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第1章
船旅とあの音
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次の日、ハリスにツァスタバの説明をすると唖然とした顔で固まった。生き物を作ったんだから当たり前か。
荷造りの方は大体をツァスタバがやってくれたおかげで早く終わらすことが出来た。
ちなみに名前の呼び方は私のことをマスター、新月のことをお嬢様、ハリスはハリスと呼ぶことに決めたらしい。
私とハリスは問題は無いが新月をお嬢様呼びは似合わないと最初に言ったら腹に頭突きされた。地味に痛い。
ピロリー♪ ピロリーン♪
荷造りが終わると私達は馬車を借りて港町のハーソンへ向かった。
ハーソンは他の大陸からの船がやってくるバブ空港ならぬハブ港だ。他の大陸からあらゆる大陸の人々がやって来るため店の方にも珍しい品々が売られていて明るく賑わっている。
さらに町では漁業が盛んでブイヤベースが名物で私達が乗る船でも食べられるらしい。
ピロリー♪ ピロリーン♪
新月はこの港町でアクセサリーを買ったり、船で食べる用だと言って焼菓子を買い込んでくれたおかげで港に着いた時には船の出航ギリギリで飛び乗ることになった。
だが、
ピロリー♪ ピロリーン♪
「うるさーーい!!!
昨日からずっっっっとマ●クの音鳴ってるけどなに?! ここら辺にマ●クあるの?! ヘイ、店員! 月見●ガー一つ、お持ち帰りで!!」
「お嬢様落ち着いて下さい!!」
「落ち着いて下さい! クロス様、マ●クが何かは知りませんが確かにずっと鳴っていますけどこれは何ですか?!」
私達用に用意された船の個室は特上とはいかないがそこそこきちんとした部屋が二つ、(もう一つの部屋にはベットが一つだったので無理を言って片方をベットが三つある部屋にした)も用意されていた。
部屋はちょっとしたホテルのよううなモダンな造りの部屋で、各部屋ちょっとしたキッチン、バスルームなどがついていた。
ここまではよかった。
よかったのだがさっきからずっと私達の周りでマ●ドナル●の音が鳴り止まない。
なんで鳴り止まないのだろうか? 私が知りたい。あまりの五月蝿さに新月は声までイライラとさせて今にも暴れそうなのをハリスとツァスタバがしがみついてなんとか引き止めている。だがもうそろそろ限界だ。
「マスター、音の原因が何かあるはずです! 心当たりはありませんか?!」
必死な表情で心当たりはないかとツァスタバに聞かれて頭の中で原因を探る。
心当たり―――あ、記憶を遡ると一つの原因らしき存在に行き当たる。
そうだ、あれはハーソンへ向かう直前のことだ。
「部屋がからっぽになったとこでついでにやっておきましょうか! 『劇的!! ビフ●ーア●ター』のお時間です☆ 司会はこの私、キュートでセクスィーな新月ちゃんがお送りします。
ちなみに今日のコーデは船旅ということで『海賊』がモチーフのゴスロリです♡ 可愛いでしょ?」
新月は部屋の中にあった自分の服の山を旅行鞄に入れたことで現代のテレビ番組を真似始めた。
確かに新月の今の格好は羽根飾りが付いたキャプテンハットと袖が大きなシャツと赤いクラシックなコートのようなワンピースを着ている。
けど、こいつ本体の中身は全然キュートでもセクシーでもない。それにコーデなんてどうでもいい。
「どこがキュートでセクシーだ。勝気、いい加減の間違いじゃないのか? 」
「うるしゃーい!! んなことわかってらー……コホン、 気を取り直して本題に戻ります。今回の家はこちら! 『正式名称:ゲルもどき』 平屋、2LDK、ゲル擬きだけどトイレもお風呂も付いたアンビリバボーなお家です☆
しかしながらこのお家は部屋数が少な過ぎるという問題が発生しています。
そこで今回活躍して頂く匠はこちら! クロ先生です!! クロ先生はこのお家をどのように変貌させるのでしょうか?! ビフ●ーア●ター、スタートです!!」
「「「………」」」
ハイテンションな司会とは裏腹に波に乗れない外野、シュールだ。
「ねぇ、黙らないでよ! ここは拍手して欲しいんだけど?! 特にクロ、リフォームするのはクロなんだからなんか喋るなり何なりして欲しいんだけど」
「分かった分かった、早くリフォームする内容を教えろ。とっとと行かないと船に間に合わなくなるぞ」
ぽかーんとしたままのハリスとツァスタバの代わりに頰を膨らませる新月の頬を人差し指で潰す。
潰すと同時に頬が萎み新月はリフォーム内容を語り出す。
「そうだな……
