【現代BL短編集】犬猿の仲のアイツが可愛いなんてどうかしている!

明太子

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犬猿の仲のアイツが可愛いなんてどうかしている!【中編】

やっぱり可愛くねぇ、あんな奴‼︎

藤島は何もなかったかのように会話へと戻っていった。

「ドラマ!最近、海外の恋愛ドラマにハマっててさ。感動しっ放しで、マジで涙なくして見れないんだわ」
「ははっ、藤島でもそういうの見るのな。完全にコメディ専門だと思ってた」
「そうそう!藤島と恋愛って結び付かねーよ!そういう繊細なタイプじゃねーじゃん?」
「あーもう!バカにすんなよ、お前ら!」

ドラマなんてきっと嘘だ。
涙の原因は俺だろう?

友達との話に夢中な藤島を尻目に、俺は無性に彼を困らせてやりたくなった。

ストレッチを手短に終えると、藤島たちの輪に近づく。

「何の話?俺も混ぜてくれよ」
「おー海堂!珍しいな、お前が俺たちの会話に興味持つなんて!」
「今、藤島がハマってる海外ドラマの話をしてたんだよ」
「へぇ?気になるな、それは。タイトルは何て言うんだ?」
「え…」
「俺も観たいからさ。教えてくれない?」

藤島は体をぷるぷると震わせて、ギッと睨みつけてくる。
かなり怒っているのに、そんな藤島を俺は可愛くて仕方ないと思ってしまう。
その上、俺のことだけを考えているであろうこの状況に思わず口角が吊り上がる。

あぁ、やっぱりどうかしているのだ。

「海堂っ!ちょっと来い!」

藤島は俺の腕を引っ張り、無理やりその場から連れ去った。
背後からは「もうすぐ部活始まるから、お前ら喧嘩はほどほどになー」「さっさと戻ってこいよー」と俺たちの喧嘩に慣れきった相沢と柏木の至極のんびりとした掛け声がうっすらと聞こえた。

人気のない場所に移動すると、藤島はすかさず俺の胸倉を掴んだ。

「嫌がらせか?人をバカにするのも大概にしろよ」
「嫌がらせもバカにもしてない」
「嘘つけ。わざとらしく話に入ってきやがって。…昨夜泣いた理由なんて分かりきってるくせに」
「俺のせい?」

真っ直ぐ見つめて問いかけると、藤島は弾かれたかのように手を離して俯いた。

「…本当は告白するつもりじゃなかったんだ」
「は?」
「受け入れてくれるとはもちろん思ってなかったからな。まぁ、お前がまさかあんな低レベルな嫌がらせをしてくるとも思ってなかったけど」
「だから嫌がらせじゃないって言ってるだろ」

藤島の漏らしたため息が静寂な空間でやけに響く。

「俺は最初っから諦めてんだよ。返事もいらない」
「あき、らめる?何をだ?」

藤島が言おうとしていることがよく分からなかった。
だけど、嫌な予感だけはした。

「もうすぐお前のこと、好きじゃなくなるから。安心しろよな」
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