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第31話
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北青原駐屯地
バナスタシア帝国からの宣戦布告を受け、第21師団の総員が北青原駐屯地に集結していた。
今回は、北青原駐屯地より海上自衛隊の輸送艦でオルスター王国に展開することとなった。また、敵部隊の勢力が不明なため、普通科、特科、機甲科等のほぼすべての部隊が展開することとなった。もちろん、政府はオルスター王国に対し、敵勢力の詳細を問うたのだが、いまいちわからんという回答だった。これはオルスター王国がバナスタシア帝国の情報収集をあまり行っていなかったからである。両国はかれこれ50年も対立していたのだが、戦闘に発展したことはなかったからである。
また、ヘリなどは応援が来ることとなった。これは北青原駐屯地に駐屯するヘリ部隊が異様に少ないことを配慮した結果であった。
カマス港
ここカマス港はオルスター王国ではバナスタシア帝国にもっとも近い港である。そのため、オルスター王国海軍の主力が集結している港でもあった。
そこに、異様な艦隊が入港してきたのであった。
「すげぇなぁ。あんな船見たこねぇや」
「なにしろ"ニホン"とかいう国の軍隊らしいぜ」
「そんな国は聞いたことねぇな。それにしてもあんな金属の塊が浮いてるってすげぇな」
「下手したら海軍最強のシーランド共和国よりも強いかもな」
「さぁな。でも大砲とかないよな」
「確かに。どうやって戦うのか気になりますな」
「バナスタシア帝国もなんで宣戦布告するのかね」
漁港でもあったカマス港の漁師たちは同様の感想を抱いていた。未知の国家である日本を興味深く見る者も多かった。また日本の保有する護衛艦が金属で出来ていることに対して感心しているものもいた。
地元民が注目する中、開戦予定日まで3日も残されていない自衛隊は次々と兵器の移動を開始した。今回展開することとなったのは、
陸上自衛隊
第21師団隷下
第60普通科連隊-2個普通科中隊・1個重迫撃砲中隊
第14特科隊
第211高射特科隊
第21施設隊
第21通信隊
第21後方支援隊
第21偵察隊
第21戦車大隊-90式・10式
特域方面隊直轄
特域方面ヘリコプター隊-UH-1・OH-1・AH-1S・CH-47JA
応援部隊
中部方面飛行隊-第5対戦車ヘリコプター隊(AH-1S)・中部方面ヘリコプター隊(OH-1・CH-47JA)
海上自衛隊
第1護衛隊群
第1輸送隊-輸送艦おおすみ・くにさき
航空自衛隊
第3飛行隊-F-2A
の合計1万人規模の動員である。
今回動員されたのは、一応の配慮として未婚者が多く占めている。また、拒絶の意思を示した者に対しての強制的な動員は避けた。
それでも多くの自衛官は、自衛官のプライドにかけてこの戦闘に参加を希望したようである。
話はそれたが、今回動員された人員が一斉にカマス港から移動するのである。幸いにしてオルスター王国とバナスタシア帝国の国境はカマス港から最端部でも100Kmちょいぐらいであったため、燃料を気にしていた自衛隊は非常に喜んだのである。
しかし、広域に展開することになっていても戦闘が起きるような場所は限られていた。そのため、自衛隊はその予想戦闘地に主力部隊を配置することになった。また、あくまでここはオルスター王国であるため、自衛隊はオルスター王国陸軍が展開する場所より後方に展開することとなった。
そして、隊員たちの大半の故郷は雪が降り注いでいる中、戦いは始まったのである。
陸上自衛隊オルスター王国派遣隊 本部(北青原駐屯地)
「報告、バナスタシア帝国と見られる軍勢が我が方に向けて進撃を始めた模様です」
「了解。速やかに敵勢力の判別を致せ。また全隊に戦闘態勢に移行するように通達」
「了解しました」
「あと防衛省と政府に状況流してくれ」
本部から命令が下った偵察部隊は偵察活動を開始した。そのため、国境より50Kmほど後方で待機していたヘリ部隊のうち、OH-1が2機臨時飛行場を飛び立つ。
おおむね快晴だった現地から、高度2000mでOH-1は偵察活動を行った。
「『こちらオメガ1。敵勢力の詳細を把握した。勢力は前線で確認できるので推定10万ほど。主力は歩兵で一部に戦車なども確認できる』」
『了解。敵対空兵器に十分に注意されたし』
「大半が歩兵との報告です」
「了解した。オルスター王国の領土を侵犯したのち、速やかに砲撃を開始せよ」
「いいのですか?」
「構わん。安全保障条約結んでいるからある程度の融通が利くようになっている」
現地部隊
「指揮官、お話が」
そういってオルスター王国陸軍野営指揮所に入る、第60普連隊長。
「なんでしょうか」
「我々はバナスタシア帝国軍が貴国の領土に足を踏み入れると同時に攻撃を開始いたします」
「それは、自衛隊が国境まで前進するということでしょうか」
「いいえ。我々より後方から特科が砲撃を致しますので」
「特科というと?」
「簡単に言えば大砲で敵を殲滅いたします。その後報告に」
「なるほど。構いません、というかぜひお願いいたしたい」
「ありがとうございます。では予想開始時刻は10分後なのでお見知りおきを」
オルスター王国陸軍は、国境より10Kmほど離れた平原に展開していた。これは日本側からの要請であったのだが、理由はこれのためであった。
未知の軍勢に対面するよりは、遠距離からの砲撃で殲滅を致した方が良いという結論になったためだ。しかしオルスター王国には通達していなかった。それは情報漏洩を恐れてのことだった。