1、部屋数を増やす。これからもどんどん仲間が増えるんだから結構いるよ。
2、部屋全部の空間を広げる。
3、俺とクロ、ハリスくん、つーちゃんの個人部屋にクローゼットをつけること。クロが衣装タンスなんて要らないって言ったんだからちゃんとつけてね。
4、和室、書斎の完備
5、部屋に窓をつける。 ぐらいかな? よろしく」
ーーーなんていうことがあったのだった。
そんなことがあってビフ●ーア●ターは現在進行で【無限の胃袋】に仕舞われたゲルで稼働していた。
でもまさかリフォームをするとこんな可笑しな音が鳴るなんて思ってもいなかった。
思い当たる節を伝えると3人は信じられないといった表情で私の腹部に耳を近づける。
ピロリー♪ ピロリーン♪
「うそーん!! これクロの胃袋から響いてるの?! って、クロから響くマ●クの音www」
じっと待っていると予想通り私から音が響き渡る。
さっきまでのイライラはどこへやら。今にも暴れそうだった新月は原因がわかると床を転げ回った。五月蠅い、こうなったのはお前のせいだろろうが。
****
『拓也様って凄いですね! 頭も顔もいいだけじゃなくって勇者にまで選ばれてしまうのですからぁ~』
『拓也様は羨ましいですな。運だけでなく美女にも恵まれておられるのですから』
『拓也おにーちゃんかっこいい!! いいなぁ~いつか僕も拓也おにーちゃんみたいなかっこいい大人になりたいな!』
『道を開けろーー!! 勇者、拓也様のお通りだぞ!』
『拓也様………………』
『拓也様…………』
『拓也様……』
『拓也様』
………………………………
………………
……
みんな俺のことを様呼びして褒める。
でも、褒められるのはいつものことだけどヒーローのように扱ってくれる。
うれしい!!
小さい頃テレビで見ていたヒーローにはなれないと思っていたけど、ここではそれが叶うんだ!! 凄い、俺はヒーローになったんだ!!
俺は浮かれていた。別に少し褒められるぐらいならとっくの昔に慣れている。
俺は昔から運動神経も良かったし勉強もそこそこできた。だから口ではそれほどでもないと言ってはいたが内心では褒められて当たり前だと考えているところもあった。そんな自分が少し嫌だった。
けど、ここに来てからは俺が褒められないことがあると周りが褒めなかったやつを怒鳴なり、殴った。
そして改めて俺を褒める。そんなことをずっとされると内心で嫌だと思っていたことが当たり前だと感じるようになった。あぁ、うれしい、楽しい、気持ちいい!!
でも俺はこの世界を救わないといけないんだ。辛い思いをしなきゃいけないのは分かっている。分かってはいるが俺が救えばもっと皆が俺を褒めてくれるってのもわかっている!!
みんな、俺は頑張るよ! 頑張ってこの世界を救う。この問題を創り出した原因である魔界に君臨する魔王を倒す!
みんなの話しを聞いて魔王が操っていると俺は確信したからな。だから待っていてくれ、絶対に俺がやってみせるから、
だからその時にはもっと俺を褒めてくれよ。
勇者(?)達 美海
この世界に来てから半年程過ぎたかな?もう数えるのも辞めてしまった。なぜなら私達も変わってしまったからだ。
いや、違う。私以外が変わってしまったの方が正しいかな。
私達がこの世界に来てからは拓也は勇者様と呼ばれて有頂天になっていた。
薫は今でも拓也のストッパーとして有頂天になっている拓也を抑えてくれるから凄く助かっているが、最近は拓也の行動を止めるのに疲れ気味だ。
当たり前だ、その度に剣を喉元に突きつけられるんだから。
今はそうなる前に私も一緒に頭を下げているけど薫はもう限界だと思う。なのに拓也は薫の様子に気づいていない。
佳奈ちゃんと吹雪さんはずっと拓也について回っている。
最初は心細いのかな? と思っていたけど違った。二人はずっと拓也が好きなんだそうだ。
今は、私と拓也が恋人じゃないと知っているから私のことに関しては何も言わないがこの世界に来てからは二人とも焦っているらしい。
原因は単純にこの世界の女性のせいだと私は考えている。
この世界の人達はみんな顔立ちが整っていて背が高い。かつ、体型もモデルのような人がゴロゴロいる。さらに種族、髪の色、目の色、容姿の人がいるのだ。
そんな人が勇者という肩書きを持った拓也に寄って来るのだから2人は自分の存在が霞まないか気が気ではないだろう。
私は……これと言って変わったことは無い。精々魔法とこの世界の知識を学んだ程度だ。何も変わっていない。もしかしたら私が自分で気が付かないうちに変わっているのかもしれないけど。
でもこんな調子でいいのかな?
