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出席番号は絶対に1番だった私が2番になった。それは小2な上がったとき。中 華乃、ア行の苗字なんて自分以外いないと思っていたら、いた。転校生だ。彼は相内湊、絶対に出席番号1番になる苗字だった。
なんと家は近所も近所、我が家の斜め前に建てていた家が彼の家だった。それを知ったのは昨日、引っ越しの挨拶にいらしたときだった。イケメンのお父さんに美人のお母さん、「あなたと同い年の息子がいるのよ」と言っていたから。
「はぁちゃん、仲良くしてね」
「うん。みなとくん」
朝一緒に登校してねと彼の母と彼と3人で登校した。始業式だから正面玄関に貼り出されているクラス表をみたら1番だった出席番号が2番になってた
「あっぼく1番だ」
クラス替えは3年生だから2年は違う、みなとくんが転校してきたからみんな出席番号が1つずれた。
そんなころから早8年。今は高2。
「ハナ、そろそろ家入れてくれてもいいじゃん」
「うちママ専業主婦だから無理だって言ってんじゃん。ヤるだけならあたしの家じゃなくてもよくない?」
「ハナの部屋だから興奮すんじゃん」
「ウケる、絶対ないから~」
学校帰りに彼氏が送ってくれるって言うから送られてんのにヤりたいだけかよ、あーなんかもうこいつ飽きてきたかも。違う男に乗り換えよ。
「げっ後ろから歩いてくるの特進の相内じゃん。女連れてるけどなに?ハナの家と近いの?」
「あー、斜め前。」
「なに?ハナ、相内ともヤってんじゃね?幼馴染みセックス」
「はぁ?湊と?そんなわけないじゃん。あんたも知ってるでしょ?『特進の相内様』って。あたしみたいなバカ女に興味持つわけないじゃん。今一緒に歩いてるのも学校の子じゃなくね?どうみても年上」
「だよなー、ハナと相内じゃあ釣り合わないわー」
うっざ。ほんとコイツ家帰ったらブロックしよ
「ほら、バイバイのちゅーは」
別れるって決めたのたったさっきだけどうっざこいつ。
「しねーよ。あんたとは別れるわ。バイバイ」
「は?待てよ!ハナ!」
玄関閉めてからもうるさいけど知らない。あーあ、マジ男運ないわ。我ながら引く。
『この中華女、くそっ、』
あたしが影で中華と呼ばれてるのは知ってる。名前のせいだけど。次は誰が中華とヤれるか、くっだらない男達の賭けの対象になってるのも知ってる。
「華乃おかえり。まーた男の子怒らせたの?」
「ママただいま。別に怒らせたんじゃなくて別れるって言ったらキレられたの」
「今回は随分短かったわねー。一週間もった?」
「うーん、もってないんじゃない?」
ママは寛容だ。若いうちは遊べ、ゴムだけはしろ。は小さい頃からママに言われていた。ママはきっとすごい遊んでたと思う。パパが知ってるかはわかんないけど。
「パパなんていまだに華乃が湊くんに片想いしてると思ってるのよ。おめでたいわよね。湊くんパパも湊くんが華乃のこと好きだと思ってるの。」
「うわー。ないわー。パパ達どんだけ幸せな脳みそしてんの?」
「幼馴染みと恋人ってのが理想みたいよ。まぁ湊くんのパパママがそうだからだろうけど」
斜め向かいの相内家はパパが歯科医院の副院長、ママは刺繍作家の幸せ家族だ。湊パパが勤めてる歯科医院の開業のときに越してきた。うちと仲がいいのは家が斜め向かいだからだけではなく、湊パパがうちのパパがディーラーをやっている販売店のお得意様だから。店員と客という立場関係なく親友かってくらい仲がいいパパ達と、ママはママで湊ママと仲良しだから家族ぐるみの付き合いなのだ。
「マンガじゃないんだから湊とどうかなるとかありえないわ」
SNSチェックしながらママと話すのは楽しい。他校の男子とカラオケとか誘われないかなー。田舎すぎて他校っていっても知ってるやつ多くて飽きてきたけど。
「湊くんも上手に遊ぶわよね。家に連れてくるのは湊くんのママが講師で出掛けるときだし相手は恐らく年上。玄関前で毎回キレられる華乃とは大違い」
「まともな男選んでるはずなんだけどねー」
