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77 中庭園の東屋
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翌日、蔡怜は奏輝とともに指定された時間に中庭園の東屋へ向かった。
「王宮の中庭園って初めてだわ」
蔡怜が奏輝に話しかけると、奏輝は簡単な説明をし出した。
「そうですね。そもそもお妃様方が後宮から出られる機会はそう多くありませんし。後宮の庭園も美しゅうございますが、王宮の中庭園も見事ですよ。中庭園には素晴らしい松の木が多く植えられております。白い玉砂利と合間って異世界のようですよ。後宮の庭園が四季折々の美しい花を咲かせるのとはまた違った趣です。」
「まあ!楽しみだわ。」
「そして東屋は、その松の庭が一番美しく見える場所だそうです」
「あら、詳しいのね」
「はい。柳栄様がそちらで何度か陛下とお会いになる時にお供しましたので。」
「そうだったのね。陛下にとっては大切な場所なのね。」
「まぁ、もちろんそれもございますが、何より見晴らしがいいので、不審な者が側にいればすぐに分かります。そのため相談事の時などに使われておりました」
「まあ。」
柳栄には二人だけの相談事のために東屋を使い、かたや自分には男性と二人きりにならないためにその東屋を使わせる。張り合っても仕方がないとは思うが、皇帝からの信頼の差に蔡怜は溜め息をつきそうになった。
気持ちを切り替えるために、奏輝に弦陽のことを尋ねてみる。
「今日お会いする弦陽様ってどのような方なのかしらね」
「私も詳しくは。しかし、お二人の側妃様から思われている方だったのです。きっと情に厚く…美丈夫だったのでしょう」
最後の一言をにやりと笑いながら奏輝は告げた。
「美丈夫…楽しみね」
蔡怜が笑って答えると、奏輝も破顔した。
「案外、蔡怜様と弦陽様をお二人きりにするのを嫌がられた陛下の思いはそのあたりにあるかもしれませんよ」
「まさか。皇后が他の男性と噂になったら困るからでしょう」
「そうでしょうか。弦陽様に蔡怜様が心奪われないか心配されていらっしゃるのでは?」
「ふふ。もしそうだとしたら…」
言い淀んだ蔡怜に奏輝は重ねて問うた。
「そうだとしたら、なんでしょう」
「嬉しいわね」
「…陛下にお聞かせしたかったです、今のお言葉」
「その話はいいの。ごめんなさい、奏輝が相手だから本音が出てしまったわ。さ、この話はもう終わり!今は弦陽様のことだけ考えないと」
「失礼しました。その角を曲がれば東屋が見えてくるかと」
言われた角を曲がると確かに小高い丘のようなところに東屋があるのが見えた。建物から少し離れた位置から松の木が美しく植えられている。
「あら、本当に美しいところね」
蔡怜はそう言いながら東屋まで歩いた。
「王宮の中庭園って初めてだわ」
蔡怜が奏輝に話しかけると、奏輝は簡単な説明をし出した。
「そうですね。そもそもお妃様方が後宮から出られる機会はそう多くありませんし。後宮の庭園も美しゅうございますが、王宮の中庭園も見事ですよ。中庭園には素晴らしい松の木が多く植えられております。白い玉砂利と合間って異世界のようですよ。後宮の庭園が四季折々の美しい花を咲かせるのとはまた違った趣です。」
「まあ!楽しみだわ。」
「そして東屋は、その松の庭が一番美しく見える場所だそうです」
「あら、詳しいのね」
「はい。柳栄様がそちらで何度か陛下とお会いになる時にお供しましたので。」
「そうだったのね。陛下にとっては大切な場所なのね。」
「まぁ、もちろんそれもございますが、何より見晴らしがいいので、不審な者が側にいればすぐに分かります。そのため相談事の時などに使われておりました」
「まあ。」
柳栄には二人だけの相談事のために東屋を使い、かたや自分には男性と二人きりにならないためにその東屋を使わせる。張り合っても仕方がないとは思うが、皇帝からの信頼の差に蔡怜は溜め息をつきそうになった。
気持ちを切り替えるために、奏輝に弦陽のことを尋ねてみる。
「今日お会いする弦陽様ってどのような方なのかしらね」
「私も詳しくは。しかし、お二人の側妃様から思われている方だったのです。きっと情に厚く…美丈夫だったのでしょう」
最後の一言をにやりと笑いながら奏輝は告げた。
「美丈夫…楽しみね」
蔡怜が笑って答えると、奏輝も破顔した。
「案外、蔡怜様と弦陽様をお二人きりにするのを嫌がられた陛下の思いはそのあたりにあるかもしれませんよ」
「まさか。皇后が他の男性と噂になったら困るからでしょう」
「そうでしょうか。弦陽様に蔡怜様が心奪われないか心配されていらっしゃるのでは?」
「ふふ。もしそうだとしたら…」
言い淀んだ蔡怜に奏輝は重ねて問うた。
「そうだとしたら、なんでしょう」
「嬉しいわね」
「…陛下にお聞かせしたかったです、今のお言葉」
「その話はいいの。ごめんなさい、奏輝が相手だから本音が出てしまったわ。さ、この話はもう終わり!今は弦陽様のことだけ考えないと」
「失礼しました。その角を曲がれば東屋が見えてくるかと」
言われた角を曲がると確かに小高い丘のようなところに東屋があるのが見えた。建物から少し離れた位置から松の木が美しく植えられている。
「あら、本当に美しいところね」
蔡怜はそう言いながら東屋まで歩いた。
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