近々、ここじゃない大陸から私達に魔法を教える人が来るみたいだけどまた拓也達が問題を起こさないか心配になってしまう。
本当に大丈夫かな……?
****
一方、巻き込まれは……
やられた!! 俺達が人が住む街に向かって歩いていている最中とは言えたった数人に襲撃されるなんて―――!
慌てて俺は茂みへと隠れて難を逃れたがあいつらはどうなったのかわからない。もしかして捕まってしまったのか?
だとしたらマズイ、 もう俺しか残っていない。こうなったら捨て身覚悟でこの森を抜けよう。街に着いたら服を着替えてしまえばわからない筈だ。
よし! ならそうと決まれば急ごーーー
「みーつけた」
声がして後ろを振り向くとそこには弓を引き絞った男が俺を見下ろしていた。
「よし、確保ー!! 今日の依頼終了だ!」
「やっと終わったな。こいつら盗賊とあって素早いいから殺さないで捕まえるのに苦労したな」
「あんた達怪我は無い? 特に稔。あんたさ、あたしと同じで接近戦不利でしょ。どっか怪我してない?」
「いや、してないって、朝比奈さんが網描いて大体捕まえてくれたし、伸さんが頭を取っ捕まえてくれたから下っ端を探すのだけで済んだしね」
最後の1人を縄で縛りあげて今日の依頼、『街を襲う盗賊達を捕まえて欲しい』を終わらせたことで俺達から緊張感が一気に抜ける。
あの時スライムに襲われた俺達はサバイバルゲーム並みのアクションと朝比奈さんのチートで魔獣をバッタバッタと倒して人が住む街までたどり着くことが出来た。多分石投げマイスターとか投石兵になれると思う。
残念ながらその街には私立高校ならぬ私立ギルドしかなかったがありがたいことに俺達を加入してくれた。(あとで人間主義のクソどもが多いってわかって俺が暴走しそうになったことがあったが)
そこからは地道に稼いだ。生きるために必要な武器を買うために石や岩を投げまくり、
朝比奈さん作の竜巻やら炎で魔獣を倒し、
時に巻き込まれながらちょこちょこと武器や防具を集めて行った結果。
ギルドランクがSーーーとはいかないがCにまでいくことが出来た。
現在はパーティ『巻き込まれ』として、俺→弓 、伸さん→大剣 、朝比奈さん→スキル無双、の調子で頑張っている。
リーダーは伸さんが担っているが俺達には上下関係は無く、フランクな関係を築いているのでパーティの結束は固い。
ってな訳で俺の今現在の目的はこの三人で元の世界に帰る方法を探しつつ、巻き込んでくれた勇者様達に説教+召喚した挙句に俺達を放置したやつらを土下座させて謝らせるという感じに決まった。
初めはコンサートをぶっ潰されたお返しに同じくぶっ潰してやろうかと朝比奈さんと考えていたけど伸さんが、
「こうなったのは勇者が悪いんじゃない。自分達でどうにかしようとしなかったやつらが悪い」
と俺を宥めてくれたおかげで俺達二人の怒りは説教にまでランクダウンした。
考えていたことに比べれば随分と甘くなってしまったが、仕方がない。思えばあいつらも被害者だったんだ。
「そんじゃまぁ、今日の依頼が終わったから何か食べにいかないか?」
「賛成」「OK♪」
盗賊を引き渡して報酬を貰ったとこで伸さんがご飯を食べに行かないかと提案した。すぐさま俺と朝比奈さんはその案に乗っかる。
あ~でも最近和食食べてないんだよなぁ。今まではこんなに味噌汁と白米がこんなに恋しくなる日が来るなんて思ってなかったけど今はすっっごく恋しい。
でもそれは俺だけじゃなくって伸さんも朝比奈さんも同じことを考えているだろう。
『あ~ぁ、日本に帰りたーい』って、
荷造りの方は大体をツァスタバがやってくれたおかげで早く終わらすことが出来た。
ちなみに名前の呼び方は私のことをマスター、新月のことをお嬢様、ハリスはハリスと呼ぶことに決めたらしい。
私とハリスは問題は無いが新月をお嬢様呼びは似合わないと最初に言ったら腹に頭突きされた。地味に痛い。
ピロリー♪ ピロリーン♪
荷造りが終わると私達は馬車を借りて港町のハーソンへ向かった。
ハーソンは他の大陸からの船がやってくるバブ空港ならぬハブ港だ。他の大陸からあらゆる大陸の人々がやって来るため店の方にも珍しい品々が売られていて明るく賑わっている。
さらに町では漁業が盛んでブイヤベースが名物で私達が乗る船でも食べられるらしい。
ピロリー♪ ピロリーン♪
新月はこの港町でアクセサリーを買ったり、船で食べる用だと言って焼菓子を買い込んでくれたおかげで港に着いた時には船の出航ギリギリで飛び乗ることになった。
だが、
ピロリー♪ ピロリーン♪
「うるさーーい!!!
