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唐突マリッジ
デビュタントでもひと騒動、やっぱあのクズ殴り足りなかったか
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「アイヒベルク候爵令嬢、パトリシア・アイヒベルク様!!」
ボールルームに轟く最後のデビュタントの名前。
恐らく、最も注目されているデビュタントの名前。
ヘデラ国2人目の魔女で3人目の魔力保持者パトリシア・アイヒベルクの社交界生活は感嘆と少しのざわめきで幕を開けた。
皆さんどうも、お久しぶりです。
パトリシア・アイヒベルクです。
この度、社交界デビューを果たしましたが、波乱の幕開けも果たしてしまいました。
と言うのも、通常社交界デビューでは主役である娘の為に母親か親戚が後援者となり、婚約者か父親もしくは兄弟、従兄弟にエスコートされるのが好ましいのですが……私のエスコート役は親戚でも何でもないつい数日前に知り合ったばかりの貴族令息セシル様です。
「アイヒベルク嬢……確か2人目の魔女でしたよね?あの母親に嫌われているとか言う」
「母親に嫌われていてもデビュタントには間に合ったようだな」
「アイヒベルク嬢のエスコートをしているのは……誰かしら?」
「きっと誰でもないわ、あの様な殿方は見たことが無いもの」
順を追って説明をざっくりすると、母親は私のデビュタントなんぞ何処吹く風を隠しもしねえ、むしろ邪魔をしてくる始末、そんな母親を見て同調するはメイドたちや私の弟妹共、そんな状況を見かねたパパンが師匠と侃侃諤諤の言い争いを経て何とかして用意してくれたデビュタントの為の真っ白なドレスと黒の毒草モチーフのラインが入った魔女であることを示すための他とは違うオペラグローブ。
ただ、頑張ってくれたパパンとお師匠でも何とか出来なかったのが私のエスコート役、私の家はものすごくごちゃごちゃしている上に弟はまだ社交界デビューはおろか母親にベッタリな歳頃、エスコートなんぞできる訳がなかろうもん!!
親戚連中に声をかけたものの、毒の魔女たる私をエスコートなんぞしたがるバカはいる訳が無く、居たとしてもパパの権力に擦り寄るゴミか私の毒の知識を宛にして証拠の残らない毒を聞きに来た蛆虫共のみ。
そんなヤツらに私のデビュタントを汚されてたまるかとパパが言うもんだから私のエスコート役探しは2週間で暗礁に乗り上げた。
そんな折にどこのツテかは知らんけども、私よりも2年ほど前に社交界デビューを果たしてる貴族令息がたまたまお師匠に用事があり訪ねてきたという髪の毛の何分の一と思える程のほっそい縁を無理矢理太くして今に至るという訳だ。
(無理にデビューしなくてもいいとは思うんだけどな……)
「ハァー(´- _-`)……」
「すみません、歩くのが早かったですか?それとも、僕のような者と歩くのは億劫ですか?」
思わず吐いた溜息が隣に居たセシル様に聞こえてしまい誤解させてしまった。
「あ、いえ!こんな私のデビュタントに付き合っていただいている時点で感謝してもしきれないほどです!」
今や知らぬ者の方が珍しい程社交界のみならず世界的にも有名になってしまった私の魔女ネーム"毒の魔女"、それを知ってもエスコート役を買って出てくれた彼にはとてつもなく感謝しかないのに、一緒に歩くのが億劫だとか思うわけがない。
「そんなに卑下なさらないでください。今夜のアイヒベルク嬢はとてもお綺麗なんですから、共に歩くだけでも緊張してしまいます」
ゆるふわ系いやサモエド男子とでも言うのだろうか、雰囲気がとても柔らかくふわっふわなセシル様はサモエドを彷彿させるスマイルを私に見せた。
「デ……デビュタントボールですからね!それなりに気合いを入れろと磨かれた結果です!」
(全く顔が熱い!!面と向かってそんな歯の浮くセリフをよく言えたもんだ!!)
