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一章 紫碧のひととせ
望まれることを、望まれたように
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「シルビオ、元気がないと思うんだが」
「そうかもなぁ」
その日の午後。
足りない食材を買いにシルビオが酒場を離れたところで、ヴォルガがぽつりとユーガに零した。
ユーガは売上について書かれた記帳を確認しながら曖昧な返事をする。
ヴォルガはむっとした顔でユーガを見つめた。
「何か知ってるのか?」
「いや、別に?調子悪い時だって誰にでもあるだろ」
「それは……そうなんだけど」
この二月ほどでユーガとはかなり砕けた仲になったヴォルガだが、未だに彼のことはよく分かっていない。
自分だってほとんど何も話していないから当たり前だが、『烙印』を刻まれた理由も、シルビオの兄貴分をやっている理由も、まだ知らない。
でも、彼がシルビオを大切に思っていることは分かる。
色々と叱ったり呆れたりしてはいるが、何だかんだシルビオには甘い気がしている。
だから、今の彼の態度が不可思議だった。
ユーガは、シルビオが不安定なことを知っていながら、わざと放置しているように見えたのだ。
「……俺が表に出るの、シルビオはよく思ってないんじゃないかなって」
「……」
素直に思ったことを口に出すと、ユーガの手が止まった。
彼は薄く微笑み、カウンターに頬杖をつく。
「シルビオがどう思おうが、お前には関係ない。好きなことをやればいい。あいつは、お前の『主人』じゃない」
「……っ」
一瞬、ぴくりと右手が震えた。
ユーガの言い方は、かなり侮蔑的だった。
『烙印』を抱えていることを分かっていて、まるでヴォルガが奴隷のように振る舞っているとでも言いたげだった。
でも、ユーガだって同じ立場なのだ。
そんな彼に言われたから、嫌な気分にはなれなかった。
どちらかと言えば、応援されているような。
「……分かった」
小さく頷くと、ユーガは満足気に視線を帳簿へ戻した。
「まぁ、気にかけるくらいはしといてやれ。ああ見えて繊細だからな」
「……やっぱり何か隠してないか?」
「ははは、探偵の真似事なら俺以外にやった方がいいぞ」
「……」
さらりと告げられた言葉。
言い換えると、『お前じゃ俺には勝てない』だ。
負けず嫌いなヴォルガは、若干不機嫌な顔でユーガを睨んだ。
時は過ぎ、三日後。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってきまぁす」
「おう」
「気をつけてね~」
リーリエとヴォルガは、教会の活動のため早朝からマヨイガを発った。
帰りは翌日の夕方頃になるそうで、ヴォルガは戻ったら酒場を手伝うと言っていたが、流石に疲れるだろうということで明日は酒場を休みにしてしまうことになっている。
二人を見送ったシルビオは、静かになったホールを見渡して溜め息をついた。
「……まだ二月しか経ってないのに、ヴォルガがいないと変な感じするね」
「少し前まではこれが当たり前だったんだけどなぁ」
ユーガは酒の並んだ棚を整理しながらそう呟く。
何だかんだヴォルガのことを気に入っているユーガも、思うところはあるようだ。
「……寂しいね」
ぽつりとシルビオが呟くと、ユーガはふと手を止めてこちらに視線を向けてきた。
「そうか。寂しいんだな」
「……ん?」
相槌になっていない返答に、シルビオは首を傾げる。
ユーガは穏やかな目でシルビオを見ていた。
…知っている。
こういう時の彼は、答えを教えてくれない。
「ね、ねぇ、寂しいと何なの?」
「それを自分で考えるのがハルトからの宿題だろ」
「う……」
縋るように尋ねたが、あっさりと返されてしまった。
「分かんないよぉ……自分のことなんて」
「分からなきゃいけないんだよ。それが大人になるってことだ」
ユーガは澄ました顔でそう言って、シルビオの頭をぽんぽんと撫でてから作業に戻る。
シルビオは心の中で小さく膨れた。
ユーガは頭が良いくせに、周りが自分より劣っていることを認めないのだ。
だから、彼は明確な答えをくれない。
自分の力で彼と同じ土俵に辿り着くことが当たり前のようにできると思っている。
「……分かんないよ」
ユーガに聞こえないようにそう呟いて、シルビオは拗ねた顔でソファーにぽすんと身体を沈めた。
その時だった。
「邪魔するぞ~」
ドアベルが鳴って、一人の青年が勢いよく扉を開け放った。
ユーガがその声を聞いて、僅かに顔を顰めたのが見えた。
シルビオは慌てて立ち上がり、彼に視線を向ける。
自分と同じ黒い髪に、怜悧な藍色の瞳。
服装は町人というよりは旅人の装いで、どこもくたびれている。
大きなバッグパックを背負ったまま入ってきた彼は、シルビオと目が合うとにやりと笑って片手を上げた。
「よう坊ちゃん。久方ぶりだな」
「……フォーゲル」
ぽつりと彼の通り名が零れた。
渡り鳥─その名の通り、彼は地区を跨いで国を旅する、ジェイドを拠点としている情報屋である。
シルビオとは数年前からのビジネスパートナーであり、知りたいことがあれば基本彼に頼れば解決する、有能な人物だ。
普段だったら、手放しで歓迎していただろう。
けれど、シルビオの表情は強ばっていた。
理由は、一つだけだ。
「ちょうど今日帰ってきたんだよ。いやぁ、疲れた疲れた。…で、今日は空いてる?」
荷物を下ろし、カウンター席に腰掛け、フォーゲルはいつも通り尋ねてくる。
鋭い眼差しには、いつも通りの期待が込められている。
…何がと言えば。
夜の相手だ。
「……うん、空いてるけど……」
ユーガをちらりと見ながら答えるシルビオ。
ユーガは溜め息をつき、好きにしろと言いたげにくるりと背を向けてキッチンの方へ消えた。
その様を見て、フォーゲルは首を傾げる。
「ん~?なんか、俺歓迎されてない?もしかして本命できた?」
「本命……」
頭にぱっと浮かんだのは、ヴォルガの顔だった。
現在のパートナーであり、それでいて一度も手を出していない、無垢な青年。
…でも、彼のことは、ただ自分が利用しているだけだ。
今の関係は、シルビオが一方的に望んでいるもので。
だから、彼がいない今、遠慮する理由は何一つないはずだ。
「……いないよ、そんなの。一緒に寝てくれる人は見つかったけど……今日はいないし」
「ふーん?」
少なからず、ストレスが溜まっていた。
だから、誰かと発散したかった。
その相手は、ユーガでもヴォルガでもだめだった。
それだけの話。
割り切ったはずなのに、声は落ち込んでいた。
フォーゲルは不思議そうにシルビオを見ていたが、特に深く聞くことはなく、いつも通りの会話を続ける。
「ならちょうどよかった。今日は営業?」
「うん。終わったらでいい?」
「あいよ。俺もやること色々あるしな。じゃ、夜になったら戻ってくるよ」
「……」
ぴくりと、指が震えた。
どうしてだろう、今までは当たり前のようにしていたことだったのに。
ふつふつと、後ろめたい気持ちが押し寄せてくるのは。
ヴォルガの顔がまた頭に浮かんで、気づいたら声が零れていた。
「……今日、外でもいい?」
「ん?あぁ、いいけど……おい、本当に本命いないんだろうな?修羅場に巻き込まれるのはごめんだぞ」
「いないってば。気分の問題」
疑わしげに睨んでくるフォーゲルに苦笑いを向けて、シルビオは彼の背中を押した。
「はい、じゃあいつものとこね!準備するから早く出てって~」
「ちょ、もう少し休ませろよ~!疲れてんだって!!」
「誘う元気はあるじゃん」
「それとこれとは話が別だろ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも素直に退散してくれたフォーゲルを見送り、シルビオは溜め息をついた。
…これでいいはずだ。
ヴォルガがいない日くらい、好きに過ごしたっていいはずだ。
ユーガにも、迷惑かけずに済むし。
何も、間違っていないはずなのだ。
でも、苦しかった。
自分の生き方が間違っているような気がして。
当たり前のようにやってきたことが、全て正しくなかったような気がして。
ヴォルガに、今度こそ失望されるんじゃないかって。
また心がぐちゃぐちゃに掻き乱されて、吐きそうになる。
でも、今更やめようなんて言えなかった。
望まれることを、望まれたように。
そうやって、生きてきたのだから。
