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第三話 洞穴発見
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その後、一応【天啓】のスキルオ―ブの破片を持って、使おうと念じてみたがやはり無理だった。
まあ粉々になったんだから当然だ。
一応アイテムボックスの正しい使い方はわかった。
どうやら取り出すときに出る場所もイメージしないといけないようだ。
手の平の上とか地面の上とかね。
大体半径一メートルくらいの所になら自由に取り出せるみたいだ。
逆に、アイテムボックスに収納するときは対象をアイテムボックスに触れさせないといない。
その辺の適当な石とか草を詰めて確かめたんだけど、入れられる種類は十一種だった。
MPの最大値がそのまま入れられる種類の数になっているみたいだ。
一種類につき九十九個入れることができる。
それ以上入れようとすると別の種類のものとしてカウントされてしまう。
石を百個以上集めるのはちょっと面倒だった。
ちなみに【鑑定眼Ⅰ】を使っても石としか表示されなかった。
宝石とか鉱石だと違うんだろうか。
まさか【鑑定眼Ⅰ】だからわからないとかじゃないよね……?
もしそうなら素直に鑑定できないと表示してほしい。
見栄をはってはいけない。
いや、アイテムボックスには同じものとしてカウントされてたから大丈夫だとは思うけど。
【天啓】のスキルオーブも一応アイテムボックスに回収しておいた。
不思議なことに、破片の一つを回収しようとしたら何故か他の破片も一緒に回収できた。
元が一緒のものだからだろうか?
干し肉なんかとは違って個数は破片全部で一個扱いだし。
よくわからない。
でも、砂のようになってしまった部分もあったから助かった。
普通の方法じゃ破片全ては絶対回収できなかったと思う。
それにしても失敗したなー。
明らかに重要アイテムっぽいものを壊してしまった。
【天啓】って天の導きとか神の教えとかそういう意味だよね?
これ、明らかにイルミナからの連絡用な気がする。
たぶん、小説のネタになりそうな行動を指示するために渡してきたんだと思う。
直接は干渉できないって言ってたし。
この世界に僕を連れてきた理由から考えて、イルミナは僕の行動は常に把握している筈だ。
本当に重要なモノなら、たぶんあちらでどうにかしてくれると思う。
だって【天啓】の能力が僕の考え通りなら、それが必要なのは僕よりもイルミナの方だし。
僕をこちらの世界に送れたくらいだ。
直接干渉できないだけで全く干渉できないというわけでもないだろう。
そういうわけできっと大丈夫。
安心してくれイルミナ。
仮に君からの指示がなくても、僕は君との約束通りネタを提供し続けるから。
まあ、町にでもついたら改めて【天啓】のスキルオ―ブについて調べてみよう。
うん、そういうわけで【天啓】のスキルオーブについては一度忘れよう。
それ以外でアイテムボックスに入っていたのはパン×99、干し肉×99、水×99、寝袋だ。
パン、干し肉、水を一食につき一つずつ食べるとして、一日三食で一月は持つ。
森なら何か他の食料も手に入るだろうし。
問題は武器だ。
邪神様、モンスターがいるようなところに放り出すならせめて武器くらいください……。
まあ、スライムくらいならさっき拾った石でどうにかなるか。
他のモンスターに出会わないことを祈ろう。
邪神様以外の神様に。
さてと、若干暗くなってきたし寝るところを探さないと。
最悪、その辺で寝袋に入って寝るつもりだけど、もう少し襲われにくそうな場所がいい。
洞穴とかあると嬉しいな。
薄暗くなってきた森の中を歩く。
寝る場所を探し始めて一時間くらい経っただろうか、視界に入るは木々だけで一向に景色が変化しない。
エンカウントもなしだ。
どうやら、こちらに来た瞬間スライムに遭遇したのはよほど運が悪いことだったらしい。
