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三章 破滅のタルタロス
夏以来の再会
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嗚咽が止まない中、ティッシュをシアが持ってくる。クロウが窓際に置いてある魔道具に気づいて魔力を込める。ショウがすっかり冷めてしまったご飯を持ち上げると、火のフライパンを顕現させて温めてくれる。ミトロが洗面所にあったタオルに気づいて持ってきてくれる。他のみんなが自分の事を撫でてくれる。
ティッシュを貰いながら鼻をかみ、タオルで涙を拭く。そして魔道具と皆で落ち着かされた後、ショウが元気に言ってくる。
「おう、飯温まったぞ!へへ、俺もこういう魔法なら使えるからな。……食おうぜ?腹、減ったろ?」
皆が笑顔で自分を見る。そこには皆不安の表情一つ見せない、純粋な目が向けられていた。
それを見ると自分の気持ちが少し軽くなったような気がして、急に空腹感が襲ってくる。
「……ああ、ああ!腹が減った!食わしてもらうよ!」
そう言うと皆が離れて、ファレスとフォレスが背中を撫でて送り出すように机へと向かわせてくれる。
ショウが机に置いて、自分がフォークとスプーンを持つ。そしていただきます、と言うと食べ始める。
確かに作りたてにはならない、戻ることは無い。それは事実だ。けれどショウが温めてくれたオバチャンの料理はとても温もりのある、包み込むような味がした。
「……ご馳走様でした!」
そう言うとトレイを持って部屋の外に出ていこうとする。するとシアが止める。
「あ、ごめんねー。病人って説明しちゃったからレテ君が元気に行かれるとそれはそれで……」
「病人って……」
「皆を集める前のレテ君、病人ぐらい体調悪そうだったけど?」
「……そうだね、その通りだ」
そう言って机の上に再度置くと、レンターが珍しく笑い出す。
「いや、そんなおかしいか?」
「……すまない。レテがそれだけ俺たちの事を心配してくれて嬉しいと思った反面、俺たちが大丈夫だと分かると凄く元気になったのが珍しくてな。いつも冷静……というか飄々としているからな」
「そんな飄々としているか……?それはダイナじゃないか?」
「何か飛び火したけど~レンター?」
最後にそうダイナがツッコミを入れるとどっと笑いが起きる。
「……じゃあ、皆。時間はあるか?」
今度は自信を持った顔で皆を見渡すと、皆が頷く。それを確認するとブレスレットに魔力を通す。
「イシュリア様。レテです」
皆が頷いたまま固まるとブレスレットから声が返ってくる。
「あら、レテ君。今日はまだ休みよね?どうしたのかしら」
「……この前相談したタルタロスの殲滅戦においての協力者……いえ、友人が賛成してくれました。それを伝えに行きたいのですが……」
そう言うと皆急にブルりと震える。その気持ちは分かる。防音結界があるとはいえ、皆叫びたい気持ちのはずだ。一個人の生徒がこんな馴れ馴れしく国の王に連絡するなど。
「ええ!ええ!歓迎するわ!……そうね、軍議が始まるからそこに貴方の友人を招待するわ。ところで何人?」
「全員です」
皆の顔が若干引き攣っていくのを確認しながらゴメンな、と片手で謝りながらシアだけが笑顔を浮かべていた。
「まぁ!流石はレテ君だわ~。じゃあ十人ね。門は……玉座の間で良いかしら?うん!玉座の間でいいわね!待ってるわ!」
「分かりました。では後程」
そう言って連絡を切ると、最初にニアが震えた声を発する。
「……レテ君、ホントに何者……?」
「ちょっと変わった人……かな」
「いやそれ自分で言うの?」
(だってなぁ……。これ以外に言い様がない。普通では無いし)
突っ込まれながらも門を開く。
「……一応この先はイシュリア城、玉座の間だ。イシュリア王はいい人だよ。安心していい」
「いやそこじゃないと思うぞ……」
クロウがそう突っ込むと中に入る。皆が次々と中に入っていく中、最後に自分が入って玉座の間に辿り着くと門を閉じる。
「いらっしゃい。今年の魔術学院の一学年、Sクラスの生徒達。私がイシュリア……別にいいのよ!イシュリアちゃんでも!」
流石に場違いすぎるギャグに皆が固まる中自分が言う。
「……場を和ませるには辛すぎますよ、イシュリア様」
「そうかしら?ごめんなさいね。……さて、皆を案内するわ。私に着いてきてくれる?」
優しい声を聞いてニアがふと何かに気づく。
「……そのお声、もしかして学院を影が襲った時に魔術学院を助けてくれたのは……!」
「ふふ、それは言わぬが花……ってものよ。ニアちゃん。ふふっ!」
お茶目に笑うとレンターが呟く。
「……だから知っていたわけだ。シアの相部屋の人を」
「あれ、でもそうすると右腕って……?」
ニアが首を傾げる中ちょっと背中に汗が滴るのを感じながら歩いた。
会議室に入ると、多数の軍人が既に集まっていた。その中でも……。
「レテ!?お前、なんでここに……!」
「……父さん」
夏休み以来の再会だった。驚く父親に対して、自分は至って冷静であった。
「……ラクザの幼き兵士」
そう言うと父さんもハッと気づく。
「……もしかして、その幼き兵士は」
「そうだよ。自分と、自分の友達」
その言葉を聞いてザワザワする人や懐かしそうに見る人、色んな人がいる中パン!と手を叩く音がした。
