魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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完結篇

第8話 決着⑥

 アレイスターは四方八方に光の刃で串刺しになった。
 死ぬことはない。動きを止めているだけ。まだアレイスターは死なせない。
煙幕球を召喚する際にアレイスターに砂塵爆弾を落とした。砂の中に陣をしみこませ、発動させる爆弾。煙幕球を紹介した際にアレイスターの足元に召喚した。
 アキセはアレイスターの頭に手を当てる。魔力を使い、頭から抜き取った。
「これか」
 小さな球体だった。
 これで操作ができ、爆発の起動までできるとは。これでヴァルキリーの捜査権を奪えた。
「どこで気づいた・・・」
 アレイスターは顔を上げる。
「俺に一言も『死ね』とは言っていない」
 はっきり答える。
「魔力の代償かと思ったか、言霊なら自身にもかかっていないから聴覚でもない。視界に入らなければ魔力は発動しない。木をぶつけてはっきりした。おまえの魔力は念力だということ」
 アキセはアレイスターを見下ろす。
「念力だとばらさないためにわざわざ言葉を出していたところだろう」
「言ったろ。リベンジしたいと」
 アレイスターが静かに言う。
「おまえは過去になると気が切れるくせに記憶を捨てないんだな」
「いくらなんでも過去に起きたことを捨てるかよ」
「思いを捨ててまで」
 その発言で軽く切れる。銃を召喚し、右足に撃つ。
「あんなの引きずって耐えられると思ったのか」
 痛がる様子もない。面白味もない。
「最後に訊きたいことがある」
 アキセは銃を構える。
「だからすぐに殺さなかったのか」
「なぜ、俺を弟子にした?」
「ちょうど弟子が欲しかったからな」
 銃を撃ち、左肩に当てる。
「んなわけないだろ」
 アキセは見下ろす。
「あの時見たはずだ。スラム街で使ったあの瞬間、魔術を通して見たはずだ。だか、その日以来魔力は使えなかった。だから魔力を覚醒するために俺に魔術を覚えさせ、『呪い』の抗体を高め、魔力を引き出すために。弟子にしたのは、実験体と思わせないと言ったところか」
「勝手に思ってろ」
 これ以上言っても話すつもりはないようだ。
「あっそ。じゃあ死ね」
 銃声が響く。



 陣が消え、アレイスターは倒れる。頭から血が流れている。体がぴくともしない。完全に死んだ。
 アキセは大きくため息を吐く。
 何かをやり切ったような。解放したような。体も心も軽くなった。いくつものの感情が複雑に絡んでいた。
 目の前には死体となったアレイスター。
 最初からいなかったように消すだけ。
 アレイスターに銃を向けるが、遮るように鳥型のノレッジが塞ぐ。ノレッジがアレイスターに貪る。
「この!」
 銃を構えるが、ノレッジが立ち去った。
 遺体はなくなり、魔剣だけ残った。
 アレイスターの死体を食べ、さらにウィーン辞典が入っていた海中時計もなくなっていた。
 ウィーン辞典は取り戻せなかった。
 やはり、あの魔女と関わっていたのか。だからノレッジに襲われることはなかった。用無しとなって食ったということか。
 残ったのは魔剣だけだった。
「ち、これだけか」
 アキセは魔剣を指輪の中にしまう。
 後はこくえんの魔女のみか。
 この状況でこくえんの魔女に勝てるとは思えない。
 もしかしたら、他に考える余裕がない。



 アキセは、ヴァルキリーを見つけた。
 死にかけていた。足が折っている。頭から血が流れている。頭だけでなく、体中に傷だらけだった。
「君は・・・」
 意識がある。
「君がやること分かるよ・・・・」
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