13 / 30
第1章
第13話
しおりを挟む「…… ここで…… やる」
無骨な全身鎧に身を包んだ大柄な男が向き直り、これまた大柄な顔に金属製の仮面を着けた男に言う。
「自分はお嬢様の護衛騎士。本来ならばお嬢様の側を離れる事はないのですが、まぁ、向こうは大丈夫でしょうから。あなた方の素性も目的も聞きません。そういった事はあの方がするでしょうし。自分はお嬢様の敵を倒すだけ。参ります!」
以前は自信無さげだったクロードの表情は今では固い決意の見える凛々しい目をしていた。
外す事の出来ない呪われた仮面だが、多少の形状変化ができる魔道具だった為に現在は口元だけを覆う形になっている。
クロードはロングソードを抜き放ち、一直線に無口な全身鎧の戦士、ラルフに向かって行く。
グッしゃあぁぁぁああああ!!
ラルフの長大なメイスの強力な一振りがモロにクロードに直撃した。
ラルフの怪力から放たれる一撃は重量級のクロードでさえも軽く数メートル吹き飛ばしてしまう。
だが、これに驚いたのはラルフだった。
「…… まさか…… 弱い?」
確実にクリティカルヒットした手ごたえがラルフにはあった。
自分と同じぐらいの体格で、更についさっきあんなに立派な口上を述べておいて一撃で沈むのか?
いくら無口なラルフでもツッコミたかった。
殺すつもりは無かったが、もしかしたら死んだかも知れない。
一応確認しておこうと吹き飛んでピクリとも動かないクロードに近寄る。
「ぐぅあああっ!!」
「ふぁっ!?」
急に起き上がるクロードに思わずラルフは情け無い声を出してしまう。
そのまま手に持っていたロングソードでラルフに切りかかる。
ガンッ!! グッシャッアァァアア!!
反射的に盾でロングソードの一撃を受けるとそのまま流れる様にメイスを撃ちつける。
「…… しまった」
今度は確実に死んでしまっただろう。驚いて思い切り頭に強打してしまった。
ラルフの怪力で巨大なモンスターさえも打ち据えるただの鉄塊に近い巨大なメイスで殴られれば人間の頭など熟れたトマトの様にその中身を簡単にぶちまけてしまう。
レントには殺すなと言われてたからな……
ラルフは真面目にもレントになんと報告したものか頭を悩ませていると
「ぐあぁぁぁあ!!」
「ぎゃあああっ!?」
何故かまだ生きていたクロードがラルフに掴み掛かってくる。
武器の扱いや武技ではクロードはラルフに一切敵わないだろう。
だが、ことゼロ距離の肉弾戦なら似たような体格、更にクロードには呪いの仮面の身体能力強化のバフもある為ラルフと揉み合いになる。
「…… ちから……強い」
ラルフに馬乗りになり、全身鎧の隙間から喉を狙うクロード
しかし、一瞬の隙をつき体勢を入れ替えるとメイスによって何度も何度も何度も打ち据える。
「ぐっ! がっ! があっ!」
「はぁはぁはぁはぁ…… これで…… 死んだか?」
肩で大きく息をして今まで人間だったモノを石畳の赤いシミに変える。
先程の揉み合いでフルフェイスの兜が外れてしまっていたが、ラルフの額には大粒の汗が噴き出ている。
「ぐーーーがあぁぁぁああ!!」
「やっぱりーーー!?」
何度殺しても起き上がってくるクロードを相手にラルフはキャラも崩壊して叫ぶ。
再び揉み合いになり、またもやクロードがマウントポジションをとると、クロードはラルフの顔面を右手で掴み渾身の力を入れる。
ただのアイアンクロー。しかし、どんな傷も瞬時に治ってしまう不死身のクロードのアイアンクローはリミッターが外れて無理な力で骨が折れようとも、肉が裂けようが回復を繰り返しながらラルフの顔面へと指を食い込ませていく。
「「がぁぁぁあああ!!」」
2人共に激しく叫びながら、ラルフは必死で頭に喰らいつく指を外そうとするが、うまくいかないばかりか、メキメキと異物が頭に侵入してくる音が激痛と共に襲ってくる。
バキッ!!
やがて致命的な音がする。
その音を機に今まで必死に抵抗していたラルフの腕から力が抜けていく。
死んではいないだろうが確実に意識は刈り取っただろうと、漸くクロードも力を緩める。
「お嬢様…… 勝ちました……」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
【完結】公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる