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三
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いつ、三河望を好きになったのかと訊かれても、分からないというのが正直なところだった。いつの間にか、気づいたら好きになっていた。
趣味が合う。家が近い。席が近い。もしかしたら、決め手になったのは外見と中身のギャップだったかもしれない。でもきっと、それ以上に、一緒にいる空気が好きだったのだろうと思う。家の躾の方針で、漫画を買ってもらえなかった学にいろんな漫画を紹介してくれたり、一緒にアニメを見たり。それは、家や学校にいるときよりも安らぐ、心から笑顔になれる時間だった。
しかし学は、恋を自覚した時、瞬間的に、この気持ちは裏切りだと感じた。
望は、学を唯一無二の親友だと言っている。何にも代えがたい、友達だと言ってくれている。それを壊す権利なん て、学にはないのである。友人として、望の幸せを見守ること。それが、学にとって唯一出来ることだった。
この気持ちを、誰にも悟られないように奥に閉じ込めて。隣にいることが出来るだけで、幸せなのだと思って。
「で、この前買った漫画がさ」
「ああ、前言ってたやつだろ?」
学は、漫画話に移行する望に相槌を打ちながら、愛しい横顔をそっと見つめた。
趣味が合う。家が近い。席が近い。もしかしたら、決め手になったのは外見と中身のギャップだったかもしれない。でもきっと、それ以上に、一緒にいる空気が好きだったのだろうと思う。家の躾の方針で、漫画を買ってもらえなかった学にいろんな漫画を紹介してくれたり、一緒にアニメを見たり。それは、家や学校にいるときよりも安らぐ、心から笑顔になれる時間だった。
しかし学は、恋を自覚した時、瞬間的に、この気持ちは裏切りだと感じた。
望は、学を唯一無二の親友だと言っている。何にも代えがたい、友達だと言ってくれている。それを壊す権利なん て、学にはないのである。友人として、望の幸せを見守ること。それが、学にとって唯一出来ることだった。
この気持ちを、誰にも悟られないように奥に閉じ込めて。隣にいることが出来るだけで、幸せなのだと思って。
「で、この前買った漫画がさ」
「ああ、前言ってたやつだろ?」
学は、漫画話に移行する望に相槌を打ちながら、愛しい横顔をそっと見つめた。
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