昨日からずっっっっとマ●クの音鳴ってるけどなに?! ここら辺にマ●クあるの?! ヘイ、店員! 月見●ガー一つ、お持ち帰りで!!」
「お嬢様落ち着いて下さい!!」
「落ち着いて下さい! クロス様、マ●クが何かは知りませんが確かにずっと鳴っていますけどこれは何ですか?!」
私達用に用意された船の個室は特上とはいかないがそこそこきちんとした部屋が二つ、(もう一つの部屋にはベットが一つだったので無理を言って片方をベットが三つある部屋にした)も用意されていた。
部屋はちょっとしたホテルのよううなモダンな造りの部屋で、各部屋ちょっとしたキッチン、バスルームなどがついていた。
ここまではよかった。
よかったのだがさっきからずっと私達の周りでマ●ドナル●の音が鳴り止まない。
なんで鳴り止まないのだろうか? 私が知りたい。あまりの五月蝿さに新月は声までイライラとさせて今にも暴れそうなのをハリスとツァスタバがしがみついてなんとか引き止めている。だがもうそろそろ限界だ。
「マスター、音の原因が何かあるはずです! 心当たりはありませんか?!」
必死な表情で心当たりはないかとツァスタバに聞かれて頭の中で原因を探る。
心当たり―――あ、記憶を遡ると一つの原因らしき存在に行き当たる。
そうだ、あれはハーソンへ向かう直前のことだ。
「部屋がからっぽになったとこでついでにやっておきましょうか! 『劇的!! ビフ●ーア●ター』のお時間です☆ 司会はこの私、キュートでセクスィーな新月ちゃんがお送りします。
ちなみに今日のコーデは船旅ということで『海賊』がモチーフのゴスロリです♡ 可愛いでしょ?」
新月は部屋の中にあった自分の服の山を旅行鞄に入れたことで現代のテレビ番組を真似始めた。
確かに新月の今の格好は羽根飾りが付いたキャプテンハットと袖が大きなシャツと赤いクラシックなコートのようなワンピースを着ている。
けど、こいつ本体の中身は全然キュートでもセクシーでもない。それにコーデなんてどうでもいい。
「どこがキュートでセクシーだ。勝気、いい加減の間違いじゃないのか? 」
「うるしゃーい!! んなことわかってらー……コホン、 気を取り直して本題に戻ります。今回の家はこちら! 『正式名称:ゲルもどき』 平屋、2LDK、ゲル擬きだけどトイレもお風呂も付いたアンビリバボーなお家です☆
しかしながらこのお家は部屋数が少な過ぎるという問題が発生しています。
そこで今回活躍して頂く匠はこちら! クロ先生です!! クロ先生はこのお家をどのように変貌させるのでしょうか?! ビフ●ーア●ター、スタートです!!」
「「「………」」」
ハイテンションな司会とは裏腹に波に乗れない外野、シュールだ。
「ねぇ、黙らないでよ! ここは拍手して欲しいんだけど?! 特にクロ、リフォームするのはクロなんだからなんか喋るなり何なりして欲しいんだけど」
「分かった分かった、早くリフォームする内容を教えろ。とっとと行かないと船に間に合わなくなるぞ」
ぽかーんとしたままのハリスとツァスタバの代わりに頰を膨らませる新月の頬を人差し指で潰す。
潰すと同時に頬が萎み新月はリフォーム内容を語り出す。
「そうだな……
1、部屋数を増やす。これからもどんどん仲間が増えるんだから結構いるよ。
2、部屋全部の空間を広げる。
3、俺とクロ、ハリスくん、つーちゃんの個人部屋にクローゼットをつけること。クロが衣装タンスなんて要らないって言ったんだからちゃんとつけてね。
4、和室、書斎の完備
5、部屋に窓をつける。 ぐらいかな? よろしく」
ーーーなんていうことがあったのだった。
そんなことがあってビフ●ーア●ターは現在進行で【無限の胃袋】に仕舞われたゲルで稼働していた。
でもまさかリフォームをするとこんな可笑しな音が鳴るなんて思ってもいなかった。
思い当たる節を伝えると3人は信じられないといった表情で私の腹部に耳を近づける。
ピロリー♪ ピロリーン♪
