6 / 6
闇の森と不思議な守り人(2)
しおりを挟む自分の後を追ってついてきてしまった蟲たちの姿に、シュネーは絶望した。
「ああ、こんなところにまで……僕はどこに行っても嫌われ者の出来損ないだ……」
「とんでもない。彼らは森を支える大切な仲間だ。彼らにここまで慕われる君に、何もできないはずがないのだよ」
「そんな、誤解です。僕には何もできません。できるのは、カビやキノコを生やすだけ」
「素晴らしいじゃないか。他の誰にもできないことだ」
「何の役にも立ちませんよ。キノコもカビなんて気持ち悪いもの、森には必要ない……いや、あってはいけないものなんです」
「誰だ、そんな愚かなことを君に吹き込んだのは。生きている草木を促して、育つように仕向けるだけなら他の妖精にだってできる。しかし、死したものたちや棄てられたものたちを土に還してやれるのは君のキノコやカビたち、そして君を慕う蟲たちなのだよ」
「え!?」
そういえば、父さんが昔そんなことを言っていたような気がする。あの時は姉に「あんたをなぐさめるためにウソついてるのよ。父さんにまで気を使わせて本当に情けない」と言われて、今まで忘れていたけれど。
「君は死したものたちをよみがえらせる、素晴らしい力を持っているんだ」
「死んだものをよみがえらせる?姉さんが枯れ木に花を咲かせるように?」
「ああ、あれはただのまやかしだ。弱ったものから力をしぼり取って強引に放出させているだけ。君のように、死んだもの、棄てられたものを、豊かな土に還してよみがえらせることはできないよ」
「……よくわかりませんが、僕はここにいていいんですか?」
「もちろんだとも。むしろ、私からお願いする。ここにいてくれるかい?」
「よかった。こんな僕なんかを受け入れてくれてありがとうございます」
「なんか、ではない。君だからこそ、ここにいてほしいんだ。お願いできるかい?」
「喜んで。あなたが望んでくれる限り、僕はずっとここにいます」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あらあら……この後どうなるのか……
いつもありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.
色々と大変なことになりそうです( ̄▽ ̄;)