いや、【鑑定眼Ⅰ】を習得できたことを考えれば、むしろ運が良かったのかもしれない。
名前しかわからないとはいえ、【鑑定眼Ⅰ】で手に入る情報は馬鹿に出来ない。
「お、また見つけた」
さすがは異世界というべきか、この森には高さ数十メートルの巨木が普通に生えている。
そして、そんな巨木の根元に青いキノコが生えているのを見つけた。
僕はそのキノコを引き抜き、アイテムボックスに収納する。
見るからにヤバそうな見た目だが、【鑑定眼Ⅰ】では一応毒消しキノコと表示されている。
実際に毒を食らいでもしないと試す勇気はないが、一応回収はしている。
これでもう四個目だ。
他に回復キノコという名前の黄色いキノコを一個と猛毒キノコというマツタケそっくりのキノコをなんと十個もゲットしている。
……数といい見た目といい、猛毒キノコの殺意が高過ぎて怖い。
残機を一つ増やせるキノコが欲しい。
しばらく歩いていると、水の流れる音が聞こえてきた。
そのまま音の方に向かうと、やがて小さな川が見えてきた。
ジャンプすればとび越えられるくらいの川幅だ
川の周囲はごつごつとした岩場になっている。
川の向こう岸には木々がなく、むき出しの岩肌が壁のように並んでいた。
そして、その壁に一か所だけ穴があいているのが見えた。
洞穴だ。
岩場で足を滑らせないように慎重に川を飛び越え、洞穴に到着した。
とりあえず中を調べてみよう。
奥行きは不明だが入口は十分に人が入れる大きさだ。
縦横二メートル以上はある。
森の広さによっては今日寝るだけじゃなくてしばらく拠点にするのもいいかもしれない。
川があるから魚とかも取れそうだ。
だが、そんな暮らしやすそうな洞窟なら先住者がいると考えるべきだった。
入口から中の様子を窺った僕の目に飛び込んできたのは、無数の灰色の靄だった。
足音をたてないようにして、ゆっくりとその場を離れる。
そして、再び川を飛び越え、洞穴からしばらく離れた所でようやく落ち着いた。
危なかった。
洞穴の中は薄暗く、中の様子はほとんどわからなかったがあの靄は昼間見たスライムとほぼ同じものだった。
はっきりとは分からないが、三十以上は靄が見えた。
いくらスライムが弱いとはいえ、あの数のスライムに襲われれば確実に負けるだろう。
靄が暗い場所でも問題なく見えるおかげで助かった。
そのまま入っていれば今頃僕はスライムの餌食だった筈だ。
しかしこれからどうするか。
選択肢は二つ、戦うか逃げるかだ。
それぞれメリットとデメリットがある。
逃げた場合のメリットは安全だ。
だが、同時に得るモノも何もない。
さらには、その辺の森で寝ることになるので夜が危険になる。
戦った場合のメリットは洞窟が手に入ること、そして経験値だ。
【鑑定眼Ⅰ】のように新しいスキルを手に入れられるかもしれない。
ついでにイルミナへのネタ提供にもなるかもしれない。
デメリットは数的にこちらが圧倒的に不利なことだが、これは作戦次第でどうとでもなると思う。
たぶん。
メリットを考えれば戦う方を選ぶべきだが、あまり気が進まない。
この世界はゲームじゃなくて現実だ。
例えモンスターとはいえ、平和に暮らしているスライムさん達を襲うのはよろしくない。
攻撃を受けたならともかく、いきなりこちらから殲滅するのはさすがにどうかと思う。
まあ、食べるためや冒険者の仕事の場合は当然そんなことを気にするつもりはなんだけど。
そういうわけで今日のところは見逃してあげよう。
さらばだスライム。
僕が冒険者になったとき、また会おう。
「ぴぎ」
……おかしいな。
口には出していないのに返事が返ってきたぞ?
非常に嫌な予感を感じながら振り返ると、そこには一匹のスライムが。
「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
次の瞬間スライムが叫びだした!
お前、口もないくせにどこからそんな大声出してるんだよ!?
