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第7話
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西暦2020年10月3日 オルスター王国アトラン港
「わざわざ宿泊場所の提供までしていただきありがとうございました。」
「いえいえ。今後とも日本国との友好な関係を築いていきたいですね」
「承知しました。ではこれにて」
巡視船こうやに外交官、棚里と護衛の自衛官が乗り込んでいく。今回の会談で、具体的な食糧輸入や、輸送船の日時、今後の会談について話し合えた。特に食糧については広大な土地を持つオルスター王国の尽力によって早くも1週間後には輸入を出来る体制にするという。しかし、イモ類、野菜類しか調達できず、肉類の調達が日本では必要となった。米類は日本国内で自給できるとの結果を農水省が出している。
巡視船こうやがエンジン音を上げながら港を後にする。港の人は物珍しそうにこちらを眺めていた。
昨晩 バナスタシア帝国 国家情報局
「オルスター王国および周辺海域に未知の船舶が現れました」
情報局の職員が局長に報告する。
「なんだ?所属国は」
「二ホンと名乗る国家だそうです」
「二ホンなんて国は聞いたことがないな。新興国家か?」
「いえ、マスニカ半島の南方50Kmに存在しているそうです」
「マスニカ半島か。下手に手を出しづらいな」
マスニカ半島というのはオルスター王国やミニス共和国が存在している半島である。バナスタシア帝国はマスニカ半島の付け根の位置に存在している巨大国家だ。
しかし、マスニカ半島の末端には未開拓の土地がある。魔物が跋扈していて、下手に刺激すると返り討ちにされてしまう。そのためオルスター王国が哨戒活動を実施しているのだ。
「明日の朝には二ホンの使節団が帰国するそうです」
「分かった。軍部としては新興国家などを潰すなんて簡単だろうが、私としては興味がわく。植民地支配なんかが良いよな」
「そうですね。これに関してはいかがされますか」
「我が国はマスニカ半島を統一することを目標としている。いったんここらで主要国としての強さを見せるべきだろう。そして降伏を促す。それが一番楽であるからな」
局長が興奮気味に主張する。
「では第2工作部に伝達してくれ。一切の武力行使を許可、装備は小型高速魔力艇及び隠密飛竜の使用でオルスター王国の領海から出たところで襲撃と。出来る限り殺さずにな」
「いいんですか?最新鋭の装備を使って」
「大丈夫だ。新興国家ごときにうちの優秀な局員がやられるわけがなかろう?」
「そうですね、分かりました。翌日襲撃させます」
作戦を指示した局長はひとり期待していた。今までは副局長だった彼は、作戦の指揮など執ってこなかった。だから局長に昇格した今、若干テンパっていた。
しかし、これが大きな破滅を呼ぶことになるとはまだ知る余地はない。
巡視船こうや 艦橋
「右舷後方より、時速22ノットで船舶接近」
「オルスター王国の方々だろう。距離はどのぐらいだ?」
「本船より4.9Kmの位置にいます」
「了解。そのまま航行する」
しかし、その油断が命取りになる。対象船舶が巡視船より視認距離まで近づいてきた。
突如巡視船の周りに水しぶきが上がる。
「敵艦からの攻撃です!命中弾なし」
「なんでだ!味方じゃないのかよ!」
艦橋では動揺が広がる。
「両舷前進最大戦速、護衛艦隊に救援要請、正当防衛射撃の通達をしてくれ」
船長が冷静に指示する。しかし、艦橋に何かが連続的に突き刺さっている。
「船長!外に出ていた自衛官が1人負傷しました」
「なんだと?救難要請もしてくれ。仕方がない、威嚇射撃を実施してくれ、効果が認められなければ正当防衛射撃を実施せよ」
「司令部からの返答がまだなのと、ここは日本の領海ではないですが」
「隊員を守るのが船長の役目だ!最悪俺が辞任すればいい!」
「了解!威嚇射撃を実施します!照準は対象の上空10m、発射!」
JM61-RFS(目標追尾型遠隔操縦機能つきバルカン砲)が対象上空に火を噴く。
その瞬間、巡視船船体後部で被弾した。攻撃されたからと言って、外に出て確認もできない。エンジン1基が停止し、速力が低下した。窓ガラスから乗員が確認したことを報告する。
「まずいです。大砲と矢みたいなものが船体に刺さっています。エンジンも1基被弾しています。正当防衛射撃を実施すべきです」
「分かった。正当防衛射撃を実施せよ。」
「敵艦速力変化なし。波高ほぼなし。距離3.8Km、目標船首、発射」
派遣艦隊旗艦 かが
「巡視船こうやより、救援要請および正当防衛射撃の伝達が入りました」
「なんだ?襲撃されたのか。まずいな。航空機発艦準備整っているか」
「はい、あとはエンジン起動のみです」
「航空機準備完了次第発艦」
護衛艦かがでは、緊急事態に備え、ヘリコプターがすぐに発艦できるような態勢を取っていた。
「護衛艦さみだれに通達。最大戦速にて巡視船こうやを援護、場合によっては即時正当防衛射撃を許可」
