思いのたけ

那智

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君へ

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 子育てが思い通りにいかない中で、突然子供の頃を思い出す。

 学生時代は親元を離れ、ただただ楽しくて。

 独身時代は、自由に使えるだけの収入があり、これでもかというくらいアフターファイブを楽しみ、ただただ今を生きていた。

 結婚しても仕事を辞めず、夫と二人分の自由と不自由を楽しんだ。

 子供が出来て出産前に仕事を辞めると、自分の中でうごめく不思議な存在との会話を楽しんだ。

 一つの体が二つに分かれ、子育てに不安を感じた頃に現れた思い出。ひとつ顔を覗かせると、様々なことが溢れ出す。

 出産で君が顔を覗かせた時のように、心の中が暖かさで一杯になる。


 私がたくさんの体験を楽しんだように、君もたくさんの体験をしていくのだね。君には君の…。

 私はそんな君を見守っていくことにしよう。
 
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