「ぴぎ、ぴぎ」
「ぴぎぎ」
「ぴぎぃぃぁああ!!」
そして、スライムの発した大声によって大量のスライム達が洞穴から飛び出してきた。
まあ粉々になったんだから当然だ。
一応アイテムボックスの正しい使い方はわかった。
どうやら取り出すときに出る場所もイメージしないといけないようだ。
手の平の上とか地面の上とかね。
大体半径一メートルくらいの所になら自由に取り出せるみたいだ。
逆に、アイテムボックスに収納するときは対象をアイテムボックスに触れさせないといない。
その辺の適当な石とか草を詰めて確かめたんだけど、入れられる種類は十一種だった。
MPの最大値がそのまま入れられる種類の数になっているみたいだ。
一種類につき九十九個入れることができる。
それ以上入れようとすると別の種類のものとしてカウントされてしまう。
石を百個以上集めるのはちょっと面倒だった。
ちなみに【鑑定眼Ⅰ】を使っても石としか表示されなかった。
宝石とか鉱石だと違うんだろうか。
まさか【鑑定眼Ⅰ】だからわからないとかじゃないよね……?
もしそうなら素直に鑑定できないと表示してほしい。
見栄をはってはいけない。
いや、アイテムボックスには同じものとしてカウントされてたから大丈夫だとは思うけど。
【天啓】のスキルオーブも一応アイテムボックスに回収しておいた。
不思議なことに、破片の一つを回収しようとしたら何故か他の破片も一緒に回収できた。
元が一緒のものだからだろうか?
干し肉なんかとは違って個数は破片全部で一個扱いだし。
よくわからない。
でも、砂のようになってしまった部分もあったから助かった。
普通の方法じゃ破片全ては絶対回収できなかったと思う。
それにしても失敗したなー。
明らかに重要アイテムっぽいものを壊してしまった。
【天啓】って天の導きとか神の教えとかそういう意味だよね?
これ、明らかにイルミナからの連絡用な気がする。
たぶん、小説のネタになりそうな行動を指示するために渡してきたんだと思う。
直接は干渉できないって言ってたし。
この世界に僕を連れてきた理由から考えて、イルミナは僕の行動は常に把握している筈だ。
本当に重要なモノなら、たぶんあちらでどうにかしてくれると思う。
だって【天啓】の能力が僕の考え通りなら、それが必要なのは僕よりもイルミナの方だし。
僕をこちらの世界に送れたくらいだ。
直接干渉できないだけで全く干渉できないというわけでもないだろう。
そういうわけできっと大丈夫。
安心してくれイルミナ。
仮に君からの指示がなくても、僕は君との約束通りネタを提供し続けるから。
まあ、町にでもついたら改めて【天啓】のスキルオ―ブについて調べてみよう。
うん、そういうわけで【天啓】のスキルオーブについては一度忘れよう。
それ以外でアイテムボックスに入っていたのはパン×99、干し肉×99、水×99、寝袋だ。
パン、干し肉、水を一食につき一つずつ食べるとして、一日三食で一月は持つ。
森なら何か他の食料も手に入るだろうし。
問題は武器だ。
邪神様、モンスターがいるようなところに放り出すならせめて武器くらいください……。
まあ、スライムくらいならさっき拾った石でどうにかなるか。
他のモンスターに出会わないことを祈ろう。
邪神様以外の神様に。
さてと、若干暗くなってきたし寝るところを探さないと。
最悪、その辺で寝袋に入って寝るつもりだけど、もう少し襲われにくそうな場所がいい。
洞穴とかあると嬉しいな。
薄暗くなってきた森の中を歩く。
寝る場所を探し始めて一時間くらい経っただろうか、視界に入るは木々だけで一向に景色が変化しない。
エンカウントもなしだ。
どうやら、こちらに来た瞬間スライムに遭遇したのはよほど運が悪いことだったらしい。
いや、【鑑定眼Ⅰ】を習得できたことを考えれば、むしろ運が良かったのかもしれない。
名前しかわからないとはいえ、【鑑定眼Ⅰ】で手に入る情報は馬鹿に出来ない。
「お、また見つけた」
さすがは異世界というべきか、この森には高さ数十メートルの巨木が普通に生えている。
そして、そんな巨木の根元に青いキノコが生えているのを見つけた。
