24 / 28
内容証明
しおりを挟む
さらに一か月が過ぎ、そろそろ学年も変わろうという時期になったある日の事。
急にあたしがお兄ちゃんのクラスのいじめっ子グループを晒した張本人だって噂が流れ始めた。
今までは佐々木をイジメるか突き落とすかしたんじゃないか?って噂はあっても、お兄ちゃんのクラスの事は学年が違うから誰も疑っていなかったのに。
そしてある日、お母さんが思いつめた顔であたしに話があると言い出した。
「お母さん、いきなり何??」
「いきなりじゃないわ。あなたって子はどうしてこんなとんでもないことを……っ」
「なんの話?? あたし悪い事なんて何もしてないよ」
訳が分からず聞き返すあたしにお母さんは1通の封書を見せた。
「弁護士事務所?」
「あんたがイジメをしてるって晒した谷田部さんのご家族から、名誉棄損で訴訟を起こされたの。プロバイダに情報開示請求して、ちゃんと証拠を押さえた上での訴訟よ。警察にも被害届を出したそうだから、近々刑事さんからも事情を聞かれると思うわ。示談には応じないそうだけど」
あたしは驚きすぎて頭の中が真っ白になった。
あたしが晒したって事がバレたのもびっくりしたけど、それで被害届を出したって事にもっとびっくり。
だってあたし悪くないでしょ?事実をネットに書き込んだだけ。
書かれて困るような事やる方が全部悪いんじゃない。なんで被害者ヅラして警察に泣きついたりできるわけ?
「え?なんで??あたし本当の事言っただけだよ。それなのに逮捕されちゃうの??悪いの全部あいつらじゃん」
「そういう問題じゃないの。逃亡の恐れがなければ逮捕はされないわ。証拠はもうあちらがおさえているから隠滅しようがないし。そんな事はどうでもよくて、大事なのはあなたが書き込んだことのせいでよそ様のご家庭をめちゃくちゃにしてしまったって事。ごめんなさいじゃすまないの。まして自分は悪くないなんて言い分、通る訳ないでしょう」
お母さんはいつもより早口のかん高い声で一息に言い切って、血走った目であたしを睨みつけた。
言ってる内容がどれだけイミフで筋が通らないってわかってないみたいだ。
「はぁ!? 家庭がめちゃくちゃって、自分らが悪いんでしょっ!? お兄ちゃんの事イジメたりするから……っ」
「だからって何をやってもいいって事にはならないの。それに、あなた自身も似たようなイジメをしていて、学校に来れなくなってるクラスメイトが何人もいるそうじゃない。佐々木君だって自殺って噂があるけど……あんたの仕業じゃないの!?」
あたしが当然の抗議をしたのに、お母さんは途中でさえぎって全然違う話を持ち出した。あたしがお兄ちゃんを虐めたやつを晒した事と不登校になってるうちのクラスのゴミクズどもは全く別の話じゃないか。
「何言ってんの!? あたしは指導してるだけ!! リーダーとしてクラスの平和を乱す空気読めないゴミクズどもをちゃんと躾けて皆を守らなきゃ!!」
「何を寝ぼけた事言ってるの!? それがイジメだってどうしてわからないの!? あんたが晒した谷田部さんだって妹の美穂ちゃんをアンタがさんざんイジメて学校来れなくしたのに、蒼星が自分たちのやることに口出したのが気に食わなかったのがきっかけだって話よ」
「何それ、美穂のこととお兄ちゃんは関係ないでしょ!?」
「もちろん蒼星にした事については赦せないしあんたのせいにするのはおかしいけど……あんたはそれ以上のことしでかしたのよ!! そのせいで、蒼星の事で抗議してもまともにこちらの言い分聞いてもらえないの。自分の事は棚に上げて、よくもまあそんな事平気で言えるわね」
「ナニ言ってんのっ!? あたしはクラスの和を乱すゴミに教育的指導をしてやってただけだよっ!! あんなクズどもと一緒にしないでよっ!?」
お母さんはあたしの話に聞く耳を持ってくれなかった。それが何よりショックだ。
あたしは何も悪くない。どうして娘のあたしを信じてくれないんだろう。しっかりしてて可愛くて賢いあたしを「自慢の娘」って言ってくれてたのに。
だけど、あたしが訴えられたことも被害届を出された事も覆しようのない事実で。今更あたしが何を言ったところでどうにもならなかった。
あたしのSNSが荒らされるようになったのはお母さんに訴状の話をされた次の日のことだ。だからあたしは誰にも相談できずに一人で裏切り者と学校で対決する事を選んだ。
ぞの翌日、佐々木の動画の事を先生たちにしつこく訊かれて、あたしは何も悪くないって何回言っても信じてもらえなくて。結局は裏切った奴を絞めるどころか、晒したのが誰なのかを探し当てる事すらできなかった。
結局、あたしが何もかも悪いってことでクラスの他のみんなは一致団結してしまったようだ。
美穂も佐々木も、あたしが命令してイジメさせてた。あたしが怖いからみんな言う事聞くしかなかった。
クラス全体がそんな話でまとまって、あたしは美穂へのイジメや美穂の姉たちへの名誉棄損の他に、佐々木への暴行、傷害、強要、恐喝でも被害届を出されることになった。
生徒も先生も親たちも、みんな知っててあたしを見ると顔をしかめてひそひそと囁きあう。
そんな学校に行ってもしょうがないので、あたしは学校に行くのをやめた。
急にあたしがお兄ちゃんのクラスのいじめっ子グループを晒した張本人だって噂が流れ始めた。
今までは佐々木をイジメるか突き落とすかしたんじゃないか?って噂はあっても、お兄ちゃんのクラスの事は学年が違うから誰も疑っていなかったのに。
そしてある日、お母さんが思いつめた顔であたしに話があると言い出した。
「お母さん、いきなり何??」
「いきなりじゃないわ。あなたって子はどうしてこんなとんでもないことを……っ」
「なんの話?? あたし悪い事なんて何もしてないよ」
訳が分からず聞き返すあたしにお母さんは1通の封書を見せた。
「弁護士事務所?」
「あんたがイジメをしてるって晒した谷田部さんのご家族から、名誉棄損で訴訟を起こされたの。プロバイダに情報開示請求して、ちゃんと証拠を押さえた上での訴訟よ。警察にも被害届を出したそうだから、近々刑事さんからも事情を聞かれると思うわ。示談には応じないそうだけど」
あたしは驚きすぎて頭の中が真っ白になった。
あたしが晒したって事がバレたのもびっくりしたけど、それで被害届を出したって事にもっとびっくり。
だってあたし悪くないでしょ?事実をネットに書き込んだだけ。
書かれて困るような事やる方が全部悪いんじゃない。なんで被害者ヅラして警察に泣きついたりできるわけ?
「え?なんで??あたし本当の事言っただけだよ。それなのに逮捕されちゃうの??悪いの全部あいつらじゃん」
「そういう問題じゃないの。逃亡の恐れがなければ逮捕はされないわ。証拠はもうあちらがおさえているから隠滅しようがないし。そんな事はどうでもよくて、大事なのはあなたが書き込んだことのせいでよそ様のご家庭をめちゃくちゃにしてしまったって事。ごめんなさいじゃすまないの。まして自分は悪くないなんて言い分、通る訳ないでしょう」
お母さんはいつもより早口のかん高い声で一息に言い切って、血走った目であたしを睨みつけた。
言ってる内容がどれだけイミフで筋が通らないってわかってないみたいだ。
「はぁ!? 家庭がめちゃくちゃって、自分らが悪いんでしょっ!? お兄ちゃんの事イジメたりするから……っ」
「だからって何をやってもいいって事にはならないの。それに、あなた自身も似たようなイジメをしていて、学校に来れなくなってるクラスメイトが何人もいるそうじゃない。佐々木君だって自殺って噂があるけど……あんたの仕業じゃないの!?」
あたしが当然の抗議をしたのに、お母さんは途中でさえぎって全然違う話を持ち出した。あたしがお兄ちゃんを虐めたやつを晒した事と不登校になってるうちのクラスのゴミクズどもは全く別の話じゃないか。
「何言ってんの!? あたしは指導してるだけ!! リーダーとしてクラスの平和を乱す空気読めないゴミクズどもをちゃんと躾けて皆を守らなきゃ!!」
「何を寝ぼけた事言ってるの!? それがイジメだってどうしてわからないの!? あんたが晒した谷田部さんだって妹の美穂ちゃんをアンタがさんざんイジメて学校来れなくしたのに、蒼星が自分たちのやることに口出したのが気に食わなかったのがきっかけだって話よ」
「何それ、美穂のこととお兄ちゃんは関係ないでしょ!?」
「もちろん蒼星にした事については赦せないしあんたのせいにするのはおかしいけど……あんたはそれ以上のことしでかしたのよ!! そのせいで、蒼星の事で抗議してもまともにこちらの言い分聞いてもらえないの。自分の事は棚に上げて、よくもまあそんな事平気で言えるわね」
「ナニ言ってんのっ!? あたしはクラスの和を乱すゴミに教育的指導をしてやってただけだよっ!! あんなクズどもと一緒にしないでよっ!?」
お母さんはあたしの話に聞く耳を持ってくれなかった。それが何よりショックだ。
あたしは何も悪くない。どうして娘のあたしを信じてくれないんだろう。しっかりしてて可愛くて賢いあたしを「自慢の娘」って言ってくれてたのに。
だけど、あたしが訴えられたことも被害届を出された事も覆しようのない事実で。今更あたしが何を言ったところでどうにもならなかった。
あたしのSNSが荒らされるようになったのはお母さんに訴状の話をされた次の日のことだ。だからあたしは誰にも相談できずに一人で裏切り者と学校で対決する事を選んだ。
ぞの翌日、佐々木の動画の事を先生たちにしつこく訊かれて、あたしは何も悪くないって何回言っても信じてもらえなくて。結局は裏切った奴を絞めるどころか、晒したのが誰なのかを探し当てる事すらできなかった。
結局、あたしが何もかも悪いってことでクラスの他のみんなは一致団結してしまったようだ。
美穂も佐々木も、あたしが命令してイジメさせてた。あたしが怖いからみんな言う事聞くしかなかった。
クラス全体がそんな話でまとまって、あたしは美穂へのイジメや美穂の姉たちへの名誉棄損の他に、佐々木への暴行、傷害、強要、恐喝でも被害届を出されることになった。
生徒も先生も親たちも、みんな知っててあたしを見ると顔をしかめてひそひそと囁きあう。
そんな学校に行ってもしょうがないので、あたしは学校に行くのをやめた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる