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第1章至る平安
スローライフ始めます
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地上に降りて、書物の普及している勢力範囲を広げるのはいいんだが、今の所、公文書以外に紙が使われているのを見たことがない。
確かに、抵抗勢力はごまんといるから物語を書くと言う方向に紙を消費するのは難しんだろうと思うけど、やっぱり勿体無い。
せっかく紙があるんだ。誰かが描いた作品を読んで読まれて切磋琢磨したい。
そのために、やっぱり勢力拡大が不可欠だ。
この辺りの地方は大体片付いたんだし、そろそろもっと広い領域に目を向けるべきなのではないか。
俺はそんな感じで、目的をぼかしつつ、ニニギのひ孫のカムヤマトに進言をした。
そう。ダラダラしている間にいつの間にか代替わりが行われていたのだ。ちょっと時間感覚がおかしいような気もするけど、俺の中では普通だな。
長命種族特有の時間感覚だろう。ちなみにオモイカネは国が軌道に乗ったらいなくなっていた。いや俺を置いていくなよ。
仕方ないのでまだここにとどまっている。居心地は悪くないしな。
ひいおじいちゃんの代から生きている謎の女性と思われているらしい俺の意見は、普通に通った。顔色を伺われていたりビクビクされていたりするようだが、そんな怖い人じゃないからね。誤解しないでね。
にっこりと微笑んだら、カムヤマトの顔が青くなった。解せない。
●
カムヤマトは無事に東征を果たして、天皇という称号を作った。
天皇家。前世の記憶が曖昧だが、前世でもあったような気がする。
薄々気づいているけど、これ異世界じゃなくて、過去だよね?
いやでも、俺みたいな存在は想像上の生き物だったはずだし、神様なんていなかったはずだし⋯⋯。うん。やめよう。細かいことを考えるのは。
とりあえずこれで、初めてきちんとした国ができたんだ。まずはそれを喜ぼう。
ようし。小説書くぞ!
えっ? 紙が足りない?
そんなあ。
仕方がないから紙を作っているところに行って、もっと生産量を増やすように言ってみよう。
●
紙づくり
やってきました。こちらで紙を作っているみたいです。早速お邪魔して行きましょう。
失礼しまーす。
「あっ?なんだ女。ここは女の来るところじゃねえ。」
まあまあそう言わずに。
大変職人気質(かたぎ)の生産者さんみたいですね。
そこらへんはなあなあで押し通ります。
どうやって作っているんでしょうか。
「ああ?そりゃあこの大麻を刻んですりつぶすとこから始めるんだよ。」
見ればたくさんのお弟子さんたちが、何やら植物の茎を臼でひいていますね。
なるほどこれが紙の原料になる。そういうわけでしょう。
でもこれでは、ただ植物の繊維を細かくしただけです。これをどうすれば良いのでしょうか。
「次の行程はあっちだ。ついて行ってみな。」
職人さんがしゃくって示した先には、潰した繊維を運ぶ弟子さんの姿が。
早速追いかけてみましょう。
こんにちは。どこに運んでいるんですか?
「ウヒャア。綺麗な女の人?!」
とてつもなく驚かれてしまいましたが悪い気はしませんね。
むしろ良い気分です。なでなでしてあげましょう。
「いきなり何を。落ち着く⋯⋯。じゃなくて!」
恍惚とした表情からすぐに戻ってきました。
優秀なお弟子さんですね。
事情を話すと、ついてくるように言われました。
先から水音が聞こえます。
これは、川ですね。
川を使って何かやっているんでしょうか。
気になるところです。
おおっと。職人さんが一人一人真剣な表情で両手に器具を持ちながら何かの容器をのぞいています。時々器具を揺らしているようですが、あれは何をやっているのでしょう?
「あれは、繊維が均等になるように振っているんですよ。出来上がればわかります。」
お弟子さんが答えてくれました。
なるほど。麻の繊維はゴワゴワしていますもんね。
慎重に均(な)らす必要がありそうです。
あっと、一つ完成したようです。
職人さんが両手に持つ器具はちょうど盆のような形をしていて、竹でできた底に繊維が溜まっていました。濾過されて本当に紙みたいな様子です。
繊維を叩き潰していた時は影も形も想像できなかったですが、ここまでくると、これが紙の元なんだとわかりますね。
「あとはあれを乾燥させてしまえば完成です。完成形を見ます?」
ええ。ぜひ。
⋯⋯⋯⋯
うわあ。
紙がこんなに。ここは天国みたいですね。
一生ここに住みたいです。
「あははは。冗談ですよね。本当なら歓迎しますよ。」
●
完全に見知らぬ女としての見学だったけど、堂々としていたのがよかったのか、インタビューの真似事が出来た。
だいたい理解したぞ。
紙を大量生産するには、まず、材料である大麻の大量生産。
そして、紙職人の育成。
この二つが重要な要素なのではないだろうか。
あとは、製紙方法の改善もできるかもしれないが、俺に知識がない。
渡来人をとっ捕まえて、製紙の知識がないか聞くほうが早そうだ。
どうしてもこの国の技術は遅れているようだからな。
まずは大麻の大量生産に取りかかるとしよう。
俺は時の天皇に願い出て、土地をもらった。
そんなに怖がらなくていいから。これからは農家みたいな感じになって隠居するから。
せっかく暗殺から身を守ってたのに。ひどいやつだな。まあ、もう暗殺者なんて気にしなくても大丈夫だろ。国も十分大きくなったし。
こっから俺の農業系人生の始まりだ!