予め決められたようなセリフのような気もするけど、それでも目を見つめながら言われたらそれなりに嬉しい気もしてくるのが人間だろう。
(何より、普段褒めてくれる異性と言えばパパかお師匠のみ、そんな私の目を見ながらあんなセリフを吐くなんて……デビュタントボールのエスコート役とは言え、婚約者でもない親戚でもないデビュタントの女子を誑かすような発言はいかがなものかと(ry……)
前世はヲタ活に忙しい喪女だったし、今世はとんでも魔女ネームを拝す貴族令嬢だし、異性に対する耐性なんぞある訳がない。
絶対にあのクズ─駄神─が仕組んだな、間違いねえ。
天才魔女パティちゃん特製の猛毒投げつけたろかあの野郎。
事が起こったのはデビュタントボールの定番、デビュタント達のダンスも何とか終わり(お師匠から地獄のレッスンの賜物だろうけど二度と受けたくはないよね)デビュタント達の着替えが終わり歓談の時間となってすぐの事だった。
多分これもあの邪神が仕掛けたんだろうけど、デビュタント用の白いドレスから薄紫にこれまた毒草のラインが入ったドレスに着替えセシル様からの可愛いの一言にまた照れたりパパのアレコレを狙う人達をやり過ごしたりと目まぐるしく過ごし、やっと一息ついた私の元にやたら派手な装飾が施されたドレスに身を包んだご令嬢がやってきたのがきっかけだった。
「失礼いたします。毒の魔女パトリシア様ですよね?」
「えっと、毒の魔女であり、アイヒベルク侯爵が娘パトリシアは私ですが……何か?」
「アイヒベルク侯爵令嬢にご挨拶申し上げますわ、わたくしジャスパー伯爵が娘アンジェラ・ジャスパーですわ」
「ジャスパー伯爵……」
今回のデビュタントボールを王室が主催することが決定したのは二年前、その発表から半年も経たないうちにとあるニュースが王国中の新聞社がこぞって取り上げた。
〖ジャスパー伯爵の次女、"原始の呪い"発動〗
〖社交界の華の1人アンジェラ・ジャスパー伯爵令嬢の妹君に"原始の呪い"アンジェラ嬢に降りかかる悲劇〗
〖"原始の呪い"またも発動、呪いからの脱却またも失敗〗
〖社交界の華の1人アンジェラ嬢必死の看病虚しく妹君、呪い発動〗
〖ジャスパー伯爵次女に降りかかった"原始の呪い"とは〗
"原始の呪い"それはこの王国の国民として誰もが知っておくべきもの。
それこそ、子供の頃から童歌としてずっと語り継がれるくらいには、国民にとって身近な物語。
ヘデラがある限り、いやヘデラが滅ぼうとも語り継がれる物語。
転生した私も例に漏れず、パパや乳母(すぐ辞めて交代早いけど)、お師匠やメイド達に聞いた事がある話だ。
"闇の時代と呼ばれた時代に、神と共に歩み、神が望む闇を打ち払う光溢れる国を作ったヘデラの初代王と後に貴族達の祖となる配下達は欲をかいた。
神の力のほんの一部を分け与えられヘデラを建国したことで神の力を操ることが出来る選ばれた人間だと思ってしまったのだ。
初代王とその配下は神を騙し、殺して、挙句の果てにはその肉を食らった。
だが、彼らに神の力が宿ることはなかった。