「若いからヤりたいのもわかるけど下半身に脳みそついてるようなヤツばっかり選ぶからダメなのよ。3人前くらいの彼氏よかったじゃない」
3人前、3人前だと…
「あー、特進の悠里くん?」
「名前もそんなかんじだったかな?ブレザーのワッペンが湊くんと同じ子よ。コンタクトにして髪整えて姿勢直したらいい男だと思うんだけど」
「悠里くん可愛すぎたんだよねー。童貞捨てたいだけかと思ったらガチになられすぎちゃって。顔合わせるたびにチンコ教科書とかで隠してるからかわいそうになっちゃって」
「えー!?なにそれかわいいじゃない!」
母娘でする会話ではない。確かに悠里くんはかわいかった。初だ初。珍しく3週間ももったんだから。一ヶ月の記念日はどうしたらいいのーって泣きながら別れたくないって言われたときはビビったけど。もう童貞じゃないんだし自信を持てばいい。磨けば湊に張り合えるくらいの素材なんだから。
「かわいいついでに、ママのかわいい湊くんのおうちにお届け物頼んでもいい?」
「え?なんも関係なくない?今の話からなんで湊の家に行かなきゃなの?」
「さくらんぼ、ママの地元から送られてきてたのよ。3人家族に12パックは多すぎなのよ。3パック相内家に届けてきて、残りはパパが店に持っていくから。おねがい」
半分お裾分けであとは我が家で消費だ。さくらんぼ大好きだけど相内家には今は行きたくない。
「湊さっきうちらの後ろから女連れて歩いてたから相内家行きたくないんだけど」
「あら?ママのほうがイヤよ。湊くんが年上好きなのは周知の事実だし、ママみたいないい女が湊くん訪ねてきて彼女かセフレか知らないけど、女が発狂しだしたら困るもん」
「なんで?あたしならいいの?」
「華乃はよくて同級生、だいたい後輩にみえるから大丈夫よ。ね、おねがい」
めんどくさいけど行かないとあたしのさくらんぼ減らされそうだし行くか。化粧崩れてないか確認して、着替えは、いいか。制服のまま行こう。ローファー履くのは面倒だからママのゴミ捨て行くときのサンダルつっかけて行く。
道路挟んで向かいって行っても道路はほぼ私道というか駐車場に入れるためだけの道路。数歩歩けばもう相内家。インターホン押して出てくるのを待つ。早くしてくんないかな。
『なんか用?』
インターホンのスピーカーから聞こえるのは湊の声。中からはモニターで確認できるからあたしだってわかってるんだろうけど。
「ママがさくらんぼお裾分けだから持っていってって。都合悪いなら持って帰るかこのままドアのとこ置いとくけど」
『…今でるから待ってて』
置き配でよくね?バイブ鳴ってるからなんか連絡きた。誰だろ
「ごめんお待たせ」
ボクサーだけで出てくるやつがいるだろうか?マジ湊頭おかしいんじゃない?玄関にあるのは5センチくらいのヒールの靴。踵磨り減ってるの直してないから大した女じゃないな
「はい、ママから。湊ママに渡してって。」
「ありがとうって伝えといて」
「わかった。じゃあ」
「はぁちゃん待って」
「なに?」
「悠里がさみしがってるから無視しないで連絡してあげてよ。はぁちゃんと別れてから悠里死にそうだから」
『みなと~?まだ~?』
「ツレ呼んでるけど。悠里くんのことは湊に関係ないじゃん。めんどくさっ」
さくらんぼの入った紙袋を押し付けて家に戻った。
「湊くんの女いたー?」
「え?そこ?声しかきこえなかったけど湊がパンいちで出てきたから最中だったのかも」
「えー、湊くん全裸で出てきてもよかったのにー。あーあ、パンいちで湊くんでてくるならママが行けばよかった」
「ママが行ったらちゃんと服着て出てくるよ」
「湊くん何か言ってた?」
ニヤニヤしながら聞いてくるってことはママもあたしと湊ワンチャンあると思ってるんだろうな
「悠里くんのことなんとかしろって。あたしと別れてから死にそうらしい」
「えー、やっぱかわいいじゃん悠里くん。ヨリ戻しなよ」
「湊に言われてってのかなーなんかなー」
