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第3章 気持ち
37話
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3度目になる屋敷の門を潜り中に入る。
ちらりと鶸を見上げると、口元には笑みが上り普段の少し硬い表情が軟化して、イケメン度が上がる。
あぁ、なるなら鶸になりたかったなぁ…。
「少しお待ちを」
案内の男が玄関を上がって行く。
「こんな場所で待たせるならば、帰るか」
腰を引き寄せられて鶸を見上げる。
確かに待たせるならば部屋に上げるべきだろう。
「俺は構わないよ、鶸は逢いたそうだよね」
「ん?わかるか?」
「わかるよ…鶸、楽しそう」
俺がちょんと指先で唇の端をつつくと、鶸はばれたかと笑う。
鶸のこと、好きだからね。
「お待たせして申し訳ありません鴇、そちらは?」
「こっちは鶸だ…俺の師匠。俺たちはとうしたら?」
「すみません、どうぞ御上がりください」
促されると、鶸の腕が腰からするりと離れる。
玄関を上がると長い廊下。
途中から曲がった先の部屋に通された。
こじんまりとしているが、清潔で美しい部屋だった。
「こちらに、どうぞ」
四角のちゃぶ台と、置かれた座布団。
席に座すと、お茶と和菓子が運ばれてくる。
季節を模した練りきりの辺りが上品だなと感心する。
「改めまして私は白銀と申します。昨日は鴇殿達にお世話になりました。昨日、この街を発たれたと聞いていたのですが…」
「私は鶸と言う。鴇から聞いているだろうが、退魔の集まりを纏めている」
お茶を薦められると香りのよい玉露に口をつけた。
寡黙な鶸が良くしゃべるなと、ちらりと見上げると、見下ろしてくる鶸の視線とぶつかった。
にこと笑うと、ぽんと頭を撫でられる。
「退魔と言うのはどのようなことをしていらっしゃるのでしょうか」
白銀の食いつくような問い掛けに、鶸は丁寧に話せる部分をかいつまんで話していく。
俺は口を挟むことなくそれを聞いていた。
「私にも、その退魔師になることは可能でしょうか」
白銀の突飛な発言に俺は吹き出しそうになる。
確かに退魔師要素は高い。
むしろ攻略対象なのだから。
だけれど、仲間になるのはもっと先な筈で…
「生半可な気持ちでは退魔師にはなれぬ。命を落とす危険もある。それ以上に仲間を信頼できねば私たちの中には入れぬよ。1人で退魔をするのならば止めないが」
鶸の言葉に俯いてから白銀は顔を上げる。
「やります」
白銀の顔には曇りは無かった。
「なら、後日、私の家に来なさい。先ずはどれだけ武器を扱えるか見てやろう。これが地図だ」
懐から紙を出す。
鶸、そんなの用意してるなんて、やっぱり白銀を仲間にするつもりなんじゃん?優しいなぁ…
そう思いながら、俺は立ち上がる。
「鶸、行こうか…白銀、お茶ご馳走さま」
また1人仲間が増えれば、それだけ負担も減る。
剣術だけで言えば、確か白銀は蜜柑の次くらいの戦闘力だったなと思い出す。
「じゃあまた」
「今日はその格好なのですね、昨日の姿も良くお似合いでしたが」
ふふっと笑った白銀はそのまま俺と鶸を玄関まで送ってくれた。
ちらりと鶸を見上げると、口元には笑みが上り普段の少し硬い表情が軟化して、イケメン度が上がる。
あぁ、なるなら鶸になりたかったなぁ…。
「少しお待ちを」
案内の男が玄関を上がって行く。
「こんな場所で待たせるならば、帰るか」
腰を引き寄せられて鶸を見上げる。
確かに待たせるならば部屋に上げるべきだろう。
「俺は構わないよ、鶸は逢いたそうだよね」
「ん?わかるか?」
「わかるよ…鶸、楽しそう」
俺がちょんと指先で唇の端をつつくと、鶸はばれたかと笑う。
鶸のこと、好きだからね。
「お待たせして申し訳ありません鴇、そちらは?」
「こっちは鶸だ…俺の師匠。俺たちはとうしたら?」
「すみません、どうぞ御上がりください」
促されると、鶸の腕が腰からするりと離れる。
玄関を上がると長い廊下。
途中から曲がった先の部屋に通された。
こじんまりとしているが、清潔で美しい部屋だった。
「こちらに、どうぞ」
四角のちゃぶ台と、置かれた座布団。
席に座すと、お茶と和菓子が運ばれてくる。
季節を模した練りきりの辺りが上品だなと感心する。
「改めまして私は白銀と申します。昨日は鴇殿達にお世話になりました。昨日、この街を発たれたと聞いていたのですが…」
「私は鶸と言う。鴇から聞いているだろうが、退魔の集まりを纏めている」
お茶を薦められると香りのよい玉露に口をつけた。
寡黙な鶸が良くしゃべるなと、ちらりと見上げると、見下ろしてくる鶸の視線とぶつかった。
にこと笑うと、ぽんと頭を撫でられる。
「退魔と言うのはどのようなことをしていらっしゃるのでしょうか」
白銀の食いつくような問い掛けに、鶸は丁寧に話せる部分をかいつまんで話していく。
俺は口を挟むことなくそれを聞いていた。
「私にも、その退魔師になることは可能でしょうか」
白銀の突飛な発言に俺は吹き出しそうになる。
確かに退魔師要素は高い。
むしろ攻略対象なのだから。
だけれど、仲間になるのはもっと先な筈で…
「生半可な気持ちでは退魔師にはなれぬ。命を落とす危険もある。それ以上に仲間を信頼できねば私たちの中には入れぬよ。1人で退魔をするのならば止めないが」
鶸の言葉に俯いてから白銀は顔を上げる。
「やります」
白銀の顔には曇りは無かった。
「なら、後日、私の家に来なさい。先ずはどれだけ武器を扱えるか見てやろう。これが地図だ」
懐から紙を出す。
鶸、そんなの用意してるなんて、やっぱり白銀を仲間にするつもりなんじゃん?優しいなぁ…
そう思いながら、俺は立ち上がる。
「鶸、行こうか…白銀、お茶ご馳走さま」
また1人仲間が増えれば、それだけ負担も減る。
剣術だけで言えば、確か白銀は蜜柑の次くらいの戦闘力だったなと思い出す。
「じゃあまた」
「今日はその格好なのですね、昨日の姿も良くお似合いでしたが」
ふふっと笑った白銀はそのまま俺と鶸を玄関まで送ってくれた。
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