その日、酒場の営業が終わると、シルビオは夜の街へ繰り出して行った。
彼が帰ってきたのは、翌日の夕方前のことだった。
「そうかもなぁ」
その日の午後。
足りない食材を買いにシルビオが酒場を離れたところで、ヴォルガがぽつりとユーガに零した。
ユーガは売上について書かれた記帳を確認しながら曖昧な返事をする。
ヴォルガはむっとした顔でユーガを見つめた。
「何か知ってるのか?」
「いや、別に?調子悪い時だって誰にでもあるだろ」
「それは……そうなんだけど」
この二月ほどでユーガとはかなり砕けた仲になったヴォルガだが、未だに彼のことはよく分かっていない。
自分だってほとんど何も話していないから当たり前だが、『烙印』を刻まれた理由も、シルビオの兄貴分をやっている理由も、まだ知らない。
でも、彼がシルビオを大切に思っていることは分かる。
色々と叱ったり呆れたりしてはいるが、何だかんだシルビオには甘い気がしている。
だから、今の彼の態度が不可思議だった。
ユーガは、シルビオが不安定なことを知っていながら、わざと放置しているように見えたのだ。
「……俺が表に出るの、シルビオはよく思ってないんじゃないかなって」
「……」
素直に思ったことを口に出すと、ユーガの手が止まった。
彼は薄く微笑み、カウンターに頬杖をつく。
「シルビオがどう思おうが、お前には関係ない。好きなことをやればいい。あいつは、お前の『主人』じゃない」
「……っ」
一瞬、ぴくりと右手が震えた。
ユーガの言い方は、かなり侮蔑的だった。
『烙印』を抱えていることを分かっていて、まるでヴォルガが奴隷のように振る舞っているとでも言いたげだった。
でも、ユーガだって同じ立場なのだ。
そんな彼に言われたから、嫌な気分にはなれなかった。
どちらかと言えば、応援されているような。
「……分かった」
小さく頷くと、ユーガは満足気に視線を帳簿へ戻した。
「まぁ、気にかけるくらいはしといてやれ。ああ見えて繊細だからな」
「……やっぱり何か隠してないか?」
「ははは、探偵の真似事なら俺以外にやった方がいいぞ」
「……」
さらりと告げられた言葉。
言い換えると、『お前じゃ俺には勝てない』だ。
負けず嫌いなヴォルガは、若干不機嫌な顔でユーガを睨んだ。
時は過ぎ、三日後。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってきまぁす」
「おう」
「気をつけてね~」
リーリエとヴォルガは、教会の活動のため早朝からマヨイガを発った。
帰りは翌日の夕方頃になるそうで、ヴォルガは戻ったら酒場を手伝うと言っていたが、流石に疲れるだろうということで明日は酒場を休みにしてしまうことになっている。
二人を見送ったシルビオは、静かになったホールを見渡して溜め息をついた。
「……まだ二月しか経ってないのに、ヴォルガがいないと変な感じするね」
「少し前まではこれが当たり前だったんだけどなぁ」
ユーガは酒の並んだ棚を整理しながらそう呟く。
何だかんだヴォルガのことを気に入っているユーガも、思うところはあるようだ。
「……寂しいね」
ぽつりとシルビオが呟くと、ユーガはふと手を止めてこちらに視線を向けてきた。
「そうか。寂しいんだな」
「……ん?」
相槌になっていない返答に、シルビオは首を傾げる。
ユーガは穏やかな目でシルビオを見ていた。
…知っている。
こういう時の彼は、答えを教えてくれない。
「ね、ねぇ、寂しいと何なの?」
「それを自分で考えるのがハルトからの宿題だろ」
「う……」
縋るように尋ねたが、あっさりと返されてしまった。
「分かんないよぉ……自分のことなんて」
「分からなきゃいけないんだよ。それが大人になるってことだ」
ユーガは澄ました顔でそう言って、シルビオの頭をぽんぽんと撫でてから作業に戻る。
シルビオは心の中で小さく膨れた。
ユーガは頭が良いくせに、周りが自分より劣っていることを認めないのだ。
だから、彼は明確な答えをくれない。
自分の力で彼と同じ土俵に辿り着くことが当たり前のようにできると思っている。
「……分かんないよ」
ユーガに聞こえないようにそう呟いて、シルビオは拗ねた顔でソファーにぽすんと身体を沈めた。