いつからだろう、湊になにか言われるのがイヤになったのは。仲良しだったけど高学年にもなれば彼氏ができたり自然に一緒にいなくなって、中学にあがったら完全に他人みたいになった。親同士集まることがあれば顔は合わせるけど、あたしスマホいじってるからなんか話したりするなんてない。
*****
「えー、ウケんだけど。じゃあ特進の子とヨリ戻すの?」
「なんかさー、死にそうらしいの。申し訳ないじゃん」
「彼氏は?月曜から付き合ってる」
「あー昨日別れた。」
「そっちのほうがウケるわ!今日金曜だけど。最短?最短じゃね?」
「いや、一日とかもあるから最短じゃない」
「そうだわ!華乃とっかえひっかえだもん」
「あんたもじゃん」
2限終わりの20分休みに髪直して化粧直ししながら話をしているのは幼稚園時代からの悪友。湊のことが好きだったけど、一回付き合ったときにもうないってなったらしい。詳細は恐ろしいから聞けなかったけど
「学年上位5人のうちの1人と下位10人の1人が付き合うとかウケる以外ないんだけど」
「悠里くんそんなに頭いいんだね」
「よく見れば顔もいいから地味に人気あんだよ。華乃と付き合ったって泣いた女いるって噂だよ」
「なら先にコクればいいのにね。あたしは悠里くんにコクられたけど」
「あはははっ、そうだわ。こんなクソビッチなのにモテるんだもんな~男が見る目なさすぎ」
「とりあえずお弁当一緒にたべようって誘ってくるわ」
あたしはB組、隣のA組が文系特進クラス。教室のドアを開けても誰も目を合わせてくれない。くっそ、がり勉どもめ。
見渡して悠里くんを探すけど目についたのは湊。仕方ない湊に聞くか。
「湊、悠里くんは?」
「具合悪いってさっき保健室行ったけど」
「そ。わかった」
『なんで中華ビッチが相内様に話しかけてんのよ』
『幼馴染みらしいよ。今はもう相手にもされてないけど』
『また向井くんに言い寄るとかどんだけ股ゆるいの』
聞こえてるっつーの。そんなに言うくらいなら堂々と言えばいいのに。そんな勇気ないなら陰口なんて言わなきゃいいのに。頭いいやつって何考えてるかわかんない。
「中、気にするなよ」
「湊に言われなくても気にしてないし相手にもしてないから。余計なお世話。男も知らない女に文句言われても痛くも痒くもない」
わざとらしく苗字で呼ぶあたりほんと嫌味。ムカつくから保健室に悠里くんからかいにいこー。
「しつれーしまーす」
保健医はいなかった。ラッキー。悠里くん探そう。カーテンがしまってるのは1つ。たぶんここ。どうしよう他の女とかいたら。修羅場!
「ゆーりくん?」
「華乃ちゃん…?華乃ちゃん!?」
「湊が悠里くん具合悪いって教えてくれたの。大丈夫?あっここ座るね」
「ちょっと頭痛かっただけだから。頭痛薬もらって横になってたら楽になったけど…華乃ちゃんどうして…新しい彼氏は?」
「別れたよ。しらなかった?」
「昨日校門で一緒に帰ってるところはみたけど…」
「そのあと別れたの。ママにも悠里くんのほうがよかったって言われた。」
「華乃ちゃんのお母さんが?」
熱っぽくてなのか照れてるのかわかんないけど顔が赤い。悠里くん本当にかわいい。
「ねぇ悠里くん」
「なに?」
「もう一回付き合う?」
「えっ!?だって、華乃ちゃん…」
「前は悠里くんが童貞捨てたいだけであたしにコクったのかと思ってたの。ちがうんでしょ?」
「うん…1年のときから華乃ちゃんのこと見てて…勇気出して告白したらOKしてくれて…でも、華乃ちゃんは…」
「すきだよ」
「ほんとに…?でも…んっぅ」
なんでこうラッキーとか簡単に考えられないんだろう。とりあえずちゅーしてあげた。かわいい悠里くん。
「もう付き合いたくない?」
「ううん…華乃ちゃんの彼氏にしてほしい」
「ちょっとー、保健室は逢い引き所じゃないんですけどー」
先生に見つかってあたしだけ怒られて退散させられた。理不尽。
「華乃ちゃん」
お昼は一緒に食べられなかったけど放課後迎えにきてくれた悠里くん。
「もう体調いいの?」
「昼休み終わるまで寝てたし薬効いたから大丈夫。送っていくよ」
「ママ喜ぶ!さくらんぼあるから食べよう」
