追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-

晴本吉陽

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第1部 星霊隊結成

第7話(2)助けを求める2人

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6月19日 午前10:30 福富県 羽沼市の外れ
 幸紀たち一行は、日菜子の運転するバスに乗って清峰侯爵の屋敷を目指していた。
 このあたりの街もやはり悪魔に破壊されており、道路も建物も荒れ果てている。幸紀たち一行は、それをバスの中から眺めていた。

「日菜子、運転、交代しましょう」

「え、璃子さん、運転できるんですか?」

「えぇ。救急車も免許は同じだから。適当なところで交代しましょう」

「はい!じゃあ、次止まった時にお願いします!」

 運転席では日菜子と璃子が雑談を交わす。
 その後ろの普通の座席では、雪奈と晴夏が新たに仲間に加わった麗奈に話しかけていた。

「雪奈はよくわからないのですけど…麗奈さんは…ロボットなのですか?」

「いいえ。私はA-5007、アンドロイドです。私の記憶メモリーに断片的に残された記録によれば、私は悪魔軍に鹵獲され、霊力と魔力を注ぎ込まれた結果、体の90%が人間と同様のものになったようです」

「90%って、ほぼ人間じゃん。逆にどこが人間じゃないわけ?」

「頭脳及び一部の神経と骨格です。悪魔軍が私の視神経を利用して諜報するために残したのでしょう。幸紀に使われたリセット用のプログラムのおかげで、そのデータも消去できました」

「ふぅーん、てことは…」

 晴夏はそう言いながら麗奈の胸に目をやる。黒い軍服のような薄着に包まれた麗奈の体は、非常に均整の取れた女性的な体をしていた。

「うへへ…ここも当然、人間っぽくなってんだよなぁ?」

 晴夏が汚い笑みを浮かべながら両手をせわしなく動かしつつ麗奈の胸に近づけようとする。その瞬間、晴夏の両手に、鋭いビンタが飛んできたのと同時に、後ろから四葉の怒鳴り声が聞こえてきた。

「イテェッ!」

「こらぁっ!!セクハラです!!反省文です!!原稿用紙12枚です!」

「待ってくれよ生徒会長!麗奈だってそんな嫌がっては…」

「児玉さんは普通の人間になってから時間が経っていません!人間の普通の生活に基づいた社会的な判断をするのはまだ難しいはずです!それを利用してセクハラなんて最低です!反省してください!」

「うう…すみませんでした…」

 四葉の凄まじい剣幕のお説教に、晴夏は小さくなって頭を下げる。そんな様子をよそに、麗奈は自分の胸に手を当て、軽く揉みしだく。雪奈は反射的にそんな光景に顔を隠した。

「ご指摘のとおり、私の胸部も人間と同様のものになっているようです」

「れ、麗奈さん、人前でそういうことをしちゃダメですよ」

「承知しました」

 雪奈に小さく指摘され、麗奈は自分の胸を触るのをやめる。麗奈はすぐに背筋を正して座り直したが、直後、麗奈から空腹を知らせる腹の音が響いた。

「この音はなんでしょう」

 麗奈は周囲にいたメンバーたちに尋ねる。すぐに四葉が微笑みながら話し始めた。

「人間はお腹が空くとそういう音が鳴ります。エネルギー供給が必要というサインです!」

「わかりました。ではエネルギーを供給してください」

「飯を食わせろってこと?うーん、タイミング大丈夫かな」

 晴夏は疑問に思うと、座席から立ち、前の方の席に座っている幸紀の横にやってきた。

「幸紀さん、どっかで昼飯でも買いませんか?みんなそろそろ腹減ってきちゃってるっすよ」

 晴夏に言われると、幸紀は食料がないことに気づき、運転席の近くに座っている璃子に声をかけた。

「そうだな。璃子、この辺りには詳しいだろう。どこか案内してくれないか」

「そうね…」

「あ、ちょっと待ってください!給油できるところも教えてくれませんか?そろそろガス欠になりそうなんで…」

 幸紀と璃子が話していると、運転席の日菜子も璃子に尋ねる。璃子はそれを聞くと答え始めた。

「少し先にガソリンスタンドがあったはず。その近くにはコンビニもあるはずだから、そこを目指すのがいいんじゃないかしら」

「決まりだ。璃子、日菜子を案内してやってくれ」

「了解」

 幸紀の指示を受け、璃子は運転席の横に立ち、日菜子に案内を始める。幸紀はそれを見ると、再び座席に背中を預けるのだった。

 30分後 午前11:00 ガソリンスタンド

「着きました!」

 日菜子の運転するバスが、荒れ果てたガソリンスタンドに到着する。バスの車内では、四葉が立ち上がって指示を出し始めた。

「それでは二手に分かれましょう!バスに給油するグループと食料を調達するグループです!」

「私と璃子さんで給油するから、結依と弥生は私たちの護衛をお願い!残りのメンバーは四葉の指示にしたがって食料をお願い!」

 四葉と日菜子が指示を出し、メンバーたちは返事をする。幸紀はその一連の流れを横で見ており、日菜子は幸紀に尋ねた。

「これでいいですよね、幸紀さん?」

「あぁ。俺はここでお前たちの護衛をやる」

 幸紀と日菜子が話しているうちに、四葉はメンバーたちを引き連れてバスから降りていく。幸紀は大勢の女性たちがバスを降りたのを見届けると、ゆっくり立ち上がった。

「それじゃあ、私たちも始めよう!」

 日菜子はバスの中に残っていた、璃子、結依、弥生の3人に声をかけると、ガソリンスタンドへと降りていくのだった。
 幸紀も日菜子たちから少し遅れてバスを降りる。ガソリンスタンドの給油ステーションに日菜子たちが駆けて行ったのを見送った幸紀は、バスに寄りかかって周囲を見回した。

(この辺りには悪魔はいないか…もう荒らすだけ荒らしたということか…)

「ねぇ、そこのお兄さん」

 幸紀がそんなことを考えていると、横から女の声が聞こえてくる。幸紀がそちらに振り向くと、濃紺のショートヘアで露出度の高い服を着た女性と、真っ白な長髪にメガネとスーツの女性が、幸紀に向けて走ってきていた。

「そこのバス、あなたの?」

「まぁそうだな」

 青髪の女性が息を切らしながら尋ねる。幸紀がそっけなく頷くと、白髪の女性が話し始めた。

「私たち、悪魔から逃げて来たんです~。まだ結構な数の悪魔があっちにいて、逃げたいんですよ~」

「お願い…私たちを乗せてちょうだい…怖いの…!殺される…!助けて…!」

 青髪の女性はそう言って涙ぐみながら幸紀の胸元に顔をうずめ、幸紀に体を密着させる。幸紀は冷ややかな表情でその女性を見下ろしたが、小さくため息を吐いて指示を出した。

「お前たち、名前は?」
 
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