「……もう少ししたら会議を始めます。彼らへの質問は後でお願いします」
そこにはアグラタムが立っていた。自分達の事を聞いていたのか小さめの椅子を十個置くと、そこに座らせてもらう。
(……父さん。父さんも行くんだね)
ティッシュを貰いながら鼻をかみ、タオルで涙を拭く。そして魔道具と皆で落ち着かされた後、ショウが元気に言ってくる。
「おう、飯温まったぞ!へへ、俺もこういう魔法なら使えるからな。……食おうぜ?腹、減ったろ?」
皆が笑顔で自分を見る。そこには皆不安の表情一つ見せない、純粋な目が向けられていた。
それを見ると自分の気持ちが少し軽くなったような気がして、急に空腹感が襲ってくる。
「……ああ、ああ!腹が減った!食わしてもらうよ!」
そう言うと皆が離れて、ファレスとフォレスが背中を撫でて送り出すように机へと向かわせてくれる。
ショウが机に置いて、自分がフォークとスプーンを持つ。そしていただきます、と言うと食べ始める。
確かに作りたてにはならない、戻ることは無い。それは事実だ。けれどショウが温めてくれたオバチャンの料理はとても温もりのある、包み込むような味がした。
「……ご馳走様でした!」
そう言うとトレイを持って部屋の外に出ていこうとする。するとシアが止める。
「あ、ごめんねー。病人って説明しちゃったからレテ君が元気に行かれるとそれはそれで……」
「病人って……」
「皆を集める前のレテ君、病人ぐらい体調悪そうだったけど?」
「……そうだね、その通りだ」
そう言って机の上に再度置くと、レンターが珍しく笑い出す。
「いや、そんなおかしいか?」
「……すまない。レテがそれだけ俺たちの事を心配してくれて嬉しいと思った反面、俺たちが大丈夫だと分かると凄く元気になったのが珍しくてな。いつも冷静……というか飄々としているからな」
「そんな飄々としているか……?それはダイナじゃないか?」
「何か飛び火したけど~レンター?」
最後にそうダイナがツッコミを入れるとどっと笑いが起きる。
「……じゃあ、皆。時間はあるか?」
今度は自信を持った顔で皆を見渡すと、皆が頷く。それを確認するとブレスレットに魔力を通す。
「イシュリア様。レテです」
皆が頷いたまま固まるとブレスレットから声が返ってくる。
「あら、レテ君。今日はまだ休みよね?どうしたのかしら」
「……この前相談したタルタロスの殲滅戦においての協力者……いえ、友人が賛成してくれました。それを伝えに行きたいのですが……」
そう言うと皆急にブルりと震える。その気持ちは分かる。防音結界があるとはいえ、皆叫びたい気持ちのはずだ。一個人の生徒がこんな馴れ馴れしく国の王に連絡するなど。
「ええ!ええ!歓迎するわ!……そうね、軍議が始まるからそこに貴方の友人を招待するわ。ところで何人?」
「全員です」
皆の顔が若干引き攣っていくのを確認しながらゴメンな、と片手で謝りながらシアだけが笑顔を浮かべていた。
「まぁ!流石はレテ君だわ~。じゃあ十人ね。門は……玉座の間で良いかしら?うん!玉座の間でいいわね!待ってるわ!」
「分かりました。では後程」
そう言って連絡を切ると、最初にニアが震えた声を発する。
「……レテ君、ホントに何者……?」
「ちょっと変わった人……かな」
「いやそれ自分で言うの?」
(だってなぁ……。これ以外に言い様がない。普通では無いし)
突っ込まれながらも門を開く。
「……一応この先はイシュリア城、玉座の間だ。イシュリア王はいい人だよ。安心していい」
「いやそこじゃないと思うぞ……」
クロウがそう突っ込むと中に入る。皆が次々と中に入っていく中、最後に自分が入って玉座の間に辿り着くと門を閉じる。
「いらっしゃい。今年の魔術学院の一学年、Sクラスの生徒達。私がイシュリア……別にいいのよ!イシュリアちゃんでも!」
流石に場違いすぎるギャグに皆が固まる中自分が言う。
「……場を和ませるには辛すぎますよ、イシュリア様」
「そうかしら?ごめんなさいね。……さて、皆を案内するわ。私に着いてきてくれる?」
優しい声を聞いてニアがふと何かに気づく。
「……そのお声、もしかして学院を影が襲った時に魔術学院を助けてくれたのは……!」
「ふふ、それは言わぬが花……ってものよ。ニアちゃん。ふふっ!」
お茶目に笑うとレンターが呟く。
「……だから知っていたわけだ。シアの相部屋の人を」
「あれ、でもそうすると右腕って……?」
ニアが首を傾げる中ちょっと背中に汗が滴るのを感じながら歩いた。
会議室に入ると、多数の軍人が既に集まっていた。その中でも……。
「レテ!?お前、なんでここに……!」
「……父さん」
夏休み以来の再会だった。驚く父親に対して、自分は至って冷静であった。
「……ラクザの幼き兵士」
そう言うと父さんもハッと気づく。
「……もしかして、その幼き兵士は」
「そうだよ。自分と、自分の友達」
その言葉を聞いてザワザワする人や懐かしそうに見る人、色んな人がいる中パン!と手を叩く音がした。
「……もう少ししたら会議を始めます。彼らへの質問は後でお願いします」
そこにはアグラタムが立っていた。自分達の事を聞いていたのか小さめの椅子を十個置くと、そこに座らせてもらう。
(……父さん。父さんも行くんだね)
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