「うそーん!! これクロの胃袋から響いてるの?! って、クロから響くマ●クの音www」
じっと待っていると予想通り私から音が響き渡る。
さっきまでのイライラはどこへやら。今にも暴れそうだった新月は原因がわかると床を転げ回った。五月蠅い、こうなったのはお前のせいだろろうが。
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『拓也様って凄いですね! 頭も顔もいいだけじゃなくって勇者にまで選ばれてしまうのですからぁ~』
『拓也様は羨ましいですな。運だけでなく美女にも恵まれておられるのですから』
『拓也おにーちゃんかっこいい!! いいなぁ~いつか僕も拓也おにーちゃんみたいなかっこいい大人になりたいな!』
『道を開けろーー!! 勇者、拓也様のお通りだぞ!』
『拓也様………………』
『拓也様…………』
『拓也様……』
『拓也様』
………………………………
………………
……
みんな俺のことを様呼びして褒める。
でも、褒められるのはいつものことだけどヒーローのように扱ってくれる。
うれしい!!
小さい頃テレビで見ていたヒーローにはなれないと思っていたけど、ここではそれが叶うんだ!! 凄い、俺はヒーローになったんだ!!
俺は浮かれていた。別に少し褒められるぐらいならとっくの昔に慣れている。
俺は昔から運動神経も良かったし勉強もそこそこできた。だから口ではそれほどでもないと言ってはいたが内心では褒められて当たり前だと考えているところもあった。そんな自分が少し嫌だった。
けど、ここに来てからは俺が褒められないことがあると周りが褒めなかったやつを怒鳴なり、殴った。
そして改めて俺を褒める。そんなことをずっとされると内心で嫌だと思っていたことが当たり前だと感じるようになった。あぁ、うれしい、楽しい、気持ちいい!!
でも俺はこの世界を救わないといけないんだ。辛い思いをしなきゃいけないのは分かっている。分かってはいるが俺が救えばもっと皆が俺を褒めてくれるってのもわかっている!!
みんな、俺は頑張るよ! 頑張ってこの世界を救う。この問題を創り出した原因である魔界に君臨する魔王を倒す!
みんなの話しを聞いて魔王が操っていると俺は確信したからな。だから待っていてくれ、絶対に俺がやってみせるから、
だからその時にはもっと俺を褒めてくれよ。
勇者(?)達 美海
この世界に来てから半年程過ぎたかな?もう数えるのも辞めてしまった。なぜなら私達も変わってしまったからだ。
いや、違う。私以外が変わってしまったの方が正しいかな。
私達がこの世界に来てからは拓也は勇者様と呼ばれて有頂天になっていた。
薫は今でも拓也のストッパーとして有頂天になっている拓也を抑えてくれるから凄く助かっているが、最近は拓也の行動を止めるのに疲れ気味だ。
当たり前だ、その度に剣を喉元に突きつけられるんだから。
今はそうなる前に私も一緒に頭を下げているけど薫はもう限界だと思う。なのに拓也は薫の様子に気づいていない。
佳奈ちゃんと吹雪さんはずっと拓也について回っている。
最初は心細いのかな? と思っていたけど違った。二人はずっと拓也が好きなんだそうだ。
今は、私と拓也が恋人じゃないと知っているから私のことに関しては何も言わないがこの世界に来てからは二人とも焦っているらしい。
原因は単純にこの世界の女性のせいだと私は考えている。
この世界の人達はみんな顔立ちが整っていて背が高い。かつ、体型もモデルのような人がゴロゴロいる。さらに種族、髪の色、目の色、容姿の人がいるのだ。
そんな人が勇者という肩書きを持った拓也に寄って来るのだから2人は自分の存在が霞まないか気が気ではないだろう。
私は……これと言って変わったことは無い。精々魔法とこの世界の知識を学んだ程度だ。何も変わっていない。もしかしたら私が自分で気が付かないうちに変わっているのかもしれないけど。
でもこんな調子でいいのかな?
