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144話 提案(2)
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ルーイ様に相談したことで、私とリズはとても心が軽くなった。彼は私達とレオンの仲立ちまでしてくれるそうだ。ジェフェリーさんも心配していたような扱いにならなそうで良かった。ルーイ様には感謝の気持ちでいっぱいだ。
「みんな待ってるだろうし、そろそろ行く? 息抜きも限度があるからね」
「はい」
私達3人は座っていたソファから腰を上げ、レオン達の元へ向かった。
ルーイ様の方からこちらに来てくれたので、私が会合に混ざる理由がなくなってしまった。でも、せっかくふたりが迎えに来てくれたのだ。それに、会合はセドリックさんの部屋で行われているそうじゃないか。これはちょっとかなり覗いてみたい。
「レオンの側近の方達は、みんな王宮に私室をお持ちなんですね」
「私のような見習いにも用意してあったくらいですもの。『とまり木』の皆さんに無いわけないですよね」
王宮勤めの使用人は、基本的に島内にある専用の宿舎で生活をしている。よって、王宮に私室を持つのは使用人にとってステータスのひとつらしい。『とまり木』の方達はあまり使ってないそうだけど。
「ルーイ様もいずれ、お部屋があてがわれるのでしょうか……レオンの先生ですし」
「うーん、あんまり必要性を感じないなぁ。今回みたいに王宮に何日もいることは無さそうだし。あったとしても、その時はまたリオラドに泊まるよ。もしくは……今度こそセディの部屋でお世話になっちゃおうかな」
ルーイ様は本当にセドリックさんを気に入っているんだな。彼の事を話す時の表情が、とても嬉しそうだった。
「隊長特権でセディの部屋が1番広いんだって。俺ひとり泊まるなんて余裕だよ。ねー、リズちゃん」
「お部屋も綺麗に片付けられていて、さすがセドリックさんって感じでしたね。でも、もうサプライズは遠慮してあげた方が良いと思います」
会合場所がセドリックさんのお部屋に変更されたのを、あろうことか本人だけが知らなかったらしい。そのせいで会合が始まる前に一悶着あったそうだ。
「あはは、そうだね。怒ってるセディ可愛くて好きなんだけど……やり過ぎはよくないね」
「ルーイ様、リズの言う通りです。お泊まりしたいなら、きちんとご本人の許可を取って下さいね。無理やり押しかけちゃダメですよ」
話を聞く限りセドリックさんは、きっと本気で怒ってはいないのだろう。でも、だからと言って迷惑をかけて良いことにはならない。せっかく仲良くなられたのだから……
「分かってるよ。その辺の引き際は心得てるつもり。つか、セディがガチで抵抗したら、俺がマウント取るなんて出来っこないからね。軍人さんだよ、しかも隊長」
つまりそういうことなんだと、ルーイ様は笑った。何がそういうことなんだろう。妙に含みを持たせた言動の数々……。直接的な表現を避けながらも、喋りたくて堪らない。どこか浮かれているようにも見えた。そんなルーイ様とあれやこれや話をしているうちに、目的地についてしまう。
「クレハ、いらっしゃい」
「姫さん、遅くなっちゃってごめんねー」
部屋に入ると、レオンと『とまり木』の面々に出迎えられた。会合の場所を変えたのは、ルーイ様やリズが居やすいようにとの配慮から。彼らが囲むテーブルの上には、人数分のティーカップに美味しそうなクッキー。見た感じお茶会のような雰囲気だ。
セドリックさんの部屋は、ルーイ様とリズが言ったようにとても綺麗だった。広さも充分。これならルーイ様が押しかけても平気そうだな。
「いいえ、皆さんお疲れ様です」
「クレハはここ座って」
レオンは自分の隣に座るよう指示を出した。私はそれに従い、彼が座っているソファへ向かうと腰を下ろす。続いてルーイ様とリズも着席した。リズは空いている椅子に、ルーイ様はレオンと反対隣に。私が来る前にふたりが座っていた場所なのだろう。レオンとルーイ様に挟まれるような形になってしまい、ほんの少し緊張した。
「仕事の話はとりあえず終わり。だから楽にしてね」
「クレハ様も紅茶でよろしいですか?」