「華乃ちゃんのおうち入ってもいいの?」
そうか、今まで彼氏を家に上げたことは一度もなかった。まぁ悠里くんとヨリ戻せってママも言ったくらいだし
「いいよ」
彼氏と手繋いだりニケツで帰れるのは地元民の特権。電車通学も憧れたけどめんどくさいから徒歩で通える高校にしたの。そういえば悠里くんはチャリ通だけど湊はどうして高校ここにしたんだろう?湊の頭があれば電車で隣の市の進学校とか選べただろうに
「ねぇ悠里くん、悠里くん頭いいのにどうしてこの高校なの?」
「大学推薦ほしいんだよね。センター受けて一般入試もいいんだけど。華乃ちゃんは?」
はぁ~、受験のこと考えて高校に入ってるの、すげーな。
「歩いて行けるから。あたしの学力でもギリ入れたし」
「華乃ちゃんが同じ学校じゃなかったら出会わなかったかもって思うと悲しくなるよ」
「やだー、ちゅーしてあげようか?」
「今はダメ!転んだら華乃ちゃん怪我しちゃうから」
あとでしてってちっちゃい声で言うからかわいい。
「あら、やだ!悠里くん?華乃とヨリ戻したの?やったじゃない!」
「こんにちは」
「ちゃんとご挨拶もできて偉いわー。家の中まで男の子が入ってくるなんて二人目」
「え?」
「湊くんよ湊くん。悠里くん同じクラスなんでしょ?湊くん斜め前というかお向かいさんだから昔から仲良しなの。ね、華乃」
「あー、うん。ママ紅茶淹れて。あと昨日のさくらんぼも」
「お湯は?」
「手洗ったあとケトルに水いれて火かけてる。沸いたら淹れて、上いってるから」
「りょーかいよ」
「悠里くん、部屋いこ」
ママの言う通り。我が家に来た男の子は悠里くんで2人目。普段は彼氏だろうと家の中には絶対いれたくないから。
「湊と仲いいの?えっと…良さそうには見えなかったから」
「幼馴染みなの知らなかった?ほら、窓からみえるあの家、あそこ湊の家だよ。学校意外と地元の子多いから悠里くんも知ってると思った。」
「いや、意外というか」
「湊は優等生なのにあたしがバカだから?」
「いや、そうじゃなくて…華乃ちゃんと釣り合うなんて湊くらいなのに一回も付き合ったことないって聞いたことあるから」
そーゆー余計なことを悠里くんにしゃべったヤツ絶対特定してやる。釣り合うってなに?見た目?学力じゃないことだけは確か。
「湊とは家族ぐるみで付き合いがあるだけで、あたしと湊とのこと疑ってるの?」
「そうじゃないよ、でも」
「不安?ほら、湊帰ってきた。悠里くん、キスして」
「えっ?どうして?」
「不安なんでしょ?じゃあ今ここでキスしたら湊が見上げたらみえるから。ね、悠里くんのものだよって見せつけてあげてよ」
確実に湊と目が合ったのはわかってた。だから悠里くんにキスしてもらう。湊が連絡しろって言ったから、連絡じゃなくて直接会ってまた付き合うことにしたんだから。
湊が見てたかはわからなかった。キスしたあと押し倒されたから。
「華乃ちゃんっ」
「あらやだ、ママったらタイミング最悪!悠里くんごめんね。華乃、ママ出来るママだから買い物に出掛けてあげるわ。うーん、1時間半もあればいい?」
「…ありがと、ママ」
「悠里くんごはんは?たべていく?」
「いえ、塾があるので」
「えー残念。だけど特進だもんね、仕方ない。今度また遊びにきてね。じゃあごゆっくり」
紅茶とお菓子とさくらんぼを持ってきてくれたママが嵐のように去っていった。
「ふふっ、悠里くんどうする?」
「お茶折角だからいただく…」
「茶葉出しておいてあとでアイスティーにしようよ、ね」
「でも…」
「自分の部屋でするのはじめてなの。悠里くんがはじめて」
人が生唾を飲み込む音を初めて聞いた気がする。ガチガチになってた悠里くんも何回もキスをすれば次第に緊張がほぐれていった。
びっくりしたのは悠里くんがちゃんとゴムを持っていたこと。かわいい。口でつけてあげよ
「華乃ちゃん、いいって、恥ずかしい」
「いいじゃん。もう全部知ってる仲なんだし」
「でも」
「悠里くんの息子さんはしてほしいってピクピクしてるよ?ね、させて、お願い」