⋯⋯なんだか迷走しているような気がする。
確かに、抵抗勢力はごまんといるから物語を書くと言う方向に紙を消費するのは難しんだろうと思うけど、やっぱり勿体無い。
せっかく紙があるんだ。誰かが描いた作品を読んで読まれて切磋琢磨したい。
そのために、やっぱり勢力拡大が不可欠だ。
この辺りの地方は大体片付いたんだし、そろそろもっと広い領域に目を向けるべきなのではないか。
俺はそんな感じで、目的をぼかしつつ、ニニギのひ孫のカムヤマトに進言をした。
そう。ダラダラしている間にいつの間にか代替わりが行われていたのだ。ちょっと時間感覚がおかしいような気もするけど、俺の中では普通だな。
長命種族特有の時間感覚だろう。ちなみにオモイカネは国が軌道に乗ったらいなくなっていた。いや俺を置いていくなよ。
仕方ないのでまだここにとどまっている。居心地は悪くないしな。
ひいおじいちゃんの代から生きている謎の女性と思われているらしい俺の意見は、普通に通った。顔色を伺われていたりビクビクされていたりするようだが、そんな怖い人じゃないからね。誤解しないでね。
にっこりと微笑んだら、カムヤマトの顔が青くなった。解せない。
●
カムヤマトは無事に東征を果たして、天皇という称号を作った。
天皇家。前世の記憶が曖昧だが、前世でもあったような気がする。
薄々気づいているけど、これ異世界じゃなくて、過去だよね?
いやでも、俺みたいな存在は想像上の生き物だったはずだし、神様なんていなかったはずだし⋯⋯。うん。やめよう。細かいことを考えるのは。
とりあえずこれで、初めてきちんとした国ができたんだ。まずはそれを喜ぼう。
ようし。小説書くぞ!
えっ? 紙が足りない?
そんなあ。
仕方がないから紙を作っているところに行って、もっと生産量を増やすように言ってみよう。
●
紙づくり
やってきました。こちらで紙を作っているみたいです。早速お邪魔して行きましょう。
失礼しまーす。
「あっ?なんだ女。ここは女の来るところじゃねえ。」
まあまあそう言わずに。
大変職人気質(かたぎ)の生産者さんみたいですね。
そこらへんはなあなあで押し通ります。
どうやって作っているんでしょうか。
「ああ?そりゃあこの大麻を刻んですりつぶすとこから始めるんだよ。」
見ればたくさんのお弟子さんたちが、何やら植物の茎を臼でひいていますね。
なるほどこれが紙の原料になる。そういうわけでしょう。
でもこれでは、ただ植物の繊維を細かくしただけです。これをどうすれば良いのでしょうか。
「次の行程はあっちだ。ついて行ってみな。」
職人さんがしゃくって示した先には、潰した繊維を運ぶ弟子さんの姿が。
早速追いかけてみましょう。
こんにちは。どこに運んでいるんですか?
「ウヒャア。綺麗な女の人?!」
とてつもなく驚かれてしまいましたが悪い気はしませんね。
むしろ良い気分です。なでなでしてあげましょう。
「いきなり何を。落ち着く⋯⋯。じゃなくて!」
恍惚とした表情からすぐに戻ってきました。
優秀なお弟子さんですね。
事情を話すと、ついてくるように言われました。
先から水音が聞こえます。
これは、川ですね。
川を使って何かやっているんでしょうか。
気になるところです。
おおっと。職人さんが一人一人真剣な表情で両手に器具を持ちながら何かの容器をのぞいています。時々器具を揺らしているようですが、あれは何をやっているのでしょう?
「あれは、繊維が均等になるように振っているんですよ。出来上がればわかります。」
お弟子さんが答えてくれました。
なるほど。麻の繊維はゴワゴワしていますもんね。
慎重に均(な)らす必要がありそうです。
あっと、一つ完成したようです。
職人さんが両手に持つ器具はちょうど盆のような形をしていて、竹でできた底に繊維が溜まっていました。濾過されて本当に紙みたいな様子です。
繊維を叩き潰していた時は影も形も想像できなかったですが、ここまでくると、これが紙の元なんだとわかりますね。
「あとはあれを乾燥させてしまえば完成です。完成形を見ます?」
ええ。ぜひ。
⋯⋯⋯⋯
うわあ。
紙がこんなに。ここは天国みたいですね。
一生ここに住みたいです。
「あははは。冗談ですよね。本当なら歓迎しますよ。」
●
完全に見知らぬ女としての見学だったけど、堂々としていたのがよかったのか、インタビューの真似事が出来た。
だいたい理解したぞ。
紙を大量生産するには、まず、材料である大麻の大量生産。
そして、紙職人の育成。
この二つが重要な要素なのではないだろうか。
あとは、製紙方法の改善もできるかもしれないが、俺に知識がない。
渡来人をとっ捕まえて、製紙の知識がないか聞くほうが早そうだ。
どうしてもこの国の技術は遅れているようだからな。
まずは大麻の大量生産に取りかかるとしよう。
俺は時の天皇に願い出て、土地をもらった。
そんなに怖がらなくていいから。これからは農家みたいな感じになって隠居するから。
せっかく暗殺から身を守ってたのに。ひどいやつだな。まあ、もう暗殺者なんて気にしなくても大丈夫だろ。国も十分大きくなったし。
こっから俺の農業系人生の始まりだ!
⋯⋯なんだか迷走しているような気がする。
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