追放された俺は逆行転生した〜TS吸血姫は文化を牛耳る〜

石化

文字の大きさ
19 / 49
第1章至る平安

白2

しおりを挟む

なぜか白を抱いて布団に包(くる)まっている。
あったかくてもふもふしていて、落ち着く。

「未来視は夢と同調させるのが一番効率がいいの。」

白はそう言っていた。

ついでに、白の一部に触っていないといけないらしい。

そういうわけで、二人で同じ布団に眠ることになったのだ。

「白、起きてる?」

「夜。目をつぶらないとダメよ。」

「もう⋯⋯。」

ちょっと恋人っぽい雰囲気を味わいたかっただけだって。
⋯⋯兎相手に何言ってるんだ俺は。

だいぶ疲れている気がしてきた。
旅から旅で歩き詰めだったし、久しぶりの柔らかい布団だ。

普通に眠たい⋯⋯。
寝よう。

「おやすみなさい⋯⋯。」
「ふふ。おやすみ、いい夢を。」

白に耳元で囁かれながら俺は、夢の中に落ちていった。



豪華なシャンデリアが頭上できらめくホテルの大広間だ。

出版業界は活気付いているようで、多くの人々が楽しそうに喋っている。

この間思いついたすごい伏線を自慢したり、お互いの作品の感想を言い合ったり。そうそうこれこそ、出版社の忘年パーティだと言いたくなるような光景が広がっている。

俺は、その光景を満足げに見つめていた。

俺がこれを作り上げたという充実感と自負が、芽生えている。

紫のパーティドレスを優雅に翻して、会場を見て回る。
小説談義に突っ込んで行きたいのも山々だが、俺が行くと相手が萎縮してしまう。節度はわきまえないといけない。

視界の端に、何かを捉えた。

でっぷりと太った男だ。
着ている物がスーツではないので、小説家だろう。

だが、その小説家を見た途端、とんでもない怒りと憎しみの波が俺を襲った。
普段の俺は、小説家なら無条件で好ましく思うというのに。

なぜだ。
自分でも心当たりがない。
意味がわからないなりに、そちらに近づく。
会話でも聞けば、わかるんじゃないかと思ってのことだった。

近づけば近づくほど、憎しみがふつふつと湧き上がってくる。
よっぽど相性が悪いか、前世の因縁があるかだろう。

まだ一言も喋っていないというのに。

近づいてくる俺を見た隣の編集が、そいつを突いた。

そいつも気づいたようでこちらを見ると満面の笑みを浮かべる。
まるで自分が褒められることを確信しているような無邪気な笑みだった。

その子供のような笑みでさえ、俺の怒りを増幅させる効果しか生まない。

つかつかと歩み寄った俺は、そいつの胸ぐらを掴んで宙に浮かせた。

いきなりのことに目を白黒させるそいつを衝動のままに床に叩きつけようとして⋯⋯。

目が覚めた。

いつの間にか、朝になっていた。

白い光が社(やしろ)に射し込んでいる。

夢、いや、未来を思い出す。
あれは、なんだったんだ?

なんであいつのことがあんなにも許せなかったのか。
わからない。

でも、あいつの顔を思い出すと、強い怒りが湧いてくる。

あいつにでかい顔をさせない。それが至上命題とまで思えてくる。

でもあれは未来の出来事で、あいつは未来の住人だ。
今考えても仕方がない。これ以上生産性のない思考を向ける必要はないだろう。

最高の小説を作る件だが、ヒントはあまりなかったと言わざる得ない。

出版社のパーティでも我が物顔で振る舞えるということはわかったが、それは作家としての成功を意味していても、どんな物語を俺が作り出したかに関してはわからない。
むしろ、あれは出版社の方を掌握していたような気もする。
編集たちがやけにうやうやしかった。

あの時代まであと千二百年あるんだし、出版社の整備、掌握も計画しておいて損はないかもしれないな。少なくとも、裏切らない編集は絶対に必要だ。

チクリと胸に痛みが走った。まるで一度裏切られたことがあるような⋯⋯。

まあ、いい。やることは決まった。
その1。最高の小説を作る。
いろんな経験をして、それを文章に起こして備えていこう。
その2。出版社を掌握する。
全てを自由にできるほどの権力やお金。もしくは、創立への干渉などで、俺に逆らえないようにする。終戦後を目処に行動に起こそう。その前に財閥になってても、解体されちゃうし⋯⋯。戦争を起こさせないルートもワンチャンあるか⋯⋯?
ここら辺は臨機応変に。
その3。あのいけ好かない男に復讐する。
多分、その1とその2が出来たら自動的に達成できるだろう。
あとはあいつがデビューするところを見張っていれば完璧だ。
絶対に地獄に落としてやる。最強の復讐プランを千五百年かけて練ってやるから覚悟しておけよ。



それはそうと、白がもふもふしていて気持ちいい⋯⋯。

彼女が起きないのをいいことにもふもふを堪能する俺だった。



白にお礼を言って出発することにした。
改めて目標が定まったんだ。白には感謝しても仕切れない。

寂しそうな白にまた来ると約束する。

「百年に一回は来てよね!」

「ちょっと多くない⋯⋯?」

「夜は時間感覚がおかしいよ、百年って言ったら一生に一度だよ。普通の人基準だと。」

「確かに⋯⋯!」

俺はショックを受けた。
いつの間にか時間感覚が人外になっていたようだ。
このままでは、人の気持ちがわからない化け物になってしまって、小説を書いても登場人物の心情が共感できませんなどと言われるようになってしまう。

それは良くない。

時間感覚のリハビリをしよう。

「あ、そういえば、ウズメの神社、知らない?」

「ああ。多分、猿田彦の神社に行ったら会えるよ。」

「なるほど。」

そういう関係になってたわ。忘れてた。

別れを惜しむ白をなんとか振り切って、俺は再び、旅に出ることにした。

竹取物語の作者、どこにいるのかよくわからないから、一回京都に戻るとするか。ウズメと会うのは、その後かな⋯⋯?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...