顔を赤くする悠里くんは本当にかわいい。早くコンタクトにさせよう。髪も切らせよう。頭もいいし優しいし超自慢できる彼氏にしよう。
なんと家は近所も近所、我が家の斜め前に建てていた家が彼の家だった。それを知ったのは昨日、引っ越しの挨拶にいらしたときだった。イケメンのお父さんに美人のお母さん、「あなたと同い年の息子がいるのよ」と言っていたから。
「はぁちゃん、仲良くしてね」
「うん。みなとくん」
朝一緒に登校してねと彼の母と彼と3人で登校した。始業式だから正面玄関に貼り出されているクラス表をみたら1番だった出席番号が2番になってた
「あっぼく1番だ」
クラス替えは3年生だから2年は違う、みなとくんが転校してきたからみんな出席番号が1つずれた。
そんなころから早8年。今は高2。
「ハナ、そろそろ家入れてくれてもいいじゃん」
「うちママ専業主婦だから無理だって言ってんじゃん。ヤるだけならあたしの家じゃなくてもよくない?」
「ハナの部屋だから興奮すんじゃん」
「ウケる、絶対ないから~」
学校帰りに彼氏が送ってくれるって言うから送られてんのにヤりたいだけかよ、あーなんかもうこいつ飽きてきたかも。違う男に乗り換えよ。
「げっ後ろから歩いてくるの特進の相内じゃん。女連れてるけどなに?ハナの家と近いの?」
「あー、斜め前。」
「なに?ハナ、相内ともヤってんじゃね?幼馴染みセックス」
「はぁ?湊と?そんなわけないじゃん。あんたも知ってるでしょ?『特進の相内様』って。あたしみたいなバカ女に興味持つわけないじゃん。今一緒に歩いてるのも学校の子じゃなくね?どうみても年上」
「だよなー、ハナと相内じゃあ釣り合わないわー」
うっざ。ほんとコイツ家帰ったらブロックしよ
「ほら、バイバイのちゅーは」
別れるって決めたのたったさっきだけどうっざこいつ。
「しねーよ。あんたとは別れるわ。バイバイ」
「は?待てよ!ハナ!」
玄関閉めてからもうるさいけど知らない。あーあ、マジ男運ないわ。我ながら引く。
『この中華女、くそっ、』
あたしが影で中華と呼ばれてるのは知ってる。名前のせいだけど。次は誰が中華とヤれるか、くっだらない男達の賭けの対象になってるのも知ってる。
「華乃おかえり。まーた男の子怒らせたの?」
「ママただいま。別に怒らせたんじゃなくて別れるって言ったらキレられたの」
「今回は随分短かったわねー。一週間もった?」
「うーん、もってないんじゃない?」
ママは寛容だ。若いうちは遊べ、ゴムだけはしろ。は小さい頃からママに言われていた。ママはきっとすごい遊んでたと思う。パパが知ってるかはわかんないけど。
「パパなんていまだに華乃が湊くんに片想いしてると思ってるのよ。おめでたいわよね。湊くんパパも湊くんが華乃のこと好きだと思ってるの。」
「うわー。ないわー。パパ達どんだけ幸せな脳みそしてんの?」
「幼馴染みと恋人ってのが理想みたいよ。まぁ湊くんのパパママがそうだからだろうけど」
斜め向かいの相内家はパパが歯科医院の副院長、ママは刺繍作家の幸せ家族だ。湊パパが勤めてる歯科医院の開業のときに越してきた。うちと仲がいいのは家が斜め向かいだからだけではなく、湊パパがうちのパパがディーラーをやっている販売店のお得意様だから。店員と客という立場関係なく親友かってくらい仲がいいパパ達と、ママはママで湊ママと仲良しだから家族ぐるみの付き合いなのだ。
「マンガじゃないんだから湊とどうかなるとかありえないわ」
SNSチェックしながらママと話すのは楽しい。他校の男子とカラオケとか誘われないかなー。田舎すぎて他校っていっても知ってるやつ多くて飽きてきたけど。
「湊くんも上手に遊ぶわよね。家に連れてくるのは湊くんのママが講師で出掛けるときだし相手は恐らく年上。玄関前で毎回キレられる華乃とは大違い」
「まともな男選んでるはずなんだけどねー」
「若いからヤりたいのもわかるけど下半身に脳みそついてるようなヤツばっかり選ぶからダメなのよ。3人前くらいの彼氏よかったじゃない」
3人前、3人前だと…
「あー、特進の悠里くん?」