「了解」
数分後、SH-60Kが74式機関銃を装備して、護衛艦かがから飛び立った。
「わざわざ宿泊場所の提供までしていただきありがとうございました。」
「いえいえ。今後とも日本国との友好な関係を築いていきたいですね」
「承知しました。ではこれにて」
巡視船こうやに外交官、棚里と護衛の自衛官が乗り込んでいく。今回の会談で、具体的な食糧輸入や、輸送船の日時、今後の会談について話し合えた。特に食糧については広大な土地を持つオルスター王国の尽力によって早くも1週間後には輸入を出来る体制にするという。しかし、イモ類、野菜類しか調達できず、肉類の調達が日本では必要となった。米類は日本国内で自給できるとの結果を農水省が出している。
巡視船こうやがエンジン音を上げながら港を後にする。港の人は物珍しそうにこちらを眺めていた。
昨晩 バナスタシア帝国 国家情報局
「オルスター王国および周辺海域に未知の船舶が現れました」
情報局の職員が局長に報告する。
「なんだ?所属国は」
「二ホンと名乗る国家だそうです」
「二ホンなんて国は聞いたことがないな。新興国家か?」
「いえ、マスニカ半島の南方50Kmに存在しているそうです」
「マスニカ半島か。下手に手を出しづらいな」
マスニカ半島というのはオルスター王国やミニス共和国が存在している半島である。バナスタシア帝国はマスニカ半島の付け根の位置に存在している巨大国家だ。
しかし、マスニカ半島の末端には未開拓の土地がある。魔物が跋扈していて、下手に刺激すると返り討ちにされてしまう。そのためオルスター王国が哨戒活動を実施しているのだ。
「明日の朝には二ホンの使節団が帰国するそうです」
「分かった。軍部としては新興国家などを潰すなんて簡単だろうが、私としては興味がわく。植民地支配なんかが良いよな」
「そうですね。これに関してはいかがされますか」
「我が国はマスニカ半島を統一することを目標としている。いったんここらで主要国としての強さを見せるべきだろう。そして降伏を促す。それが一番楽であるからな」
局長が興奮気味に主張する。
「では第2工作部に伝達してくれ。一切の武力行使を許可、装備は小型高速魔力艇及び隠密飛竜の使用でオルスター王国の領海から出たところで襲撃と。出来る限り殺さずにな」
「いいんですか?最新鋭の装備を使って」
「大丈夫だ。新興国家ごときにうちの優秀な局員がやられるわけがなかろう?」
「そうですね、分かりました。翌日襲撃させます」
作戦を指示した局長はひとり期待していた。今までは副局長だった彼は、作戦の指揮など執ってこなかった。だから局長に昇格した今、若干テンパっていた。
しかし、これが大きな破滅を呼ぶことになるとはまだ知る余地はない。
巡視船こうや 艦橋
「右舷後方より、時速22ノットで船舶接近」
「オルスター王国の方々だろう。距離はどのぐらいだ?」
「本船より4.9Kmの位置にいます」
「了解。そのまま航行する」
しかし、その油断が命取りになる。対象船舶が巡視船より視認距離まで近づいてきた。
突如巡視船の周りに水しぶきが上がる。
「敵艦からの攻撃です!命中弾なし」
「なんでだ!味方じゃないのかよ!」
艦橋では動揺が広がる。
「両舷前進最大戦速、護衛艦隊に救援要請、正当防衛射撃の通達をしてくれ」
船長が冷静に指示する。しかし、艦橋に何かが連続的に突き刺さっている。
「船長!外に出ていた自衛官が1人負傷しました」
「なんだと?救難要請もしてくれ。仕方がない、威嚇射撃を実施してくれ、効果が認められなければ正当防衛射撃を実施せよ」
「司令部からの返答がまだなのと、ここは日本の領海ではないですが」
「隊員を守るのが船長の役目だ!最悪俺が辞任すればいい!」
「了解!威嚇射撃を実施します!照準は対象の上空10m、発射!」
JM61-RFS(目標追尾型遠隔操縦機能つきバルカン砲)が対象上空に火を噴く。
その瞬間、巡視船船体後部で被弾した。攻撃されたからと言って、外に出て確認もできない。エンジン1基が停止し、速力が低下した。窓ガラスから乗員が確認したことを報告する。
「まずいです。大砲と矢みたいなものが船体に刺さっています。エンジンも1基被弾しています。正当防衛射撃を実施すべきです」
「分かった。正当防衛射撃を実施せよ。」
「敵艦速力変化なし。波高ほぼなし。距離3.8Km、目標船首、発射」
派遣艦隊旗艦 かが
「巡視船こうやより、救援要請および正当防衛射撃の伝達が入りました」
「なんだ?襲撃されたのか。まずいな。航空機発艦準備整っているか」
「はい、あとはエンジン起動のみです」
「航空機準備完了次第発艦」
護衛艦かがでは、緊急事態に備え、ヘリコプターがすぐに発艦できるような態勢を取っていた。
「護衛艦さみだれに通達。最大戦速にて巡視船こうやを援護、場合によっては即時正当防衛射撃を許可」
「了解」
数分後、SH-60Kが74式機関銃を装備して、護衛艦かがから飛び立った。
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