人形と暮らす生活。とても夢とは思えなかった!

小春かぜね

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第31話 まさかの再会 その2

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 売店近くに有った自動販売機で、俺は缶コーヒー2缶買って1缶を女性に手渡す。
 俺と女性はロビーのソファーに腰掛けて、俺は女性(美空)に、あの時起きた出来事を全て話す……

「私……そんな事、言っていたのですか!?」
「何だか恥ずかしい……」

 女性は顔を赤める。

「……でも、お役に立てたようで幸いです」
「そんな現象。本当に起きるのですね…」

「あの……失礼ですが、あなたの事も伺いたいのですが…」

「あぁ、そうですね!」
「こちらの事も話さなければ、状況が一致しませんもんね」

 女性はそう言って、生死を彷徨っていた時の事を話してくれる。

 女性自身も夢を見ていたと言うが、俺ほど繊細せんさいには覚えて無いらしい……
 男の人と生活をしていて、最初はいらついたが最後は楽しかった? 位の内容しか覚えて無いが、夢が覚める直前は覚えているらしく、家に何故か蛇が侵入して来て、蛇にまれて目を覚ましたと言う。

 彼女が生死を彷徨う、切っ掛けに成ってしまったのは、小雨が降る夜間。アルバイト帰りに信号機の無い横断歩道を横断中に車にねられた!
 幸い頭部は激しくぶつけなかったが、事故による出血が酷くて昏睡こんすい状態と成って、1週間程、集中治療室で治療を受けていた。

 外傷以外は肋骨・大腿骨だいたいこつの骨折で済んで、臓器も損傷は無くて、後1~2週間位で退院が出来るみたいだ。

 美空が人形に入り込んでいたのが、どれだけの期間かは分からないが『気付いたら、体の動かせない人形に成っていて、何も出来ないまま時間だけが過ぎていった……』と言っていたから、有る程度の期間は人形で居たのだろう?

「それでは…、美空の姿は殆ど覚えて無いのですね?」

「ええ…すいません…」
「『美空』の名前だけが、凄く懐かしい感じがしたので…」

 女性はそう言って頭を下げる。

「あっ、いえ……全然、気にしてませんので///」
「では…、リボンをお返しします」

 俺は女性にリボンを手渡そうとするが……
 女性は両手で俺の手を押し戻す。

「……それは、あなたが持っていて下さい」
「私が受け取っても良いですけど……、そのリボンは美空が、あなたにプレゼントした物です」
「あなたと美空を繋ぐ、唯一の物ですから…」

 女性は静かな口調で言う。

「…そうですか」
「では、大事に預からせて貰います」

「…お願いします」

 話も終わったし、余り引き留めては行けないので、俺は席を立とうとすると…

「あなたの名前は…?」

 女性は静かな口調で、そう聞いてきた。

「…早見正輝です」

「早見正輝……珍しい名前ですね」
「そうですか…」

「……」

「…どうかされましたか?」

 女性は俺がしばらく無言だったのが気に成ったのだろう。

「…いえ、美空の時もこんなやり取りが有ったので、それを思い出してしまいました」

「……私の名前は、聞かないのですか?」

「えっ!?」

「あなたは…、私に興味を感じて声を掛けて、赤裸々せきららに全てを話したのに、私の名前を聞かないの?」

「…お聞きしても良いですか?」

「教えても良いけど…1つ条件が有る」

「条件…?」

「あなたの連絡先を教えなさい!」
「そうすれば、私の名前・連絡先を教えるから」

 女性は冷静な口調でそう言う。
 姿形は違うが、あの時の美空が目の前に居る様な気がする。
 俺は何だか嬉しくなってしまう。

「はい! 今教えますから、美空の連絡先も教えて下さい!!」

「…私は、美空じゃ無いのだけど…」
「まぁ、良いわ」

 女性と連絡先を交換する。
 女性の名前は由佳ゆかと言う。大学生で有るが、今は入院中で有る。

 俺は美空の事ばかりに気を取られていたが、その人を良く見てみると、少し幼さが残る女性で有り、俺好みの女性でも有った。
 性格の方は、美空の魂と由佳の魂は同じはずだから、きつい性格なのは間違いないだろう!?

「また、近いうちにお見舞いに来るね!」

「ええ…その時はきちんと、お土産持ってくるのよ!」
「駄菓子とかは要らないからね!!」

 最初から尻に敷かれっぱなしだが、悪い気はしない。
 俺は、新しい就職先と女性の親友と出会う事が出来た!
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