僕はそのキノコを引き抜き、アイテムボックスに収納する。
見るからにヤバそうな見た目だが、【鑑定眼Ⅰ】では一応毒消しキノコと表示されている。
実際に毒を食らいでもしないと試す勇気はないが、一応回収はしている。
これでもう四個目だ。
他に回復キノコという名前の黄色いキノコを一個と猛毒キノコというマツタケそっくりのキノコをなんと十個もゲットしている。
……数といい見た目といい、猛毒キノコの殺意が高過ぎて怖い。
残機を一つ増やせるキノコが欲しい。
しばらく歩いていると、水の流れる音が聞こえてきた。
そのまま音の方に向かうと、やがて小さな川が見えてきた。
ジャンプすればとび越えられるくらいの川幅だ
川の周囲はごつごつとした岩場になっている。
川の向こう岸には木々がなく、むき出しの岩肌が壁のように並んでいた。
そして、その壁に一か所だけ穴があいているのが見えた。
洞穴だ。
岩場で足を滑らせないように慎重に川を飛び越え、洞穴に到着した。
とりあえず中を調べてみよう。
奥行きは不明だが入口は十分に人が入れる大きさだ。
縦横二メートル以上はある。
森の広さによっては今日寝るだけじゃなくてしばらく拠点にするのもいいかもしれない。
川があるから魚とかも取れそうだ。
だが、そんな暮らしやすそうな洞窟なら先住者がいると考えるべきだった。
入口から中の様子を窺った僕の目に飛び込んできたのは、無数の灰色の靄だった。
足音をたてないようにして、ゆっくりとその場を離れる。
そして、再び川を飛び越え、洞穴からしばらく離れた所でようやく落ち着いた。
危なかった。
洞穴の中は薄暗く、中の様子はほとんどわからなかったがあの靄は昼間見たスライムとほぼ同じものだった。
はっきりとは分からないが、三十以上は靄が見えた。
いくらスライムが弱いとはいえ、あの数のスライムに襲われれば確実に負けるだろう。
靄が暗い場所でも問題なく見えるおかげで助かった。
そのまま入っていれば今頃僕はスライムの餌食だった筈だ。
しかしこれからどうするか。
選択肢は二つ、戦うか逃げるかだ。
それぞれメリットとデメリットがある。
逃げた場合のメリットは安全だ。
だが、同時に得るモノも何もない。
さらには、その辺の森で寝ることになるので夜が危険になる。
戦った場合のメリットは洞窟が手に入ること、そして経験値だ。
【鑑定眼Ⅰ】のように新しいスキルを手に入れられるかもしれない。
ついでにイルミナへのネタ提供にもなるかもしれない。
デメリットは数的にこちらが圧倒的に不利なことだが、これは作戦次第でどうとでもなると思う。
たぶん。
メリットを考えれば戦う方を選ぶべきだが、あまり気が進まない。
この世界はゲームじゃなくて現実だ。
例えモンスターとはいえ、平和に暮らしているスライムさん達を襲うのはよろしくない。
攻撃を受けたならともかく、いきなりこちらから殲滅するのはさすがにどうかと思う。
まあ、食べるためや冒険者の仕事の場合は当然そんなことを気にするつもりはなんだけど。
そういうわけで今日のところは見逃してあげよう。
さらばだスライム。
僕が冒険者になったとき、また会おう。
「ぴぎ」
……おかしいな。
口には出していないのに返事が返ってきたぞ?
非常に嫌な予感を感じながら振り返ると、そこには一匹のスライムが。
「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
次の瞬間スライムが叫びだした!
お前、口もないくせにどこからそんな大声出してるんだよ!?
「ぴぎ、ぴぎ」
「ぴぎぎ」
「ぴぎぃぃぁああ!!」
そして、スライムの発した大声によって大量のスライム達が洞穴から飛び出してきた。
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Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
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