その代わり、彼らに宿ったのが今尚続く"原始の呪い"ある者は身体から絶え間なく瘴気を発生させ周辺を不毛の地とし、またある者は身体が腐り続けても死ねない呪いを受け、ある者は見るに堪えない姿になり、またある者は無意識に魔物を呼び寄せいくつも村を壊滅させた。
初代王とその配下がいなくなっても、子孫達が神に償いを続けても尚その呪いは残り続けた。
いつ呪いが発動するのか、誰がその餌食となるのかは誰にも分からない。
ただ一つわかることは、神の呪いはこれからも続いていくということだけ、それがヘデラに今尚続く"原始の呪い"なのです"
と言った感じの端的に言えば神による人間達に対する超陰湿なネチネチ粘着嫌がらせ復讐劇が"原始の呪い"。
何が当たるか誰が当たるかは完全ランダム、誰得の強制呪いピックアップガチャだ。
その時の事を描いた絵本は国中に溢れかえっていたから何冊か読んだところ確信した事がある。
"原始の呪い"を与えたのは私と私のマブを転生させやがったあのクズのものすごく近い関係者であろうということ。
まだ憶測の域を出ないから何とも言えないけど、十中八九あのクズは何か知ってる。
だけどあのクズと連絡を取る手段がまだ私の手元に無いから確かめられないけど、絶対に何か知っているし、この世界に転生させた理由も賭けでとかバカみたいな理由だけでそうしたにしては私の身分が高すぎるしね。
多分魔女の役職を与えたのも、何かして欲しいって言うのもあったんでしょ、こじつけかもしれないけど。
さて、今回呪いが発動したジャスパー伯爵の次女は目の前に居るアンジェラではなく彼女の2つ下の妹で私と同い年の本当なら今日デビュタントであるはずのカーラ。
傲慢不遜だが人心掌握に長けたアンジェラとは違い、清廉という言葉が誰よりも似合う淑女として名を馳せていた彼女にも等しく呪いは発動してしまったらしい。
「改めてご挨拶申し上げます。本日デビュタントとなりましたアイヒベルク侯爵が娘であり、毒の魔女の名を拝しておりますパトリシア・アイヒベルクです。妹君はいらっしゃっていない様ですね、面識はございませんが同い年のご令嬢です。お見舞いを言わせてください」
なぜ伯爵令嬢である彼女が私に話しかけてきたのか、まずはそれから探らなければ何も始まらない。
ジャスパー伯爵令嬢のアンジェラは傲慢な性格ではあるものの、社交界を渡り歩く能力は持ち合わせていた。
その証拠に新聞社の多くは呪いの発動したカーラ本人はそっちのけで、アンジェラに対しての同情を煽る記事ばかり掲載していたし、今も遠巻きではあるもののアンジェラを気遣う取り巻きが男女問わずこちらを伺い見ている。
新聞の記事に関してはおそらくジャスパー伯爵が新聞社を買収していたのだろうと推察できる、ジャスパー伯爵には娘しかいないからどちらかに婿を取ってもらって領地を運営させるつもりだったのに次女が呪いの餌食となった為に、アンジェラに同情を集めて婚活を有利にしようとしたのだろう。
だけどアンジェラが私にわざわざ話しかけてくるのはどういう事?
