魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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第2章

第7話 墨鯉の魔女④

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「イたたた。ナタルめ・・・」
 墨の鯉により図書館の中に入ってしまったようだ。
 段々と出口が遠くなっていくような気がする。なぜだろうか。何か悪いのか。仕事をさぼって逃げることに考えようとしたからだろうか。
そういえば、あまり痛くない。
「いい加減、どかないか・・・」
 後ろを向けば、リカルドがいた。
 リカルドがかばって壁に当たったようだ。
「大丈夫?」とすぐに離れる。
「いつもこれなのか・・・」
 少し切れ気味に言いながら立ち上がる。
「まあ・・・」
 周囲を見回す。
 図書館は広かった。
 一本の長い廊下。左右に1階、2階に本棚が奥へと並んでいる。所所に2階まで届く階段が備えている。
 妙な静けさだった。
「人がいない・・・」
「魔女の使い魔に食われたんだろう」
 よく見れば、あちこちに墨が飛び散っている跡があった。墨の鯉の仕業だろう。
「さて、こんな状況で魔女を無視して逃げられるのか?」
「う・・・」
「聖女として仕事をしたらどうだ。街の脱出なら最後まで面倒見る。まだ取引は終わっていないからな」
「それって手伝ってくれるってこと?」
「さすがに魔女と直面対決まではしない。後衛くらいなら多少はやる」
「そんなにその質問が大事なの?」
 ジャンヌは尋ねる。
「俺にとってはな」
 リカルドは戸惑いもなく言う。
「そう・・・あと思ったけど、そこまでせがむのって、あの魔女を倒してほしい理由があるんじゃないの」
 リカルドは間を置いてから言う。
「確かにあるが、直接君には関係ないことだ」
「そうなの。まあいいわ。最後まで面倒みるならやってもらわなくてもないわよ」
 その時だった。
 黒い水が発射してきたので、咄嗟に避ける。
 この攻撃は墨の鯉のものだった。
 3匹。
 墨の鯉が迫ってきた。白い炎を放とうとした時だった。
 神々しい光線が墨の鯉を包む。光線と共に消えていった。
「こんなところにいたのがジャンヌ」
 聞いたこともある声。分かり切っているが、声をした方へ向けば、片手に銃を持ったアキセが立っていた。
 一気に不機嫌になった。
「まさかこの町まで来て魔女狩りなんて生真面目だねえ~」
「違うわよ!」
 ジャンヌは声を上げる。
「なんで来たのよ」
「いや~魔女とジャンヌがいるって聞いたからさ。それにあの眼鏡に訊いたらこの中に入ったっていうからさ。あいつを飛ばしてからこっちに来たんだ」
 どうやらナタルはアキセにどこかに飛ばされたようだ。以前も同じ対応した。
アキセは急に鋭い目つきをする。その先は背後にいたリカルドに向けてだった。
「ジャンヌ。なんだよ。不倫か~俺がいるっていうのに」
 何を言いだすかと思えば。
「あんたの冗談に付き合うつもりがないんだけど・・・」
「また、知り合いか」
 リカルドは呆れるように言う。
「知り合いになりたくないほどに」
「変わった知り合いが多いのか?」
「そんなことはない」
 振り返れば、確かにまともに思えるような人がいない。
 話題を変える。
「え?何?ここまで追いかけてきたってことは魔女狩りに手伝ってくれるの?」
 アキセに向けて尋ねる。
「まあ、今回は新型試したいし」
 アキセは見せつけるように記号を刻み、宝石を取り込んでいる長方形の銃を前に出す。
「あっそ」
 理由はなんでも、アキセが積極的に協力する。この際なんでもいいやと少し投げやりになる。
「この際もうなんでもいいわ。急いで作戦立てましょう。リカルドも・・・」
 リカルドに訊いたつもりが。
「おい。ジャンヌ」
 アキセにより妨げる。
「ほぼ初対面だろう。なんで名前で呼ぶんだ!」
「つっかかるとこそこなの!?」
「長い付き合いだろう!あの怒りの混ざった以外で呼べよ!」
「呼びたくないからでしょうが!そんなことも分からないの!」
「照れ隠しじゃないのか!」
 ブチ。
「だーかーらー」
 手に怒りの炎を込める
「違うって言ってるだろうか!」
 ドスの入った声でアキセを腹に思いっきり殴り、廊下の奥へと飛ばされる。風圧が起き、本棚からいくつか本が落ちるほどだった。
「は!」
 正気を取り戻せば、リカルドが距離を取っていた。
 引いてしまったようだ。
「これはあいつ限定だから・・・」
 苦し紛れの言い訳をする。
「・・・そうか・・・」
 少し間を置いてから言う。
 すぐに話題を変えよう。
「じゃあ、取引を果たしに行きましょうか」
「脅しか」
「違うわよ!」
 すぐに否定した。


 スミカは図書館の地下に潜っていた。
「やっと。見つけた!」
 何重の扉を壊していきたどり着いた。
 一本の道に奥に本が浮かんでいた。
 一冊の本を中心に文字や記号が複雑に刻んだ地盤が光っていた。
 近くに見れば、古ぼけた分厚い本だった。
「やっぱり素敵!」
 結界をかかっているようだか、大筆を一振りで黒い水球を飛ばす。結界に触れた瞬間、ガラスが割れた音のように響き、結界は破壊される。
 光っていた地盤が光を失い、本が落ちるが、スミカが受け取る。
「やった~!マリカラ先輩の辞典だ!」
 手に入れたことに喜びを浸っていたが、顔色が変わる。
「あれ?もう一冊?」
 スミカは首をかしげる。

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