「名前もそんなかんじだったかな?ブレザーのワッペンが湊くんと同じ子よ。コンタクトにして髪整えて姿勢直したらいい男だと思うんだけど」
「悠里くん可愛すぎたんだよねー。童貞捨てたいだけかと思ったらガチになられすぎちゃって。顔合わせるたびにチンコ教科書とかで隠してるからかわいそうになっちゃって」
「えー!?なにそれかわいいじゃない!」
母娘でする会話ではない。確かに悠里くんはかわいかった。初だ初。珍しく3週間ももったんだから。一ヶ月の記念日はどうしたらいいのーって泣きながら別れたくないって言われたときはビビったけど。もう童貞じゃないんだし自信を持てばいい。磨けば湊に張り合えるくらいの素材なんだから。
「かわいいついでに、ママのかわいい湊くんのおうちにお届け物頼んでもいい?」
「え?なんも関係なくない?今の話からなんで湊の家に行かなきゃなの?」
「さくらんぼ、ママの地元から送られてきてたのよ。3人家族に12パックは多すぎなのよ。3パック相内家に届けてきて、残りはパパが店に持っていくから。おねがい」
半分お裾分けであとは我が家で消費だ。さくらんぼ大好きだけど相内家には今は行きたくない。
「湊さっきうちらの後ろから女連れて歩いてたから相内家行きたくないんだけど」
「あら?ママのほうがイヤよ。湊くんが年上好きなのは周知の事実だし、ママみたいないい女が湊くん訪ねてきて彼女かセフレか知らないけど、女が発狂しだしたら困るもん」
「なんで?あたしならいいの?」
「華乃はよくて同級生、だいたい後輩にみえるから大丈夫よ。ね、おねがい」
めんどくさいけど行かないとあたしのさくらんぼ減らされそうだし行くか。化粧崩れてないか確認して、着替えは、いいか。制服のまま行こう。ローファー履くのは面倒だからママのゴミ捨て行くときのサンダルつっかけて行く。
道路挟んで向かいって行っても道路はほぼ私道というか駐車場に入れるためだけの道路。数歩歩けばもう相内家。インターホン押して出てくるのを待つ。早くしてくんないかな。
『なんか用?』
インターホンのスピーカーから聞こえるのは湊の声。中からはモニターで確認できるからあたしだってわかってるんだろうけど。
「ママがさくらんぼお裾分けだから持っていってって。都合悪いなら持って帰るかこのままドアのとこ置いとくけど」
『…今でるから待ってて』
置き配でよくね?バイブ鳴ってるからなんか連絡きた。誰だろ
「ごめんお待たせ」
ボクサーだけで出てくるやつがいるだろうか?マジ湊頭おかしいんじゃない?玄関にあるのは5センチくらいのヒールの靴。踵磨り減ってるの直してないから大した女じゃないな
「はい、ママから。湊ママに渡してって。」
「ありがとうって伝えといて」
「わかった。じゃあ」
「はぁちゃん待って」
「なに?」
「悠里がさみしがってるから無視しないで連絡してあげてよ。はぁちゃんと別れてから悠里死にそうだから」
『みなと~?まだ~?』
「ツレ呼んでるけど。悠里くんのことは湊に関係ないじゃん。めんどくさっ」
さくらんぼの入った紙袋を押し付けて家に戻った。
「湊くんの女いたー?」
「え?そこ?声しかきこえなかったけど湊がパンいちで出てきたから最中だったのかも」
「えー、湊くん全裸で出てきてもよかったのにー。あーあ、パンいちで湊くんでてくるならママが行けばよかった」
「ママが行ったらちゃんと服着て出てくるよ」
「湊くん何か言ってた?」
ニヤニヤしながら聞いてくるってことはママもあたしと湊ワンチャンあると思ってるんだろうな
「悠里くんのことなんとかしろって。あたしと別れてから死にそうらしい」
「えー、やっぱかわいいじゃん悠里くん。ヨリ戻しなよ」
「湊に言われてってのかなーなんかなー」
いつからだろう、湊になにか言われるのがイヤになったのは。仲良しだったけど高学年にもなれば彼氏ができたり自然に一緒にいなくなって、中学にあがったら完全に他人みたいになった。親同士集まることがあれば顔は合わせるけど、あたしスマホいじってるからなんか話したりするなんてない。
