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60話
「ベルゴッド様、お気持ちは嬉しいですよ?」
美南が見上げた先のベルゴッドの顔がぱあっと明るくなる。
「愛人でいかがですか?」
続けた美南の言葉にベルゴッドは目を見開いた。
それはそうだろう。
愛人。
平たく言えば、身体だけの関係。
「愛人なら、ベルゴッド様も私も望む関係になるのでは?」
恋人にはなれない。
そんな、周囲におおっぴらにできる関係は美南としても困るのだ。
きっとそうなってしまうと、ベルゴッド様はデートなどと言ってどこへ行くにも一緒に行こうとしたがるだろうし、ゆくゆくは伴侶にと紹介されることになるかもしれない。
考えすぎと言われるかもしれないけれど、それは避けたい。
「ミナミ……本気か?」
「えぇ」
「なら、そうしよう」
美南は、ベルゴッドが提案に了承するとは思ってはいなかった。
「今、この時間からでいいのか?」
「え?」
「勿論、公の場ではミナミを部下として扱うし愛人を望むならいくらでも貢ぐ」
「わかりました、ベルゴッド様……いえ、二人の時はベルゴッドと呼んだ方がいいですか?」
「そうしてくれ」
「他に……何かありますか?私からは今はありません……誰かとこうした契約をした事はありませんので。ベルゴッドから何か依頼がありましたら言ってください」
ベルゴッドとそんな会話をしてから噴水を後にした。
先程までは腕に触れるだけの距離だったのが、腰に腕を回されてかなり近い距離を歩いている。
ふわりと香るのはベルゴッドのコロンの香りだろうか。
仕事でもこんなに近くに身体を寄せた事はない。
「今夜はこのまま帰るけれど、明日からな」
部屋の前で足を止めたベルゴッドは、漸く美南の腰から腕を離した。
「わかりました」
「夕食になったら誰か呼びに来るだろう。その前に着替えが必要だろうな。着替えるドレスはこちらで用意する」
「え、着替え……ですか?」
「あぁ」
「シルヴィアに聞いてないです」
「全てこちらで用意してある。恐らく父も母も一緒にテーブルについての食事だが、そんなに堅苦しく考えなくていい。それではゆっくりしていてくれ」
そう言って一歩離れたベルゴッドの服の裾を美南は無意識に掴んだ。
「も、もう少しだけ一緒にいてください……一人になっても、ゆっくりなんてできませんよ」
「メイドを呼んでもいいだろうか?流石に未婚の男女が二人だけで同じ部屋にいる事は問題がある……俺はいいが、ミナミには良くない噂が付いてしまうだろう。それと、扉は開けたままに」
美南の部屋の扉を開き、そのままにしながら部屋の中のベルをチリンとベルゴッドは鳴らした。
「お茶を」
「かしこまりました」
呼んだメイドにそう告げる。
その姿はやはり貴族。
使う事に慣れた人だ。
「ミナミ、まずは座ろうか」
ベルゴッドに促されて、美南は部屋のソファーに腰掛けた。
美南が見上げた先のベルゴッドの顔がぱあっと明るくなる。
「愛人でいかがですか?」
続けた美南の言葉にベルゴッドは目を見開いた。
それはそうだろう。
愛人。
平たく言えば、身体だけの関係。
「愛人なら、ベルゴッド様も私も望む関係になるのでは?」
恋人にはなれない。
そんな、周囲におおっぴらにできる関係は美南としても困るのだ。
きっとそうなってしまうと、ベルゴッド様はデートなどと言ってどこへ行くにも一緒に行こうとしたがるだろうし、ゆくゆくは伴侶にと紹介されることになるかもしれない。
考えすぎと言われるかもしれないけれど、それは避けたい。
「ミナミ……本気か?」
「えぇ」
「なら、そうしよう」
美南は、ベルゴッドが提案に了承するとは思ってはいなかった。
「今、この時間からでいいのか?」
「え?」
「勿論、公の場ではミナミを部下として扱うし愛人を望むならいくらでも貢ぐ」
「わかりました、ベルゴッド様……いえ、二人の時はベルゴッドと呼んだ方がいいですか?」
「そうしてくれ」
「他に……何かありますか?私からは今はありません……誰かとこうした契約をした事はありませんので。ベルゴッドから何か依頼がありましたら言ってください」
ベルゴッドとそんな会話をしてから噴水を後にした。
先程までは腕に触れるだけの距離だったのが、腰に腕を回されてかなり近い距離を歩いている。
ふわりと香るのはベルゴッドのコロンの香りだろうか。
仕事でもこんなに近くに身体を寄せた事はない。
「今夜はこのまま帰るけれど、明日からな」
部屋の前で足を止めたベルゴッドは、漸く美南の腰から腕を離した。
「わかりました」
「夕食になったら誰か呼びに来るだろう。その前に着替えが必要だろうな。着替えるドレスはこちらで用意する」
「え、着替え……ですか?」
「あぁ」
「シルヴィアに聞いてないです」
「全てこちらで用意してある。恐らく父も母も一緒にテーブルについての食事だが、そんなに堅苦しく考えなくていい。それではゆっくりしていてくれ」
そう言って一歩離れたベルゴッドの服の裾を美南は無意識に掴んだ。
「も、もう少しだけ一緒にいてください……一人になっても、ゆっくりなんてできませんよ」
「メイドを呼んでもいいだろうか?流石に未婚の男女が二人だけで同じ部屋にいる事は問題がある……俺はいいが、ミナミには良くない噂が付いてしまうだろう。それと、扉は開けたままに」
美南の部屋の扉を開き、そのままにしながら部屋の中のベルをチリンとベルゴッドは鳴らした。
「お茶を」
「かしこまりました」
呼んだメイドにそう告げる。
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使う事に慣れた人だ。
「ミナミ、まずは座ろうか」
ベルゴッドに促されて、美南は部屋のソファーに腰掛けた。
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