チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

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序章

第4話 リンから得る現在の情勢

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「……」

(これを、身から出た錆では無く……渡りに船と言うのだよな?)

 俺は勉強が得意では無かったから、慣用句の意味を知っている様で知らない。
 リンは俺を住まわせてくれると言った。

 だから『渡りに船』での意味だろう?

(これは素直に、受け入れるべきだよな!)
(ここで男気を見せても、魔王軍が存在すると言う事は、スライムなどのモンスターも当然いるだろう!)

 俺は腕力はダメだし、柔道とかの経験も無い。
 これに剣道の経験が有れば、こん棒でスライムに応戦出来るが、そもそも、この場所はRPGで言う、始まりの家なのか、魔王城(?)の付近さえもまだ知らない。

 俺は困った笑顔で、リンに話し始める。

「なら、リンさん」
「しばらくの滞在を、お願い出来ますか?///」

「俺はこの国の状況(メルメーサ王国)や、魔王軍の進行状況も分かりませんから」

「わっ♪」
「しばらく、スズヤさんは居てくれるのですね!♪」

「私、凄く嬉しい~~♪」

『ガバッ!』

 リンは嬉しい表情で俺に話し終えると、俺の上半身に抱きついてくる!///
 チー牛おっさんが、美少女に抱きつかれている!!//////

 リンは笑顔で俺に話し始める。

「スズヤさん!」
「スズヤさんは、私のお父さんに似ているから、少しでも滞在してくれますと凄く嬉しいです!♪」

「……」

(リンの父親は、チー牛だったの?)
(それとも、雰囲気が似ているかのどちらだろう……)

 俺はそんな事を思いながら、リンに抱かれている。
 これで俺はDQNで有ったなら、リンをベッドに押し倒すが……俺は童○だから紳士の対応をする?

 俺はリンに抱き締められながら、リンに澄ました表情で話し始める。

「さっきのからの話を、俺なりに色々と纏めてみたのだけど、この国はメルメーサ王国で有って、現在魔王軍が侵攻しているのだよね?」

「はい。そうです、スズヤさん」
「我がメルメーサ王国は現在、魔王軍と戦っております」

 リンは穏やかな表情で俺からの質問に答えているが、此処から急に暗い表情に成って、俺に言葉を続ける。

「私の父は、メルメーサ王国の兵士でした」
「師団長に就く程の、父は優秀な人でした…」

「約1年前。この国の北方に有るで、魔王軍との激しい戦闘が有りまして、魔王軍の手に依って凶暴化された、大熊の牙と鉤爪かぎづめで私の父は命を失いました……」
「父は師団長の癖に、最前線で指揮を振るう方でした」

「でも、後から聞いた話では、父の様な方が居なければ、前線は崩壊していたらしいです///」
「結果的に、トラック丘での戦いは、メルメーサ王国の勝利で終わりましたが、その代償で私は父を失いました///」

「私は現在。お母さんと二人暮らしですが、王国の方から恩給が出ていますので、私とお母さんはその恩給で生活しています」
「変な話……生活と心に余裕が有るから、私はスズヤさんを助けられたのですがね///」

 最後の文章は、困った笑みで話すリン。
 リンの父親は、魔王軍の大熊に殺された。

 そして、俺を助けたのはリンで有る。

(日本も熊で、大騒ぎしていたな)
(確かに熊が暴走すれば、人間なんかイチコロだからな!)

 俺は『魔王軍』のキーワードで、リンに興味を持った表情で質問を始める。
 異世界なら、必ず例の物は存在するからだ。

「ねぇ、リンさん」
「この世界にも、魔法は有るのだよね?」

「魔法で魔王軍を、撃破や駆逐とかはしていないの?♪」

「!……」

 だが、リンは俺の言葉を聞くと『鳩が豆鉄砲を食ったよう』な、表情をする。
 もしかして、この異世界は魔法が存在しないの!?
 しばらくの間が有ったけど、リンは眉をひそめながら俺に話し始める。

「……魔法は有ります」
「でも、回復魔法は大怪我レベルまでしか現在効きませんし、攻撃魔法もを使った簡易的な魔法しか有りません」

「さっきは、大怪我と言いましたけど、四肢を切断された場合の回復魔法は、胴体の止血しか出来ません」
「接合に関しては、魔法では無く外科医の力が必要です」

「火の攻撃魔法でも、大熊などの大きな動物を焼き殺す事は出来ません」
「大型油虫ゴキブリや大ねずみには、効果は発揮しますが……」

「……」

(えらい、具体的な魔法効果だな(汗))
(RPG定番の瀕死回復や、ドラゴンを魔法で倒す事は出来ないのか)

(油虫や鼠を焼き殺す……前の世界でも、バーナーを使えば出来る事だな///)

 俺は心の中で思っていると、リンはと耳打ちを始める。
 リンの表情は何故か嬉しそうだ?

「これは、スズヤさんだけに教えて上げますけど、実は回復魔法が使えるのです」
「私がスズヤさんを発見した時。身体状況はかなり悪い状態でしたが、その時に回復魔法で有る『スイスイ』を掛けています」

「この魔法は、眠る事で相乗効果が高まりますから、スズヤさんの体力は実はかなり回復しているのです!」

「……///」

(リンは、回復魔法が使える少女か!)
(やっぱり、異世界だな///)

(じゃあ、さっきの頭痛は何だったのだ?)
(まさか、魔法の副作用!?)

 リンが回復魔法を扱えると言う情報は、俺の異世界人生に大きな影響を与えるだろう。
 これなら多少の怪我をしても、リンに回復魔法である『スイスイ』を掛けて貰う事が出来る。

 俺は和やかな表情でリンに話し始める。

「リンさん。ありがとう!」
「俺が元気なのも、リンさんのお陰なんだね!!」

「なら、何か、具体的なお礼をしないとね!♪」

 俺がリンにそう話すと、リンは凄く嬉しそうな表情で俺に話し始めた。
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