*****
「えー、ウケんだけど。じゃあ特進の子とヨリ戻すの?」
「なんかさー、死にそうらしいの。申し訳ないじゃん」
「彼氏は?月曜から付き合ってる」
「あー昨日別れた。」
「そっちのほうがウケるわ!今日金曜だけど。最短?最短じゃね?」
「いや、一日とかもあるから最短じゃない」
「そうだわ!華乃とっかえひっかえだもん」
「あんたもじゃん」
2限終わりの20分休みに髪直して化粧直ししながら話をしているのは幼稚園時代からの悪友。湊のことが好きだったけど、一回付き合ったときにもうないってなったらしい。詳細は恐ろしいから聞けなかったけど
「学年上位5人のうちの1人と下位10人の1人が付き合うとかウケる以外ないんだけど」
「悠里くんそんなに頭いいんだね」
「よく見れば顔もいいから地味に人気あんだよ。華乃と付き合ったって泣いた女いるって噂だよ」
「なら先にコクればいいのにね。あたしは悠里くんにコクられたけど」
「あはははっ、そうだわ。こんなクソビッチなのにモテるんだもんな~男が見る目なさすぎ」
「とりあえずお弁当一緒にたべようって誘ってくるわ」
あたしはB組、隣のA組が文系特進クラス。教室のドアを開けても誰も目を合わせてくれない。くっそ、がり勉どもめ。
見渡して悠里くんを探すけど目についたのは湊。仕方ない湊に聞くか。
「湊、悠里くんは?」
「具合悪いってさっき保健室行ったけど」
「そ。わかった」
『なんで中華ビッチが相内様に話しかけてんのよ』
『幼馴染みらしいよ。今はもう相手にもされてないけど』
『また向井くんに言い寄るとかどんだけ股ゆるいの』
聞こえてるっつーの。そんなに言うくらいなら堂々と言えばいいのに。そんな勇気ないなら陰口なんて言わなきゃいいのに。頭いいやつって何考えてるかわかんない。
「中、気にするなよ」
「湊に言われなくても気にしてないし相手にもしてないから。余計なお世話。男も知らない女に文句言われても痛くも痒くもない」
わざとらしく苗字で呼ぶあたりほんと嫌味。ムカつくから保健室に悠里くんからかいにいこー。
「しつれーしまーす」
保健医はいなかった。ラッキー。悠里くん探そう。カーテンがしまってるのは1つ。たぶんここ。どうしよう他の女とかいたら。修羅場!
「ゆーりくん?」
「華乃ちゃん…?華乃ちゃん!?」
「湊が悠里くん具合悪いって教えてくれたの。大丈夫?あっここ座るね」
「ちょっと頭痛かっただけだから。頭痛薬もらって横になってたら楽になったけど…華乃ちゃんどうして…新しい彼氏は?」
「別れたよ。しらなかった?」
「昨日校門で一緒に帰ってるところはみたけど…」
「そのあと別れたの。ママにも悠里くんのほうがよかったって言われた。」
「華乃ちゃんのお母さんが?」
熱っぽくてなのか照れてるのかわかんないけど顔が赤い。悠里くん本当にかわいい。
「ねぇ悠里くん」
「なに?」
「もう一回付き合う?」
「えっ!?だって、華乃ちゃん…」
「前は悠里くんが童貞捨てたいだけであたしにコクったのかと思ってたの。ちがうんでしょ?」
「うん…1年のときから華乃ちゃんのこと見てて…勇気出して告白したらOKしてくれて…でも、華乃ちゃんは…」
「すきだよ」
「ほんとに…?でも…んっぅ」
なんでこうラッキーとか簡単に考えられないんだろう。とりあえずちゅーしてあげた。かわいい悠里くん。
「もう付き合いたくない?」
「ううん…華乃ちゃんの彼氏にしてほしい」
「ちょっとー、保健室は逢い引き所じゃないんですけどー」
先生に見つかってあたしだけ怒られて退散させられた。理不尽。
「華乃ちゃん」
お昼は一緒に食べられなかったけど放課後迎えにきてくれた悠里くん。
「もう体調いいの?」
「昼休み終わるまで寝てたし薬効いたから大丈夫。送っていくよ」
「ママ喜ぶ!さくらんぼあるから食べよう」
「華乃ちゃんのおうち入ってもいいの?」
そうか、今まで彼氏を家に上げたことは一度もなかった。まぁ悠里くんとヨリ戻せってママも言ったくらいだし
「いいよ」