社交界デビュー前からそこまでいい印象の無い毒の魔女に話しかけても結婚にプラスになるとは思えない。
「まぁ、面識も無い不肖の妹にお見舞いだなんて。アイヒベルク嬢はお優しい方なんですのね」
「友人と呼べる方はレティシア伯爵令嬢くらいなものですから、デビュタントを機に友人と呼べる方が少しでも増えたらと思っていたので」
嘘は言ってない、友人と呼べる存在はぶっちゃけレティシアしかいなかったのは事実だし、前世でもマブの友菜しかいなかったし、せめてもうちょっと人脈広げたら的な事をパパやお師匠からもそれとなく言われたってのもある。
「それでジャスパー伯爵令嬢、私に何かご用でしょうか?」
「アンジェラとお呼びください、アイヒベルク嬢」
「アンジェラ嬢、ご用件は?」
とっとと用件を言え、と言わんばかりに迫ると一瞬言葉を詰まらせて見せたものの、わざとらしくウルウルと目に涙を一瞬で浮かべて私の手をガッシリと握りこう言い放った。
「お願いいたします!わたくしとお父様をお助けください!!」
その瞬間ようやく気付いた。
あの邪神が人のデビュタントに仕組んでくださりやがった面倒事だと言う事に……
ボールルームに轟く最後のデビュタントの名前。
恐らく、最も注目されているデビュタントの名前。
ヘデラ国2人目の魔女で3人目の魔力保持者パトリシア・アイヒベルクの社交界生活は感嘆と少しのざわめきで幕を開けた。
皆さんどうも、お久しぶりです。
パトリシア・アイヒベルクです。
この度、社交界デビューを果たしましたが、波乱の幕開けも果たしてしまいました。
と言うのも、通常社交界デビューでは主役である娘の為に母親か親戚が後援者となり、婚約者か父親もしくは兄弟、従兄弟にエスコートされるのが好ましいのですが……私のエスコート役は親戚でも何でもないつい数日前に知り合ったばかりの貴族令息セシル様です。
「アイヒベルク嬢……確か2人目の魔女でしたよね?あの母親に嫌われているとか言う」
「母親に嫌われていてもデビュタントには間に合ったようだな」
「アイヒベルク嬢のエスコートをしているのは……誰かしら?」
「きっと誰でもないわ、あの様な殿方は見たことが無いもの」
順を追って説明をざっくりすると、母親は私のデビュタントなんぞ何処吹く風を隠しもしねえ、むしろ邪魔をしてくる始末、そんな母親を見て同調するはメイドたちや私の弟妹共、そんな状況を見かねたパパンが師匠と侃侃諤諤の言い争いを経て何とかして用意してくれたデビュタントの為の真っ白なドレスと黒の毒草モチーフのラインが入った魔女であることを示すための他とは違うオペラグローブ。
ただ、頑張ってくれたパパンとお師匠でも何とか出来なかったのが私のエスコート役、私の家はものすごくごちゃごちゃしている上に弟はまだ社交界デビューはおろか母親にベッタリな歳頃、エスコートなんぞできる訳がなかろうもん!!
親戚連中に声をかけたものの、毒の魔女たる私をエスコートなんぞしたがるバカはいる訳が無く、居たとしてもパパの権力に擦り寄るゴミか私の毒の知識を宛にして証拠の残らない毒を聞きに来た蛆虫共のみ。
そんなヤツらに私のデビュタントを汚されてたまるかとパパが言うもんだから私のエスコート役探しは2週間で暗礁に乗り上げた。
そんな折にどこのツテかは知らんけども、私よりも2年ほど前に社交界デビューを果たしてる貴族令息がたまたまお師匠に用事があり訪ねてきたという髪の毛の何分の一と思える程のほっそい縁を無理矢理太くして今に至るという訳だ。
(無理にデビューしなくてもいいとは思うんだけどな……)
「ハァー(´- _-`)……」
「すみません、歩くのが早かったですか?それとも、僕のような者と歩くのは億劫ですか?」
思わず吐いた溜息が隣に居たセシル様に聞こえてしまい誤解させてしまった。
「あ、いえ!こんな私のデビュタントに付き合っていただいている時点で感謝してもしきれないほどです!」
今や知らぬ者の方が珍しい程社交界のみならず世界的にも有名になってしまった私の魔女ネーム"毒の魔女"、それを知ってもエスコート役を買って出てくれた彼にはとてつもなく感謝しかないのに、一緒に歩くのが億劫だとか思うわけがない。
「そんなに卑下なさらないでください。今夜のアイヒベルク嬢はとてもお綺麗なんですから、共に歩くだけでも緊張してしまいます」
ゆるふわ系いやサモエド男子とでも言うのだろうか、雰囲気がとても柔らかくふわっふわなセシル様はサモエドを彷彿させるスマイルを私に見せた。
「デ……デビュタントボールですからね!それなりに気合いを入れろと磨かれた結果です!」
(全く顔が熱い!!面と向かってそんな歯の浮くセリフをよく言えたもんだ!!)
