ある男の半生

tanomura65

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有る男の半生 3章

ある男の半生

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勉強は、なぜか苦にならなかった。
教科書を2回読み返すと、ほとんど頭に入ったのだ。

覚えようとしたわけではない。
身体が技術を記憶するように、思考も情報を吸収していた。
計算は、算盤をしていたので暗算が得意だった。

数字を見れば、頭の中で動き始める。
8桁の計算も問題なかった。
掛け算も割り算も、4桁くらいならすぐに答えが出た。

それは「計算が速い」ではなく、頭脳がまだ教えていない処理速度が作動してだけだった。
先生に褒められることもあった。
でも、私はそれを“特別”とは思っていなかった。

頭が答えをを出してしまうように、思考も答えを出してしまう。
それが、私の普通の出来事だった。

ローマ字も、分数も、小数点も、三角形の面積も——
法則さえ見つければ、すべて簡単だった。

私はそう感じていたのだ。

でも、授業は“分からない生徒”に合わせて進んだ。
私は、なぜ分からないのかが不思議だった。
家に帰ると、親に聞いた。「どうして分からない子がいるの?」

それは責める気持ちではなく、知性の進行速度と授業速度が遅すぎた結果で 分からない人が驚きだった。
授業が進まない。だから、私は自分で教科書を読んだ。

4年生の頃には、6年生の内容を理解していた。
先生がまだ“普通の生徒を教える準備”をしている間に、私は“理解していた”。
それは「勉強ができる」ではなく、勉強の速度が私には遅すぎた教育だった。


ある日、近所のおじいさんが私に聞いてきた。
「勉強は楽しいか?」
私は答えた。
「まあ、知らないことを知るのは楽しいので、好きです」

それは本心だった。
本を読むのも、地図を見るのも、昔話を聞くのも好きだった。

おじいさんの話は面白かった。
明治時代の話、曽祖父の江戸時代の様子——
知らない体験の外にある記憶が、話として私の中に記録されていった。

その当時初恋をしたのは、5年生の時だった。
東京から引っ越してきた女の子。
名前が同じだった。

同級生たちは「夫婦だ」とからかった。
その子の身長は160cmあった。周囲から「釣り合う」と言われた。
最初は気にしなかったが。偶然にも、帰り道が同じだった。

私が陸上や柔道でよく先生から褒められるからか、
その子も噂されまんざらではない様子だった。


気づけば、私はその子の方ばかり見ていた。
夢にも出る 学校で顔を見るとを何故か楽しい、まなざしも向けられるとドキドキした。

それは今まで知らなかった気持ちだった。
抱きしめたらどうかと妄想が膨らんだ。

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