「はい。ありがとうございます、レナードさん」
「それと……これもどうぞ」
ルイスさんが正面のテーブルの上に、小さなお皿を置いた。そこには取り分けられたクッキーが乗せられていた。ご兄弟は今日も『とまり木』の制服を着ている。給仕をする姿は一昨日も見せて貰ったけれど、やっぱりカッコいい。
「殿下、クレハ様のご意見も聞いてみましょうよ」
用意して頂いた紅茶を受け取り、カップに口を付けようとした所で、ミシェルさんがそんな事を言い出した。私の意見とは? レオンの方を伺い見ると、彼は説明を始める。
「クレハ達を待ってる間に話をしてたんだ。色んなことが落ち着いたら、店の方で何かイベントができたらいいなって」
レオンと『とまり木』の皆さんが言うには、常連のお客様へせめてものお詫びだそうだ。店はしばらく休業になってしまうから……
「わぁ、素敵ですね」
「それどころじゃないだろって言われるかもだけど、不穏な話題ばっかりだと気が滅入っちゃうしね。計画するだけなら自由だから」
「それに合わせて、ルーイ先生のお披露目もできたら良いですよね。盛り上がること間違い無しです」
「ミシェル……先生は見せ物じゃないぞ」
「俺は構わないよ、面白そう。でも、まだ何をするとかは具体的に決まってないんだろ?」
過去に何度か、そのような催しをやったことはあるらしい。その時は当日限定メニューを用意したり、ドリンク無料サービスや、来店記念プチギフトを配ったりしたんだって。
「はい。ですので次回のイベントは、クレハにアイデアを出して貰いたいなと思っています」
「は?」
聞き間違いじゃないよね……? イベント自体はとても楽しそうで、わくわくする。でも、その内容を私に任せるなんて、どういうつもりなんだろう。表情だけでレオンに訴えると、彼は私の困惑など想定内だとでもいうように話を続けた。
「難しく捉えないで、まだまだ先の事だし。そうだね……俺からひとつ注文を付けるなら、従業員も一緒に楽しめるようなのがいいかな」
突如湧いたイベント話。なぜこのタイミングでと思ってしまうけれど、気晴らし程度に考えてみてとレオンにお願いされてしまう。
ルーイ様やリズと相談しても良いと言われたので、やるだけやってみようか。実現できるかどうかは別だけど、お祭りの準備をするみたいで、気持ちは高揚していくのだった。
「みんな待ってるだろうし、そろそろ行く? 息抜きも限度があるからね」
「はい」
私達3人は座っていたソファから腰を上げ、レオン達の元へ向かった。
ルーイ様の方からこちらに来てくれたので、私が会合に混ざる理由がなくなってしまった。でも、せっかくふたりが迎えに来てくれたのだ。それに、会合はセドリックさんの部屋で行われているそうじゃないか。これはちょっとかなり覗いてみたい。
「レオンの側近の方達は、みんな王宮に私室をお持ちなんですね」
「私のような見習いにも用意してあったくらいですもの。『とまり木』の皆さんに無いわけないですよね」
王宮勤めの使用人は、基本的に島内にある専用の宿舎で生活をしている。よって、王宮に私室を持つのは使用人にとってステータスのひとつらしい。『とまり木』の方達はあまり使ってないそうだけど。
「ルーイ様もいずれ、お部屋があてがわれるのでしょうか……レオンの先生ですし」
「うーん、あんまり必要性を感じないなぁ。今回みたいに王宮に何日もいることは無さそうだし。あったとしても、その時はまたリオラドに泊まるよ。もしくは……今度こそセディの部屋でお世話になっちゃおうかな」
ルーイ様は本当にセドリックさんを気に入っているんだな。彼の事を話す時の表情が、とても嬉しそうだった。
「隊長特権でセディの部屋が1番広いんだって。俺ひとり泊まるなんて余裕だよ。ねー、リズちゃん」
「お部屋も綺麗に片付けられていて、さすがセドリックさんって感じでしたね。でも、もうサプライズは遠慮してあげた方が良いと思います」
会合場所がセドリックさんのお部屋に変更されたのを、あろうことか本人だけが知らなかったらしい。そのせいで会合が始まる前に一悶着あったそうだ。
「あはは、そうだね。怒ってるセディ可愛くて好きなんだけど……やり過ぎはよくないね」
「ルーイ様、リズの言う通りです。お泊まりしたいなら、きちんとご本人の許可を取って下さいね。無理やり押しかけちゃダメですよ」