バナスタシア帝国からの宣戦布告を受け、第21師団の総員が北青原駐屯地に集結していた。
今回は、北青原駐屯地より海上自衛隊の輸送艦でオルスター王国に展開することとなった。また、敵部隊の勢力が不明なため、普通科、特科、機甲科等のほぼすべての部隊が展開することとなった。もちろん、政府はオルスター王国に対し、敵勢力の詳細を問うたのだが、いまいちわからんという回答だった。これはオルスター王国がバナスタシア帝国の情報収集をあまり行っていなかったからである。両国はかれこれ50年も対立していたのだが、戦闘に発展したことはなかったからである。
また、ヘリなどは応援が来ることとなった。これは北青原駐屯地に駐屯するヘリ部隊が異様に少ないことを配慮した結果であった。
カマス港
ここカマス港はオルスター王国ではバナスタシア帝国にもっとも近い港である。そのため、オルスター王国海軍の主力が集結している港でもあった。
そこに、異様な艦隊が入港してきたのであった。
「すげぇなぁ。あんな船見たこねぇや」
「なにしろ"ニホン"とかいう国の軍隊らしいぜ」
「そんな国は聞いたことねぇな。それにしてもあんな金属の塊が浮いてるってすげぇな」
「下手したら海軍最強のシーランド共和国よりも強いかもな」
「さぁな。でも大砲とかないよな」
「確かに。どうやって戦うのか気になりますな」
「バナスタシア帝国もなんで宣戦布告するのかね」
漁港でもあったカマス港の漁師たちは同様の感想を抱いていた。未知の国家である日本を興味深く見る者も多かった。また日本の保有する護衛艦が金属で出来ていることに対して感心しているものもいた。
地元民が注目する中、開戦予定日まで3日も残されていない自衛隊は次々と兵器の移動を開始した。今回展開することとなったのは、
陸上自衛隊
第21師団隷下
第60普通科連隊-2個普通科中隊・1個重迫撃砲中隊
第14特科隊
第211高射特科隊
第21施設隊
第21通信隊
第21後方支援隊
第21偵察隊
第21戦車大隊-90式・10式
特域方面隊直轄
特域方面ヘリコプター隊-UH-1・OH-1・AH-1S・CH-47JA
応援部隊
中部方面飛行隊-第5対戦車ヘリコプター隊(AH-1S)・中部方面ヘリコプター隊(OH-1・CH-47JA)
海上自衛隊
第1護衛隊群
第1輸送隊-輸送艦おおすみ・くにさき
航空自衛隊
第3飛行隊-F-2A
の合計1万人規模の動員である。
今回動員されたのは、一応の配慮として未婚者が多く占めている。また、拒絶の意思を示した者に対しての強制的な動員は避けた。
それでも多くの自衛官は、自衛官のプライドにかけてこの戦闘に参加を希望したようである。
話はそれたが、今回動員された人員が一斉にカマス港から移動するのである。幸いにしてオルスター王国とバナスタシア帝国の国境はカマス港から最端部でも100Kmちょいぐらいであったため、燃料を気にしていた自衛隊は非常に喜んだのである。
しかし、広域に展開することになっていても戦闘が起きるような場所は限られていた。そのため、自衛隊はその予想戦闘地に主力部隊を配置することになった。また、あくまでここはオルスター王国であるため、自衛隊はオルスター王国陸軍が展開する場所より後方に展開することとなった。
そして、隊員たちの大半の故郷は雪が降り注いでいる中、戦いは始まったのである。
陸上自衛隊オルスター王国派遣隊 本部(北青原駐屯地)
「報告、バナスタシア帝国と見られる軍勢が我が方に向けて進撃を始めた模様です」
「了解。速やかに敵勢力の判別を致せ。また全隊に戦闘態勢に移行するように通達」
「了解しました」
「あと防衛省と政府に状況流してくれ」
本部から命令が下った偵察部隊は偵察活動を開始した。そのため、国境より50Kmほど後方で待機していたヘリ部隊のうち、OH-1が2機臨時飛行場を飛び立つ。
おおむね快晴だった現地から、高度2000mでOH-1は偵察活動を行った。
「『こちらオメガ1。敵勢力の詳細を把握した。勢力は前線で確認できるので推定10万ほど。主力は歩兵で一部に戦車なども確認できる』」
『了解。敵対空兵器に十分に注意されたし』
「大半が歩兵との報告です」
「了解した。オルスター王国の領土を侵犯したのち、速やかに砲撃を開始せよ」
「いいのですか?」
「構わん。安全保障条約結んでいるからある程度の融通が利くようになっている」
現地部隊
「指揮官、お話が」
そういってオルスター王国陸軍野営指揮所に入る、第60普連隊長。
「なんでしょうか」
「我々はバナスタシア帝国軍が貴国の領土に足を踏み入れると同時に攻撃を開始いたします」
「それは、自衛隊が国境まで前進するということでしょうか」
「いいえ。我々より後方から特科が砲撃を致しますので」
「特科というと?」
「簡単に言えば大砲で敵を殲滅いたします。その後報告に」
「なるほど。構いません、というかぜひお願いいたしたい」
「ありがとうございます。では予想開始時刻は10分後なのでお見知りおきを」
オルスター王国陸軍は、国境より10Kmほど離れた平原に展開していた。これは日本側からの要請であったのだが、理由はこれのためであった。
未知の軍勢に対面するよりは、遠距離からの砲撃で殲滅を致した方が良いという結論になったためだ。しかしオルスター王国には通達していなかった。それは情報漏洩を恐れてのことだった。
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