その時だった。
「邪魔するぞ~」
ドアベルが鳴って、一人の青年が勢いよく扉を開け放った。
ユーガがその声を聞いて、僅かに顔を顰めたのが見えた。
シルビオは慌てて立ち上がり、彼に視線を向ける。
自分と同じ黒い髪に、怜悧な藍色の瞳。
服装は町人というよりは旅人の装いで、どこもくたびれている。
大きなバッグパックを背負ったまま入ってきた彼は、シルビオと目が合うとにやりと笑って片手を上げた。
「よう坊ちゃん。久方ぶりだな」
「……フォーゲル」
ぽつりと彼の通り名が零れた。
渡り鳥─その名の通り、彼は地区を跨いで国を旅する、ジェイドを拠点としている情報屋である。
シルビオとは数年前からのビジネスパートナーであり、知りたいことがあれば基本彼に頼れば解決する、有能な人物だ。
普段だったら、手放しで歓迎していただろう。
けれど、シルビオの表情は強ばっていた。
理由は、一つだけだ。
「ちょうど今日帰ってきたんだよ。いやぁ、疲れた疲れた。…で、今日は空いてる?」
荷物を下ろし、カウンター席に腰掛け、フォーゲルはいつも通り尋ねてくる。
鋭い眼差しには、いつも通りの期待が込められている。
…何がと言えば。
夜の相手だ。
「……うん、空いてるけど……」
ユーガをちらりと見ながら答えるシルビオ。
ユーガは溜め息をつき、好きにしろと言いたげにくるりと背を向けてキッチンの方へ消えた。
その様を見て、フォーゲルは首を傾げる。
「ん~?なんか、俺歓迎されてない?もしかして本命できた?」
「本命……」
頭にぱっと浮かんだのは、ヴォルガの顔だった。
現在のパートナーであり、それでいて一度も手を出していない、無垢な青年。
…でも、彼のことは、ただ自分が利用しているだけだ。
今の関係は、シルビオが一方的に望んでいるもので。
だから、彼がいない今、遠慮する理由は何一つないはずだ。
「……いないよ、そんなの。一緒に寝てくれる人は見つかったけど……今日はいないし」
「ふーん?」
少なからず、ストレスが溜まっていた。
だから、誰かと発散したかった。
その相手は、ユーガでもヴォルガでもだめだった。
それだけの話。
割り切ったはずなのに、声は落ち込んでいた。
フォーゲルは不思議そうにシルビオを見ていたが、特に深く聞くことはなく、いつも通りの会話を続ける。
「ならちょうどよかった。今日は営業?」
「うん。終わったらでいい?」
「あいよ。俺もやること色々あるしな。じゃ、夜になったら戻ってくるよ」
「……」
ぴくりと、指が震えた。
どうしてだろう、今までは当たり前のようにしていたことだったのに。
ふつふつと、後ろめたい気持ちが押し寄せてくるのは。
ヴォルガの顔がまた頭に浮かんで、気づいたら声が零れていた。
「……今日、外でもいい?」
「ん?あぁ、いいけど……おい、本当に本命いないんだろうな?修羅場に巻き込まれるのはごめんだぞ」
「いないってば。気分の問題」
疑わしげに睨んでくるフォーゲルに苦笑いを向けて、シルビオは彼の背中を押した。
「はい、じゃあいつものとこね!準備するから早く出てって~」
「ちょ、もう少し休ませろよ~!疲れてんだって!!」
「誘う元気はあるじゃん」
「それとこれとは話が別だろ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも素直に退散してくれたフォーゲルを見送り、シルビオは溜め息をついた。
…これでいいはずだ。
ヴォルガがいない日くらい、好きに過ごしたっていいはずだ。
ユーガにも、迷惑かけずに済むし。
何も、間違っていないはずなのだ。
でも、苦しかった。
自分の生き方が間違っているような気がして。
当たり前のようにやってきたことが、全て正しくなかったような気がして。
ヴォルガに、今度こそ失望されるんじゃないかって。
また心がぐちゃぐちゃに掻き乱されて、吐きそうになる。
でも、今更やめようなんて言えなかった。
望まれることを、望まれたように。
そうやって、生きてきたのだから。
その日、酒場の営業が終わると、シルビオは夜の街へ繰り出して行った。
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