話を聞く限りセドリックさんは、きっと本気で怒ってはいないのだろう。でも、だからと言って迷惑をかけて良いことにはならない。せっかく仲良くなられたのだから……
「分かってるよ。その辺の引き際は心得てるつもり。つか、セディがガチで抵抗したら、俺がマウント取るなんて出来っこないからね。軍人さんだよ、しかも隊長」
つまりそういうことなんだと、ルーイ様は笑った。何がそういうことなんだろう。妙に含みを持たせた言動の数々……。直接的な表現を避けながらも、喋りたくて堪らない。どこか浮かれているようにも見えた。そんなルーイ様とあれやこれや話をしているうちに、目的地についてしまう。
「クレハ、いらっしゃい」
「姫さん、遅くなっちゃってごめんねー」
部屋に入ると、レオンと『とまり木』の面々に出迎えられた。会合の場所を変えたのは、ルーイ様やリズが居やすいようにとの配慮から。彼らが囲むテーブルの上には、人数分のティーカップに美味しそうなクッキー。見た感じお茶会のような雰囲気だ。
セドリックさんの部屋は、ルーイ様とリズが言ったようにとても綺麗だった。広さも充分。これならルーイ様が押しかけても平気そうだな。
「いいえ、皆さんお疲れ様です」
「クレハはここ座って」
レオンは自分の隣に座るよう指示を出した。私はそれに従い、彼が座っているソファへ向かうと腰を下ろす。続いてルーイ様とリズも着席した。リズは空いている椅子に、ルーイ様はレオンと反対隣に。私が来る前にふたりが座っていた場所なのだろう。レオンとルーイ様に挟まれるような形になってしまい、ほんの少し緊張した。
「仕事の話はとりあえず終わり。だから楽にしてね」
「クレハ様も紅茶でよろしいですか?」
「はい。ありがとうございます、レナードさん」
「それと……これもどうぞ」
ルイスさんが正面のテーブルの上に、小さなお皿を置いた。そこには取り分けられたクッキーが乗せられていた。ご兄弟は今日も『とまり木』の制服を着ている。給仕をする姿は一昨日も見せて貰ったけれど、やっぱりカッコいい。
「殿下、クレハ様のご意見も聞いてみましょうよ」
用意して頂いた紅茶を受け取り、カップに口を付けようとした所で、ミシェルさんがそんな事を言い出した。私の意見とは? レオンの方を伺い見ると、彼は説明を始める。
「クレハ達を待ってる間に話をしてたんだ。色んなことが落ち着いたら、店の方で何かイベントができたらいいなって」
レオンと『とまり木』の皆さんが言うには、常連のお客様へせめてものお詫びだそうだ。店はしばらく休業になってしまうから……
「わぁ、素敵ですね」
「それどころじゃないだろって言われるかもだけど、不穏な話題ばっかりだと気が滅入っちゃうしね。計画するだけなら自由だから」
「それに合わせて、ルーイ先生のお披露目もできたら良いですよね。盛り上がること間違い無しです」
「ミシェル……先生は見せ物じゃないぞ」
「俺は構わないよ、面白そう。でも、まだ何をするとかは具体的に決まってないんだろ?」
過去に何度か、そのような催しをやったことはあるらしい。その時は当日限定メニューを用意したり、ドリンク無料サービスや、来店記念プチギフトを配ったりしたんだって。
「はい。ですので次回のイベントは、クレハにアイデアを出して貰いたいなと思っています」
「は?」
聞き間違いじゃないよね……? イベント自体はとても楽しそうで、わくわくする。でも、その内容を私に任せるなんて、どういうつもりなんだろう。表情だけでレオンに訴えると、彼は私の困惑など想定内だとでもいうように話を続けた。
「難しく捉えないで、まだまだ先の事だし。そうだね……俺からひとつ注文を付けるなら、従業員も一緒に楽しめるようなのがいいかな」
突如湧いたイベント話。なぜこのタイミングでと思ってしまうけれど、気晴らし程度に考えてみてとレオンにお願いされてしまう。
ルーイ様やリズと相談しても良いと言われたので、やるだけやってみようか。実現できるかどうかは別だけど、お祭りの準備をするみたいで、気持ちは高揚していくのだった。
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