などと呼ばれている。
武芸百般であり、服の上からでも筋肉の形がしっかりとわかる鍛えられた身体つき。
男に産まれたらこうなりたいと思える美貌。
大人の色気が駄々漏れだと思ってしまうのは俺の推しだからだろうか。
ごめんな、俺、筋肉フェチなんだ。
「悪かったな、大丈夫だったか?」
かなり上から降ってくる低く色気のある声に上向くと心配そうな表情に当たる。
「平気、師匠は?」
「私は大丈夫だが」
「そっか、師匠が大丈夫なら良いよ?何処か痛いならついでに琥珀の所行くからさ?」
ぐいっと体勢を立て直されると、しっかりと床を踏んでから落ちた手拭いを拾いヒラヒラと手を振ると大きな手がポンと頭に乗せられた。
「風呂だったのか?ちゃんと髪を乾かせ、湿っているぞ?」
触ったからだろう、くしゃくしゃと撫でられるも、それが気持ちいいのだ。
こくりと頷くと少しだけ鶸は離れた。
「琥珀の所とは具合が悪いのか?それとも怪我か?」
そう聞かれると、今日何回目かの説明をする。
「痛みとか無いんだって。でも、頭とか他を打ってるかどうか確認したいんだってさ」
皆、心配性だよなと笑うと、鶸は何故か俺を抱き上げた。
しかも、横抱き。
お姫様抱っこってやつ。
「わわっ!師匠?」
一気に高くなる視線。
高いところは嫌いじゃないが、足が浮いているのはさすがに怖い。
というか、男なのに流石にこれは…
「しっかり掴まれ。連れていく」
「え!」
掴まれと顎をしゃくられると、渋々というか俺としてはご褒美なんだが、仕方ないスタンスで鶸の首に腕を回した。
「頭を打っているなら動かない方がいい。と言うか翠も琥珀も何をしているのだ…」
声に少しだけ苛立ちが混じった気がして俺は大丈夫と鶸の頬に触れる。
少しかさつく骨ばった頬。
触れる柔らかな髭は金色だからかあまり目立たないが触るとわかる。
「ありがと師匠。打っていたらもう気持ち悪いとかなってるし、歩けたから少しの擦り傷だけだと思うよ。
心配してくれるの、嬉しいけどごめんね、心配かけて」
どうしても、鶸の前では自分が幼くなって甘えてしまいたくなる。
そんなことを考えながら男1人を抱き上げてもびくともしない太い腕を感じながら俺は気付かれないように鶸を見ていた。
濡れた髪を拭きながら廊下を曲がった瞬間、誰かとぶつかった。
「っ、わ」
手を上げていたため、ぶつかって尻餅を突くかと目を閉じたが痛みはやってこず、腰に回された腕がそのまま支えてくれていた。
そろりと目を開けるとそこに居たのはこの屋敷の持ち主であり、年長者でもある俺の推しメンである鶸。
村人にはお館様や、先生、師匠、鶸様などと呼ばれている。
武芸百般であり、服の上からでも筋肉の形がしっかりとわかる鍛えられた身体つき。
男に産まれたらこうなりたいと思える美貌。
大人の色気が駄々漏れだと思ってしまうのは俺の推しだからだろうか。
ごめんな、俺、筋肉フェチなんだ。
「悪かったな、大丈夫だったか?」
かなり上から降ってくる低く色気のある声に上向くと心配そうな表情に当たる。
「平気、師匠は?」
「私は大丈夫だが」
「そっか、師匠が大丈夫なら良いよ?何処か痛いならついでに琥珀の所行くからさ?」
ぐいっと体勢を立て直されると、しっかりと床を踏んでから落ちた手拭いを拾いヒラヒラと手を振ると大きな手がポンと頭に乗せられた。
「風呂だったのか?ちゃんと髪を乾かせ、湿っているぞ?」
触ったからだろう、くしゃくしゃと撫でられるも、それが気持ちいいのだ。
こくりと頷くと少しだけ鶸は離れた。
「琥珀の所とは具合が悪いのか?それとも怪我か?」
そう聞かれると、今日何回目かの説明をする。
「痛みとか無いんだって。でも、頭とか他を打ってるかどうか確認したいんだってさ」
皆、心配性だよなと笑うと、鶸は何故か俺を抱き上げた。
しかも、横抱き。
お姫様抱っこってやつ。
「わわっ!師匠?」
一気に高くなる視線。
高いところは嫌いじゃないが、足が浮いているのはさすがに怖い。
というか、男なのに流石にこれは…
「しっかり掴まれ。連れていく」
「え!」
掴まれと顎をしゃくられると、渋々というか俺としてはご褒美なんだが、仕方ないスタンスで鶸の首に腕を回した。
「頭を打っているなら動かない方がいい。と言うか翠も琥珀も何をしているのだ…」
声に少しだけ苛立ちが混じった気がして俺は大丈夫と鶸の頬に触れる。
少しかさつく骨ばった頬。
触れる柔らかな髭は金色だからかあまり目立たないが触るとわかる。
「ありがと師匠。打っていたらもう気持ち悪いとかなってるし、歩けたから少しの擦り傷だけだと思うよ。
心配してくれるの、嬉しいけどごめんね、心配かけて」
どうしても、鶸の前では自分が幼くなって甘えてしまいたくなる。
そんなことを考えながら男1人を抱き上げてもびくともしない太い腕を感じながら俺は気付かれないように鶸を見ていた。
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