予め決められたようなセリフのような気もするけど、それでも目を見つめながら言われたらそれなりに嬉しい気もしてくるのが人間だろう。
(何より、普段褒めてくれる異性と言えばパパかお師匠のみ、そんな私の目を見ながらあんなセリフを吐くなんて……デビュタントボールのエスコート役とは言え、婚約者でもない親戚でもないデビュタントの女子を誑かすような発言はいかがなものかと(ry……)
前世はヲタ活に忙しい喪女だったし、今世はとんでも魔女ネームを拝す貴族令嬢だし、異性に対する耐性なんぞある訳がない。
絶対にあのクズ─駄神─が仕組んだな、間違いねえ。
天才魔女パティちゃん特製の猛毒投げつけたろかあの野郎。
事が起こったのはデビュタントボールの定番、デビュタント達のダンスも何とか終わり(お師匠から地獄のレッスンの賜物だろうけど二度と受けたくはないよね)デビュタント達の着替えが終わり歓談の時間となってすぐの事だった。
多分これもあの邪神が仕掛けたんだろうけど、デビュタント用の白いドレスから薄紫にこれまた毒草のラインが入ったドレスに着替えセシル様からの可愛いの一言にまた照れたりパパのアレコレを狙う人達をやり過ごしたりと目まぐるしく過ごし、やっと一息ついた私の元にやたら派手な装飾が施されたドレスに身を包んだご令嬢がやってきたのがきっかけだった。
「失礼いたします。毒の魔女パトリシア様ですよね?」
「えっと、毒の魔女であり、アイヒベルク侯爵が娘パトリシアは私ですが……何か?」
「アイヒベルク侯爵令嬢にご挨拶申し上げますわ、わたくしジャスパー伯爵が娘アンジェラ・ジャスパーですわ」
「ジャスパー伯爵……」
今回のデビュタントボールを王室が主催することが決定したのは二年前、その発表から半年も経たないうちにとあるニュースが王国中の新聞社がこぞって取り上げた。
〖ジャスパー伯爵の次女、"原始の呪い"発動〗
〖社交界の華の1人アンジェラ・ジャスパー伯爵令嬢の妹君に"原始の呪い"アンジェラ嬢に降りかかる悲劇〗
〖"原始の呪い"またも発動、呪いからの脱却またも失敗〗
〖社交界の華の1人アンジェラ嬢必死の看病虚しく妹君、呪い発動〗
〖ジャスパー伯爵次女に降りかかった"原始の呪い"とは〗
"原始の呪い"それはこの王国の国民として誰もが知っておくべきもの。
それこそ、子供の頃から童歌としてずっと語り継がれるくらいには、国民にとって身近な物語。
ヘデラがある限り、いやヘデラが滅ぼうとも語り継がれる物語。
転生した私も例に漏れず、パパや乳母(すぐ辞めて交代早いけど)、お師匠やメイド達に聞いた事がある話だ。
"闇の時代と呼ばれた時代に、神と共に歩み、神が望む闇を打ち払う光溢れる国を作ったヘデラの初代王と後に貴族達の祖となる配下達は欲をかいた。
神の力のほんの一部を分け与えられヘデラを建国したことで神の力を操ることが出来る選ばれた人間だと思ってしまったのだ。
初代王とその配下は神を騙し、殺して、挙句の果てにはその肉を食らった。
だが、彼らに神の力が宿ることはなかった。
その代わり、彼らに宿ったのが今尚続く"原始の呪い"ある者は身体から絶え間なく瘴気を発生させ周辺を不毛の地とし、またある者は身体が腐り続けても死ねない呪いを受け、ある者は見るに堪えない姿になり、またある者は無意識に魔物を呼び寄せいくつも村を壊滅させた。
初代王とその配下がいなくなっても、子孫達が神に償いを続けても尚その呪いは残り続けた。
いつ呪いが発動するのか、誰がその餌食となるのかは誰にも分からない。
ただ一つわかることは、神の呪いはこれからも続いていくということだけ、それがヘデラに今尚続く"原始の呪い"なのです"
