『 時を越えてでも伝えたい思いがあるんだ!』 ーー僕が転生した理由ーー

はなまる

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10、 まるでデートだね

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「ロイくん、アイリンお嬢様のはじめてのおつかいに付き合ってもらえませんか?」
「はい、 わかりました」

サリーさんに頼まれたら、聞かないわけにはいかないよね。
アイリン お嬢様は 一人で買い物もしたことがないほどのお嬢様なんだね。 付き添いが必要なんだ。
僕なんかでは 全く守りきれないんだけど、 その辺は大丈夫なのかな。
この前みたいなチンピラさんが出てきたら危ない。

「ち、 違うの!」

なぜかアイリンお嬢様が顔を真っ赤にして、何かを否定した。
僕には何のことだかさっぱり分からない。

「 何が違うんですか?」
「 魔王のせいなの!ほんとだよ?」
「 魔王がどうかしたんですか?」
「 私が生まれてから最近まで 魔王がいたわけじゃない」
「 そうですね」

魔王と名乗る男が現れたのは20年前の事だった はずだ。 僕が生まれる前でもあるから 詳細はわからないけど、 記録ではそうなっていた。
魔王のスキルにより普通の動物が魔獣化していた。 魔獣は 街に入ることもあり、 大変危険だった。
僕はよく生き残れたものだよね。
ティルに よく守ってもらってたっけ。

それはさておき。

お嬢様が最近まで 買い物をしたことがないのはうなずける。
治安がやっと安定してきたから、 カトレアさんは 孫娘のアイリン お嬢様に社会勉強をさせるつもりなのだろう。

『 はじめてのおつかいってwアイリンは 精神年齢が幼稚園児なの? 詳しく教えて』

リンは ここぞとばかりにからかっているから、アイリン お嬢様は 顔を手で覆って泣き出した。

「 私、園児じゃないもん!!」

その口調がすでに幼いんだけどね。
...... 引き受けた のはいいけど、こんなんで大丈夫なのかな。


街は賑わっていた。
経済成長の真っ只中で、 祭りでもないのに 出店が出回っている。
従業員募集の貼り紙が所狭しと貼り出されているのを見たときは、 何とも言えない気分になった。
ジャンクスペースの3週間は何だったのかな。 もしもスマホが見つからなければ全くの無駄だった。
ティルが やめるように言うはずだよね。
戦いを生業としていた冒険者たちが仕事にあぶれるかと思ったけど、 ロストテクノロジーの復元によりそれ以上の仕事が生み出されていた。
もっと早くに町に戻っていれば、 僕みたいなやつにでもできる仕事が あったはずなんだよね。
ルクマス邸で 使用人 になれたから結果オーライなんだけど......リンとの 出会いは良かったことなのか判断に困るよ。

「ロイ、 どうかしたの?」

僕が考え事をしているところに、アイリン お嬢様が顔を覗き込んできた。
不意打ちでドキッとしてしまう。
お嬢様は老若男女、誰もが振り返るような美少女だからね。 今でもチラチラと見られている。
アイリン お嬢様はシンプルなワンピースと言った格好だけど、 どう見てもお忍びのお嬢様にしか見えなかった。
黙っていたら可愛い。

「 まさか漏らしたの?」
『 うけるんですけどw』

口を開けば生意気なクソガキ...... 普通の女の子だった。
アイリン お嬢様とリンは盛り上がっている。

「 臭いはしないから大丈夫よね」
『 おむつでもしてるんじゃないw』
「 幼稚園児に言われたくないよ」

僕はついムッとして言い返してしまった。
アイリン お嬢様は 涙目で顔を真っ赤にしながら怒り、 僕に平手打ちを食らわせた。

「ロイの バカ!」


アイリン お嬢様の機嫌を直すために、 いろんな出店を 歩いて回ることにした。
わたあめ、 りんご飴、 謎のお面。
お嬢様が楽しそうに笑っていたから、 僕はほっと胸をなでおろした。
リンは 少し驚いているように 目を丸くしている。

『 まるで日本のお祭りみたい!』
「ニホン?」
『 私が住んでる国の名前だよ』
「 そうなんだ」

ニホンという 国の記録はどこにもない。 僕の時代ではすでに失われた国なのだろう。

そんなことを考えているその時。

「 また会ったな」
ニヤニヤ。

チンピラさんが現れた。
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