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古文書
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一枚の古文書がソファーテーブルに置かれていた。手書きの地図とくずし字の読みづらい文字がたくさん並んでいる古文書だった。横にはスマホが置かれいた。
ピンポン
インターホンのチャイムが鳴った。
部屋主の三宅はリモコンの解錠ボタンを押した。
「入って」
そしてインターホンマイクにそう言った。
ガチャ
すると玄関のドアが開き一人の女が玄関の中に入って来た。三宅の友人の酒井だった。
「どうしたの、急に呼びつけたりして」
「まあ、まあ、こっちに来てくれ」
三宅はソファーに座ったまま酒井を手招きした。
「何か良いことでもあったの」
酒井は古文書を見ながらソファーに腰を下ろした。
「これなんだけどさ」
三宅は古文書をポンポン叩きながらそう言った。
「古文書、」
「そう、」
「私、古い文字は苦手なんです。何か面白いことが書いてあるんですか」
「アプリで呼んでみて」
三宅はそう言うとスマホのくずし字解読アプリを開き始めた。
「アプリで読めるんですか」
「そうなんだ、はい、これで読んでみて」
三宅はスマホを酒井に手渡した。
「あ、は、はい」
酒井はスマホを受け取ると古文書の文字を変換し始めた。
「どうだい、」
三宅は酒井が読み進めていくのを見るとそう言った。
「もしかしたら、これって、軍資金の隠し場所が書かれてるんじゃないですか」
古文書には織田信長の弟信勝が清須城で信長に謀殺されたのを知った信勝の家臣が信勝の居城末森城に蓄えてあった軍資金を信長に奪われないように城内のある場所に埋蔵して隠したという事が書かれているようだった。
「うん、そうなんだ」
三宅は嬉しそうな顔をしてそう言った。
「もしかしたら新発見だとか」
「うん、そうなんだ。調べてみたらそんな記録はどこにもないみたいなんだ。可能性はあるかもしれない」
「すごい、」
「どう、探しに行ってみない」
「えっ、隠されてる場所が分かったんですか」
「古文書に書いてある地図の通りだとすれば、お宝は末森城の中に隠したことになってるんだ」
「そんなお城聞いたことないけど、どこにあるんですか」
「千種区の城山という所らしい」
「じゃあ、探すのはもう無理ですね。あの辺は今はビルやお家でいっぱいですよ」
「うん、そうみたいだね。でも、調べてみたら末森城址跡は城山八幡宮の敷地内に室町時代のまま開発されないで残ってるらしいんだ」
「室町時代からですか、すごい」
「行く気になってきたかい」
「えっ、本当に行くんですか」
「一緒にやって欲しいんだ」
三宅は酒井の目を見つめながらそうお願いした。宝探しのために地下金属スキャナーと金属ロケーターという機器を購入したのだが、一人では二つの機器を同時には使えないからだった。
「良いですけど、その、いつやりに行くんですか」
「今から、じゃどうかなあ」
「えーっ、もしかして、それが目的で私を呼んだんですか」
「うん、もちろんそれ相応の報酬は出させてもらうよ」
「分かりました。今さら帰れないし、やります」
酒井はちょっと不満げな顔をしてそう答えた。めずらしく朝早くから呼び出されたので、ロマンチックなサプライズデートでも用意してくれたのじゃないかと思い込んでいたからだった。
「良かった。では、膳は急げ、行こう」
三宅はソファーから立ち上がった。
ピンポン
インターホンのチャイムが鳴った。
部屋主の三宅はリモコンの解錠ボタンを押した。
「入って」
そしてインターホンマイクにそう言った。
ガチャ
すると玄関のドアが開き一人の女が玄関の中に入って来た。三宅の友人の酒井だった。
「どうしたの、急に呼びつけたりして」
「まあ、まあ、こっちに来てくれ」
三宅はソファーに座ったまま酒井を手招きした。
「何か良いことでもあったの」
酒井は古文書を見ながらソファーに腰を下ろした。
「これなんだけどさ」
三宅は古文書をポンポン叩きながらそう言った。
「古文書、」
「そう、」
「私、古い文字は苦手なんです。何か面白いことが書いてあるんですか」
「アプリで呼んでみて」
三宅はそう言うとスマホのくずし字解読アプリを開き始めた。
「アプリで読めるんですか」
「そうなんだ、はい、これで読んでみて」
三宅はスマホを酒井に手渡した。
「あ、は、はい」
酒井はスマホを受け取ると古文書の文字を変換し始めた。
「どうだい、」
三宅は酒井が読み進めていくのを見るとそう言った。
「もしかしたら、これって、軍資金の隠し場所が書かれてるんじゃないですか」
古文書には織田信長の弟信勝が清須城で信長に謀殺されたのを知った信勝の家臣が信勝の居城末森城に蓄えてあった軍資金を信長に奪われないように城内のある場所に埋蔵して隠したという事が書かれているようだった。
「うん、そうなんだ」
三宅は嬉しそうな顔をしてそう言った。
「もしかしたら新発見だとか」
「うん、そうなんだ。調べてみたらそんな記録はどこにもないみたいなんだ。可能性はあるかもしれない」
「すごい、」
「どう、探しに行ってみない」
「えっ、隠されてる場所が分かったんですか」
「古文書に書いてある地図の通りだとすれば、お宝は末森城の中に隠したことになってるんだ」
「そんなお城聞いたことないけど、どこにあるんですか」
「千種区の城山という所らしい」
「じゃあ、探すのはもう無理ですね。あの辺は今はビルやお家でいっぱいですよ」
「うん、そうみたいだね。でも、調べてみたら末森城址跡は城山八幡宮の敷地内に室町時代のまま開発されないで残ってるらしいんだ」
「室町時代からですか、すごい」
「行く気になってきたかい」
「えっ、本当に行くんですか」
「一緒にやって欲しいんだ」
三宅は酒井の目を見つめながらそうお願いした。宝探しのために地下金属スキャナーと金属ロケーターという機器を購入したのだが、一人では二つの機器を同時には使えないからだった。
「良いですけど、その、いつやりに行くんですか」
「今から、じゃどうかなあ」
「えーっ、もしかして、それが目的で私を呼んだんですか」
「うん、もちろんそれ相応の報酬は出させてもらうよ」
「分かりました。今さら帰れないし、やります」
酒井はちょっと不満げな顔をしてそう答えた。めずらしく朝早くから呼び出されたので、ロマンチックなサプライズデートでも用意してくれたのじゃないかと思い込んでいたからだった。
「良かった。では、膳は急げ、行こう」
三宅はソファーから立ち上がった。
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