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第二十話料理(二)

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中に入るなり、みんなはなんとも言えないような顔をした。
「...ねぇ幸輝、これってさ、本当に食べ物?」
まぁ、確かにこの色を初めて見るとそう思うよな...
そう思いながら俺は3歳の頃、ルイと同じ反応をしたことを思い出した。
「大丈夫大丈夫。ちょっと辛いかもしんないけどちゃんと食べ物だから」
「まあ確かに香りは食欲をそそるんだよね」
と、誰かが言うと、俺を除く全員が唾を飲み込んだ。そして、何も言わずに席に着いた。
「「「.......」」」
その空気を打ち消すようにルイが叫んだ。
「いただきます!」
ルイは目をつぶってひと口食べると、たちまち目を輝かせ、急いでカレーを口に運んでいた。それを見た他の人たちはもう一度唾を飲み込むと、先程のルイと同様に目をつぶってたべ、たちまち目を輝かせ、急いで口に運びだした。
「..いや、そんな急がなくてもおかわりならまだありますし....」
そう言った途端もう食べ終わったのか全員が皿を我先にと突きだしてきた。
「「「おかわり!!」」」
いや天○の城ラ○ュタかよ!
         ~20分後~
「ふぅ~」
みんながみんな腹を抱えて満足そうな顔をしていた。一部、カレーが付いている人もいるが、まあ洗濯すればなんとかなるだろう。
そしてルイはまた目を輝かせていった。
「幸輝!これすごいおいしい!なんて料理なの!?」 
「カ、カレーだけど...」
「カレー!また作って!!いいなあ、幸輝の世界。こんなおいしい料理がいつでも食べれるなんて...」
そう言いながらルイは名残惜しそうに俺の方を見た。
おもちゃ欲しがる子供かな?
「わかったわかった。毎週作ってやるから」
そう言うとその場にいた全員が飛び上がって喜んだ。
「やったー!これで毎週幸輝の料理が食べれるー!」
ルイがそう言うが、俺も流石に週一でカレーは食べない。というか食べたくない。
「でも、」
次の言葉を言おうとした時、みんなが声を揃えてこっちを振り向いた。
「「「でも?」」」
「で、でも、流石に週一は飽きるから、他の料理も作ってみるよ」
俺がそう言うと、全員さらに喜んだ。そしてそのうちの1人が言った。
「幸輝様の世界の様々な料理が毎週食べれるって!?俺今度から仕事サボるのやめて真面目に働こ!」
サボる...
「あ、じゃあ今日はこれで解散ということで」
「わかった!じゃあちょっと先部屋行っててよ。僕ちょっと用事あるから!」
「お、おう....?」
用事?
        ~厨房にて~
「おい!どうする!?幸輝様の料理!」
1人が言った。
「隠すしかねぇだろ!広めたら俺たちの食べれる分が減っちまう!」
もう1人は言った。
「よし、じゃあこの件は僕たちだけの秘密と言うことで」
ルイは言った。
「「「「おう!!」」」」
全員は叫んだ。
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