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62話
「凄いな、美南は」
「すみません、偉そうに。でも私たちはとても食事を大切にしてきたので、ベルゴッドたちの食べられたら何でもいいというのは……少し辛いんです。
辛い時こそ美味しいものを食べたい、食べて欲しい……私も少しだけ料理をしますけど、それは自分の好みのものを他人に面倒をかけないようにして食べるためもあるんですよ」
もちろん、他人に作ってもらう料理はとても美味しいのだけれど、たまに自分の味覚とズレがあるときがあって、そんな時は自分で作ったほうが早いと思ってしまうのだ。
「あぁ、ミナミの料理は総じて美味かったな」
「ありがとうございます。たまには故郷の料理が恋しくなって食べたいなとも思いますが、なかなか食材が無くて」
「そうか、なら今度諸国の食材が集まる市場へ行ってみるか?」
ベルゴッドの申し出に美南は顔を上げた。
「本当ですか?行ってみたいですが、料理をする場所もありませんし」
「それは騎士団の厨房を借りればいいじゃないか」
「でも、邪魔になってしまいます」
「騎士団の遠征の為の調理訓練だとでも言っておけば片隅なら貸してくれるだろう?俺が許可書を出しておこう」
「ベルゴッド、それは職権乱用では?」
美南はつい笑ってしまう。
「かもな」
それから二人で色々なことを話した。
メイドがそろそろ着替えの時間ですと呼びに来るまで。
「俺は自分の部屋に戻っているが、食事の前には迎えに来る」
「ありがとうございます」
「ミナミを頼む」
ベルゴッドはそうメイドに伝えると、メイドたちは静かに頭を下げた。
そしてベルゴッドが部屋を出ていくと、上へ下への大騒ぎ。
物理的に声はそれほど出すわけではないのだが、ずらりと並べられたイブニングドレス。
食事をするだけだよね?と、一般人の美南は挙動不審になる。
ドレッサーの前で綺麗に化粧をされ、髪を結いあげられる。
剛毛のストレートな美南の髪を柔らかく飾り上げてくれるメイドさんたちの腕には感嘆の溜息しかない。
その技術を教えてほしいと美南は思う。
それからコルセット。
「この腰の細さではコルセットは、いりませんわね」
「一番細いものでも……」
メイドさんたちはコルセットを締めるが美南には少し窮屈だと思いながらも、社会人になってつけることも多かったボディスーツやガードルなとで腰を締めることもあったため、慣れた強さだった。
「ありがとうございます……」
「いえ」
そして、選んでもらったのは白地に濃紺のストライプが入ったフリルが多くついたふわりと広がるドレス。
「え、こんな幼いデザインが似合いますか?」
美南は、自分の年齢を考えると少し痛々しくないだろうかと、不安になってメイドさんたちを見上げる。
「ミナミ様の若々しい肌にはよくお似合いだと思いますよ?どうか一度お召になってくださいませ」
そう押し切られて美南はそのドレスに袖を通した。
あれそんなに悪くない?
フリルはかわいいと思っていたが自分には似合わないと私服でも着たことがなかったのに。
「よくお似合いですが、やはり少し腰を詰めないといけませんね、明日のドレスは気を付けるようにいたしますね?」
そもそも、このドレスは誰のものなのだろうか。
それを聞く前に扉にノックがあり、顔をあげると静かにメイドさんたちは部屋を出て行った。
「すみません、偉そうに。でも私たちはとても食事を大切にしてきたので、ベルゴッドたちの食べられたら何でもいいというのは……少し辛いんです。
辛い時こそ美味しいものを食べたい、食べて欲しい……私も少しだけ料理をしますけど、それは自分の好みのものを他人に面倒をかけないようにして食べるためもあるんですよ」
もちろん、他人に作ってもらう料理はとても美味しいのだけれど、たまに自分の味覚とズレがあるときがあって、そんな時は自分で作ったほうが早いと思ってしまうのだ。
「あぁ、ミナミの料理は総じて美味かったな」
「ありがとうございます。たまには故郷の料理が恋しくなって食べたいなとも思いますが、なかなか食材が無くて」
「そうか、なら今度諸国の食材が集まる市場へ行ってみるか?」
ベルゴッドの申し出に美南は顔を上げた。
「本当ですか?行ってみたいですが、料理をする場所もありませんし」
「それは騎士団の厨房を借りればいいじゃないか」
「でも、邪魔になってしまいます」
「騎士団の遠征の為の調理訓練だとでも言っておけば片隅なら貸してくれるだろう?俺が許可書を出しておこう」
「ベルゴッド、それは職権乱用では?」
美南はつい笑ってしまう。
「かもな」
それから二人で色々なことを話した。
メイドがそろそろ着替えの時間ですと呼びに来るまで。
「俺は自分の部屋に戻っているが、食事の前には迎えに来る」
「ありがとうございます」
「ミナミを頼む」
ベルゴッドはそうメイドに伝えると、メイドたちは静かに頭を下げた。
そしてベルゴッドが部屋を出ていくと、上へ下への大騒ぎ。
物理的に声はそれほど出すわけではないのだが、ずらりと並べられたイブニングドレス。
食事をするだけだよね?と、一般人の美南は挙動不審になる。
ドレッサーの前で綺麗に化粧をされ、髪を結いあげられる。
剛毛のストレートな美南の髪を柔らかく飾り上げてくれるメイドさんたちの腕には感嘆の溜息しかない。
その技術を教えてほしいと美南は思う。
それからコルセット。
「この腰の細さではコルセットは、いりませんわね」
「一番細いものでも……」
メイドさんたちはコルセットを締めるが美南には少し窮屈だと思いながらも、社会人になってつけることも多かったボディスーツやガードルなとで腰を締めることもあったため、慣れた強さだった。
「ありがとうございます……」
「いえ」
そして、選んでもらったのは白地に濃紺のストライプが入ったフリルが多くついたふわりと広がるドレス。
「え、こんな幼いデザインが似合いますか?」
美南は、自分の年齢を考えると少し痛々しくないだろうかと、不安になってメイドさんたちを見上げる。
「ミナミ様の若々しい肌にはよくお似合いだと思いますよ?どうか一度お召になってくださいませ」
そう押し切られて美南はそのドレスに袖を通した。
あれそんなに悪くない?
フリルはかわいいと思っていたが自分には似合わないと私服でも着たことがなかったのに。
「よくお似合いですが、やはり少し腰を詰めないといけませんね、明日のドレスは気を付けるようにいたしますね?」
そもそも、このドレスは誰のものなのだろうか。
それを聞く前に扉にノックがあり、顔をあげると静かにメイドさんたちは部屋を出て行った。
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