彼氏と手繋いだりニケツで帰れるのは地元民の特権。電車通学も憧れたけどめんどくさいから徒歩で通える高校にしたの。そういえば悠里くんはチャリ通だけど湊はどうして高校ここにしたんだろう?湊の頭があれば電車で隣の市の進学校とか選べただろうに
「ねぇ悠里くん、悠里くん頭いいのにどうしてこの高校なの?」
「大学推薦ほしいんだよね。センター受けて一般入試もいいんだけど。華乃ちゃんは?」
はぁ~、受験のこと考えて高校に入ってるの、すげーな。
「歩いて行けるから。あたしの学力でもギリ入れたし」
「華乃ちゃんが同じ学校じゃなかったら出会わなかったかもって思うと悲しくなるよ」
「やだー、ちゅーしてあげようか?」
「今はダメ!転んだら華乃ちゃん怪我しちゃうから」
あとでしてってちっちゃい声で言うからかわいい。
「あら、やだ!悠里くん?華乃とヨリ戻したの?やったじゃない!」
「こんにちは」
「ちゃんとご挨拶もできて偉いわー。家の中まで男の子が入ってくるなんて二人目」
「え?」
「湊くんよ湊くん。悠里くん同じクラスなんでしょ?湊くん斜め前というかお向かいさんだから昔から仲良しなの。ね、華乃」
「あー、うん。ママ紅茶淹れて。あと昨日のさくらんぼも」
「お湯は?」
「手洗ったあとケトルに水いれて火かけてる。沸いたら淹れて、上いってるから」
「りょーかいよ」
「悠里くん、部屋いこ」
ママの言う通り。我が家に来た男の子は悠里くんで2人目。普段は彼氏だろうと家の中には絶対いれたくないから。
「湊と仲いいの?えっと…良さそうには見えなかったから」
「幼馴染みなの知らなかった?ほら、窓からみえるあの家、あそこ湊の家だよ。学校意外と地元の子多いから悠里くんも知ってると思った。」
「いや、意外というか」
「湊は優等生なのにあたしがバカだから?」
「いや、そうじゃなくて…華乃ちゃんと釣り合うなんて湊くらいなのに一回も付き合ったことないって聞いたことあるから」
そーゆー余計なことを悠里くんにしゃべったヤツ絶対特定してやる。釣り合うってなに?見た目?学力じゃないことだけは確か。
「湊とは家族ぐるみで付き合いがあるだけで、あたしと湊とのこと疑ってるの?」
「そうじゃないよ、でも」
「不安?ほら、湊帰ってきた。悠里くん、キスして」
「えっ?どうして?」
「不安なんでしょ?じゃあ今ここでキスしたら湊が見上げたらみえるから。ね、悠里くんのものだよって見せつけてあげてよ」
確実に湊と目が合ったのはわかってた。だから悠里くんにキスしてもらう。湊が連絡しろって言ったから、連絡じゃなくて直接会ってまた付き合うことにしたんだから。
湊が見てたかはわからなかった。キスしたあと押し倒されたから。
「華乃ちゃんっ」
「あらやだ、ママったらタイミング最悪!悠里くんごめんね。華乃、ママ出来るママだから買い物に出掛けてあげるわ。うーん、1時間半もあればいい?」
「…ありがと、ママ」
「悠里くんごはんは?たべていく?」
「いえ、塾があるので」
「えー残念。だけど特進だもんね、仕方ない。今度また遊びにきてね。じゃあごゆっくり」
紅茶とお菓子とさくらんぼを持ってきてくれたママが嵐のように去っていった。
「ふふっ、悠里くんどうする?」
「お茶折角だからいただく…」
「茶葉出しておいてあとでアイスティーにしようよ、ね」
「でも…」
「自分の部屋でするのはじめてなの。悠里くんがはじめて」
人が生唾を飲み込む音を初めて聞いた気がする。ガチガチになってた悠里くんも何回もキスをすれば次第に緊張がほぐれていった。
びっくりしたのは悠里くんがちゃんとゴムを持っていたこと。かわいい。口でつけてあげよ
「華乃ちゃん、いいって、恥ずかしい」
「いいじゃん。もう全部知ってる仲なんだし」
「でも」
「悠里くんの息子さんはしてほしいってピクピクしてるよ?ね、させて、お願い」
顔を赤くする悠里くんは本当にかわいい。早くコンタクトにさせよう。髪も切らせよう。頭もいいし優しいし超自慢できる彼氏にしよう。
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