と言った感じの端的に言えば神による人間達に対する超陰湿なネチネチ粘着嫌がらせ復讐劇が"原始の呪い"。
何が当たるか誰が当たるかは完全ランダム、誰得の強制呪いピックアップガチャだ。
その時の事を描いた絵本は国中に溢れかえっていたから何冊か読んだところ確信した事がある。
"原始の呪い"を与えたのは私と私のマブを転生させやがったあのクズのものすごく近い関係者であろうということ。
まだ憶測の域を出ないから何とも言えないけど、十中八九あのクズは何か知ってる。
だけどあのクズと連絡を取る手段がまだ私の手元に無いから確かめられないけど、絶対に何か知っているし、この世界に転生させた理由も賭けでとかバカみたいな理由だけでそうしたにしては私の身分が高すぎるしね。
多分魔女の役職を与えたのも、何かして欲しいって言うのもあったんでしょ、こじつけかもしれないけど。
さて、今回呪いが発動したジャスパー伯爵の次女は目の前に居るアンジェラではなく彼女の2つ下の妹で私と同い年の本当なら今日デビュタントであるはずのカーラ。
傲慢不遜だが人心掌握に長けたアンジェラとは違い、清廉という言葉が誰よりも似合う淑女として名を馳せていた彼女にも等しく呪いは発動してしまったらしい。
「改めてご挨拶申し上げます。本日デビュタントとなりましたアイヒベルク侯爵が娘であり、毒の魔女の名を拝しておりますパトリシア・アイヒベルクです。妹君はいらっしゃっていない様ですね、面識はございませんが同い年のご令嬢です。お見舞いを言わせてください」
なぜ伯爵令嬢である彼女が私に話しかけてきたのか、まずはそれから探らなければ何も始まらない。
ジャスパー伯爵令嬢のアンジェラは傲慢な性格ではあるものの、社交界を渡り歩く能力は持ち合わせていた。
その証拠に新聞社の多くは呪いの発動したカーラ本人はそっちのけで、アンジェラに対しての同情を煽る記事ばかり掲載していたし、今も遠巻きではあるもののアンジェラを気遣う取り巻きが男女問わずこちらを伺い見ている。
新聞の記事に関してはおそらくジャスパー伯爵が新聞社を買収していたのだろうと推察できる、ジャスパー伯爵には娘しかいないからどちらかに婿を取ってもらって領地を運営させるつもりだったのに次女が呪いの餌食となった為に、アンジェラに同情を集めて婚活を有利にしようとしたのだろう。
だけどアンジェラが私にわざわざ話しかけてくるのはどういう事?
社交界デビュー前からそこまでいい印象の無い毒の魔女に話しかけても結婚にプラスになるとは思えない。
「まぁ、面識も無い不肖の妹にお見舞いだなんて。アイヒベルク嬢はお優しい方なんですのね」
「友人と呼べる方はレティシア伯爵令嬢くらいなものですから、デビュタントを機に友人と呼べる方が少しでも増えたらと思っていたので」
嘘は言ってない、友人と呼べる存在はぶっちゃけレティシアしかいなかったのは事実だし、前世でもマブの友菜しかいなかったし、せめてもうちょっと人脈広げたら的な事をパパやお師匠からもそれとなく言われたってのもある。
「それでジャスパー伯爵令嬢、私に何かご用でしょうか?」
「アンジェラとお呼びください、アイヒベルク嬢」
「アンジェラ嬢、ご用件は?」
とっとと用件を言え、と言わんばかりに迫ると一瞬言葉を詰まらせて見せたものの、わざとらしくウルウルと目に涙を一瞬で浮かべて私の手をガッシリと握りこう言い放った。
「お願いいたします!わたくしとお父様をお助けください!!」
その瞬間ようやく気付いた。
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