近々、ここじゃない大陸から私達に魔法を教える人が来るみたいだけどまた拓也達が問題を起こさないか心配になってしまう。
本当に大丈夫かな……?
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一方、巻き込まれは……
やられた!! 俺達が人が住む街に向かって歩いていている最中とは言えたった数人に襲撃されるなんて―――!
慌てて俺は茂みへと隠れて難を逃れたがあいつらはどうなったのかわからない。もしかして捕まってしまったのか?
だとしたらマズイ、 もう俺しか残っていない。こうなったら捨て身覚悟でこの森を抜けよう。街に着いたら服を着替えてしまえばわからない筈だ。
よし! ならそうと決まれば急ごーーー
「みーつけた」
声がして後ろを振り向くとそこには弓を引き絞った男が俺を見下ろしていた。
「よし、確保ー!! 今日の依頼終了だ!」
「やっと終わったな。こいつら盗賊とあって素早いいから殺さないで捕まえるのに苦労したな」
「あんた達怪我は無い? 特に稔。あんたさ、あたしと同じで接近戦不利でしょ。どっか怪我してない?」
「いや、してないって、朝比奈さんが網描いて大体捕まえてくれたし、伸さんが頭を取っ捕まえてくれたから下っ端を探すのだけで済んだしね」
最後の1人を縄で縛りあげて今日の依頼、『街を襲う盗賊達を捕まえて欲しい』を終わらせたことで俺達から緊張感が一気に抜ける。
あの時スライムに襲われた俺達はサバイバルゲーム並みのアクションと朝比奈さんのチートで魔獣をバッタバッタと倒して人が住む街までたどり着くことが出来た。多分石投げマイスターとか投石兵になれると思う。
残念ながらその街には私立高校ならぬ私立ギルドしかなかったがありがたいことに俺達を加入してくれた。(あとで人間主義のクソどもが多いってわかって俺が暴走しそうになったことがあったが)
そこからは地道に稼いだ。生きるために必要な武器を買うために石や岩を投げまくり、
朝比奈さん作の竜巻やら炎で魔獣を倒し、
時に巻き込まれながらちょこちょこと武器や防具を集めて行った結果。
ギルドランクがSーーーとはいかないがCにまでいくことが出来た。
現在はパーティ『巻き込まれ』として、俺→弓 、伸さん→大剣 、朝比奈さん→スキル無双、の調子で頑張っている。
リーダーは伸さんが担っているが俺達には上下関係は無く、フランクな関係を築いているのでパーティの結束は固い。
ってな訳で俺の今現在の目的はこの三人で元の世界に帰る方法を探しつつ、巻き込んでくれた勇者様達に説教+召喚した挙句に俺達を放置したやつらを土下座させて謝らせるという感じに決まった。
初めはコンサートをぶっ潰されたお返しに同じくぶっ潰してやろうかと朝比奈さんと考えていたけど伸さんが、
「こうなったのは勇者が悪いんじゃない。自分達でどうにかしようとしなかったやつらが悪い」
と俺を宥めてくれたおかげで俺達二人の怒りは説教にまでランクダウンした。
考えていたことに比べれば随分と甘くなってしまったが、仕方がない。思えばあいつらも被害者だったんだ。
「そんじゃまぁ、今日の依頼が終わったから何か食べにいかないか?」
「賛成」「OK♪」
盗賊を引き渡して報酬を貰ったとこで伸さんがご飯を食べに行かないかと提案した。すぐさま俺と朝比奈さんはその案に乗っかる。
あ~でも最近和食食べてないんだよなぁ。今まではこんなに味噌汁と白米がこんなに恋しくなる日が来るなんて思ってなかったけど今はすっっごく恋しい。
でもそれは俺だけじゃなくって伸さんも朝比奈さんも同じことを考えているだろう。
『あ~ぁ、日本に帰りたーい』って、
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