後宮にて、あなたを想う

じじ

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27 皇帝と皇后の密談2

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静かにお茶を啜る皇帝を見つめながら蔡怜さいれいは続けた。

「黄貴妃様と管修媛かんしゅうえん様と明日お話して分かったことにつきましては、また後日報告させていただきます。」
「ああ。頼む。」
「お耳の早い陛下のことでございますので、既にご存知かもしれませんが、本日侍医女官の州芳しゅうほうと言う者に話を聞きました。」
「ああ、聞いている。」
「先のお妃様方のご出産の際に立ち会った女官でございますが、覚えておいででしょうか。」
「さすがに、全ての妃が世話になったのでな。彼女と侍医には辛い役目であっただろうがな。」

そう言って痛ましげに目を伏せる皇帝に、蔡怜はそろりと声をかけた。

「お亡くなりになった御子方とお妃様方は皆様同じ理由であったと伺いました。陛下もさぞお辛い思いをなさったでしょう。」

気を遣った蔡怜の悔やみの言葉に、皇帝は顔を上げ答えた。

「ありがとう。私が至らなかったばかりに妃や子らに辛い思いをさせてしまったのかもしれぬな。」
「そのようなことは。」
「理由を聞いたと言うことは、州芳が全て話したのだな。」
「口止めをされていると申しておりました。無理やり聞き出したのは私ですのでどうぞお罰しにならないでください。」
「もちろんだ。州芳も侍医も口が固いのは分かっている。だからこそ、妃の死因も今まで露見していないのだ。私が驚いたのは、相手が皇帝の妃とはいえ、州芳があなたをすぐに信頼して話したことだ。やはり、あなたは相手の懐に入り込みやすいのかもしれないな。」

そんな評価はいらない。この件が片付いたら間者として働けと言わないだろうな。
そんなことを考えながら蔡怜は応じた。

「皆様には私が呑気にうつるのかもしれません。話しても害がないと思われているのでしょう。」
「まあ、あなたは無用に他人の秘密を暴いて喜ぶようには見えないからな。ところで州芳に話を聞いたうえで、私に何か尋ねたいことはないか。後宮の問題の解決に繋がるなら何でも聞いてくれ。」
「それでしたら、失礼ながらお聞きさせていただきたいことがございます。」
「なんだ。」
「先のお妃様方について陛下はどのように思われておいででしたか。」

今日、奏輝そうきから皇帝が訪れる旨を聞いた時に、蔡怜はこの質問だけは絶対にしようと決めていた。
奏輝や州芳も簡単には教えてくれたが、妃達の人となりなど分からない部分も多かった。
四人の妃について、皇帝にはどのような人物として映っていたのか、それを知る必要があると考えたのだ。
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