たべものがたり

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
9 / 19

第9話 鰹のタタキ

しおりを挟む
 

 注)イラストはイメージです

 私はかつおのタタキが大好きで有る。
 鰹のタタキと言えば四国の高知県が有名だ。
 私の地域では冷凍物だが、鰹のタタキの短冊が年中、スーパー等で比較的安く買える。何処かの町のふるさと納税の返礼品にも成っている? らしい・・
 また、刺身にされて薬味も乗った、鰹のタタキの刺身も私の地域では年中買える。
 タタキの意味は表面を炙る行為で無く、塩や薬味をたたいて味を染みこませる事を言うらしい・・・
 鰹のタタキの短冊をお好みの厚さに切って皿に載せ、薬味を乗せてポン酢醤油を掛けただけでは、タタキではないと言う事だ!?
 鰹のタタキは、鰹を捌いて短冊状にして、わら火等の火で表面をあぶった物だ。
 炙ることにより、身の余分な水分が減って、食感が向上し味が濃厚に成るみたいだ。
 たしかに春先に成ると初鰹で有る、生の鰹の刺身もスーパーに並ぶことも有あり、私も買うことが多いが、鰹のタタキと比べると少し水っぽい気がする。
 逆に、鰹のタタキは表面を炙ることにより表面がパサつくため、このパサつきが苦手な人も居る・・・
 今では鰹のタタキは好んで食べるが、子どもの時はどちらかと言うと嫌いな方だった・・・

 鰹のタタキの食べ方と言えば、ポン酢醤油にネギやニンニク、ショウガ、夏ならミョウガや大葉おおば(しその葉)等の薬味をたっぷり使って食べると美味しい!(薬味は好みで!)
 食欲の無い夏でも、鰹のタタキならさっぱり食べられて、夏バテ防止にも良いと感じる。
 ポン酢醤油で食べる鰹のタタキだが、塩タタキと言うのも有る。短冊の鰹のタタキや刺身にした物に、塩をたたくようにまぶして、薬味と一緒に食べる。
 私もスーパーで買った鰹のタタキの短冊で、一度塩タタキを試したことが有るが、鰹のタタキはポン酢醤油で食べると言う、固定概念が払拭ふっしょく出来なかったため、素直に美味しいとは感じられなかった・・・
 鰹のタタキの短冊に塩をまぶして切っただけだから、恐らくやり方が違うのだろう・・・

 また、スーパーで買って来る鰹のタタキは当然冷蔵されている。そして、食べる直前まで冷蔵庫で冷蔵している。私の中では刺身は冷たくして食べる物だと思っていた。
 以前、鰹のタタキの本場で有る、高知に旅行に行った時『やはり、本場の鰹のタタキを食べなくては!』と考えていて、国道沿いに有るドライブインに近い食堂に入った。
 其所では当然、鰹のタタキを定食で注文したのだが、出てきた定食の鰹のタタキを喜んで食べた時『これは何だ!!』と感じてしまった・・・
 鰹のタタキが生ぬるいので有る。夏の時期でも有った事から『なんだ、この店は!』と心の中で憤慨していた。
 味の方も、ポン酢醤油で食べた記憶は無く、塩タタキだったような気がする・・・
 そのため、尚更『変な店に入ってしまった・・・』と思いながら食べていた気がする・・・
 食べ物を残さないように心がけている私は、定食を全部完食したが、味の方は全然覚えていない・・・。旨かったのか不味かったのかも分からない。
 覚えているのは『常温の鰹のタタキを食べさせられた』の覚えしか無いが、実は私の方が間違っていた・・・

 後から調べて気付いたことなのだが、鰹のタタキを作る時は当然、表面を火で炙る。炙れば焦げ目も付くし、焦げるぐらいの熱だから内部にも熱伝導される。
 炙った後に冷ますとしても、自然冷却なら絶対常温以下には成らないし、氷水で1~2分間、鰹のタタキを冷やしてもまず表面しか冷めない。
 それを刺身にして、薬味を乗せて、提供するわけだから生ぬるいのは当たり前だったのだ!!
 スーパーの鰹のタタキばかり食べていたから、本当の鰹のタタキを知らなかったので有る。後から考えて『凄く馬鹿な事をしたな・・・』悔やんでしまった・・・
 高知で食べた鰹のタタキは、きちんと調理されていた鰹のタタキだったのだと思う。

 鰹の旬も年2回有る。春と秋で有る。
 春の鰹を初鰹と呼ぶ事が多く、秋の鰹を戻り鰹と呼ぶ事が多い。
 春の方がさっぱりしており、秋の方がこってりと言うべきか脂が乗っている。
 初鰹は、ことわざに成る位有名で有る。
 私の愛用しているスーパーでも、初鰹の時期は刺身や短冊が店頭に並ぶ事が有る。
 しかし、秋の戻り鰹は店頭に並んでいるのは見た事無い・・・
 他のスーパーでも、戻り鰹の刺身や短冊は中々見かけないので、私の地域が悪いのか、流通の関係かは解らない・・・

 他にも美味しい刺身は有るが、比較的安く買えて、薬味もたっぷり使うため滋養強壮にも良い!? 鰹のタタキ!!
 私の刺身と言えば、鰹のタタキが食卓に出る事が非常に多い。
 決して、他の刺身が高くて我慢しているわけで無く、美味しいから食べているのだ!!
 これも漁業の発達と加工技術、流通のおかげなのだが、本当に良い時代と感じる・・・
 ずっと続くと良いのかな・・・?
 水産資源も有限なのだから、感謝の気持ちを忘れずに食べていきたい!

 第9話 終わり
しおりを挟む

処理中です...