リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき

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146話 23時(2)

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 ジェムラート家専属の庭師……ジェフェリー・バラード。エリスの件で謝礼を送る際に調べたが、彼におかしな所は無かった。公爵家に従事してまだ日は浅いけれど、若くて優秀だと周囲の評判も良好だったな。
 ルーイ先生の話とは、俺達がクレハ様や先生に出会う以前の……今からおよそ半年前に起きた出来事についてだった。




「ジェフェリーさんがニュアージュの魔法使いですか……?」

「うん。クレハとリズちゃんはその疑惑を晴らしたくてかなり悩んでたみたいね。確証が無いからお前達に言うのもためらっていたし……ジェフェリーさんの処遇もどうなるか分からないから不安だったんだと」

 リズさんはジェフェリーさんが魔法を使っているのを見たらしい。当時は本人に知識が無かったこともあり、そこまで気に留めてはいなかった。しかし、魔法について詳しく知るにつれ、ジェフェリーさんが自分達を襲ったニュアージュの魔法使いと同種の魔法を使っていたのではないかと思い致ったのだそうだ。
 それでもジェフェリーさんと懇意にしていた彼女らは、彼の身を案じて軽はずみな行動はできず、我々に話す前に先生を頼ったのだという。

「……あのふたりの話を聞いた上で、俺の見解ね。ジェフェリーさんは魔法使いではないだろう。これはレオンが魔力感知を行なった結果にも基づいている」

 レオン様は釣り堀の事件後から、魔力の気配を探るのを習慣付けている。もし、ジェフェリーさんがニュアージュの魔法使いでサークスを所持しているなら、とっくにあぶり出されているはずだからな。
 
「それじゃあ、リズちゃんが見た不思議な現象は何だったのか……。本人は見間違いだったかもと言ってるけど、その可能性は低いな。あの子しっかりしてるし」

「魔法を使っていたのは別の人間だったのではないでしょうか。ジェフェリーさんの他に誰かいたのかもしれない」

「俺もそう思う。気が合うねぇ、セディ♡」

「…………」

「お? 無視か」
 
 そうだとしたら、なぜジェムラート家の屋敷に……まさか、そいつグレッグじゃないだろうな。ジェフェリーさんと奴が共謀していたなんて事は……いや、それは飛躍し過ぎだ。まずは現場を目撃したリズさんに詳しく話を聞こう。その後ジェフェリーさんにも任意同行して貰い、魔法使いについて知っていることを洗いざらい……

「セディ、お前はジェフェリーさんに会ったことあるの?」

「あっ、はい。一度だけですが」

「そっか。俺は彼がどんな人か知らないけど、クレハはジェフェリーさんの事がとても好きみたいだね」

 クレハ様の口からジェフェリーさんの名前が出るのを幾度も聞いた。一緒に花の世話をしたとか、遊んで貰ったとか……。使用人で歳も離れている。しかし、彼女にとってはリズさんと同じで、友人のような存在なのだろう。

「セディは……お前達はこれからどう動く? クレハとリズちゃんは、ジェフェリーさんが魔法使いではなかったという結果を受けて安心しているよ。でも、そんな単純な問題じゃないだろう?」

「……ジェムラート家にいたと思しき魔法使いの正体を明らかにする必要があります。島で起きた事件との因果関係も調べなくては。ジェフェリーさんも……リズさんと同じで、たまたまその場に居合わせただけなら良いのですが、場合によっては軍の監視下に置かなくてはならないかもしれない」

「やっぱそんな感じになるのね。半年も前の事とは言え、またニュアージュの人間が出てきたとなると、お前らは無視できんわな。そいつ、クレハの家で何やってたんだろうね」

 ニュアージュの魔法使いだからと言って、手当たり次第に疑ってかかるのもどうかと思うが、今この状況では仕方ないのだ。俺だってジェフェリーさんが事件に関与しているだなんて思いたくはない。

「この話、レオンにもするだろ? クレハ達も気にしてたけど……あいつ、いきなりジェフェリーさん捕まえたりしないよな。一応大丈夫だとは言っておいたが、正直自信ねぇわ」

「レオン様は感情が昂ると過激な行動をとりがちです。それはご本人も自覚しておられますし、我々の伝え方次第だと……」

「セディも間に入って上手い具合に制止かけてくれよ。あいつが暴れたら俺じゃ手に負えないからね」

「もちろんです。先生、お話して下さってありがとうございます」

 頼まれただけだからと、先生は笑った。
 ニコラ・イーストンに加え、ジェフェリーさんの事も調べるようミシェルに指示を出しておくか……いや、レオン様に報告するのが先だな。リズさんにも当時の様子を可能な限り教えて貰って……それから――
 今後のことに思考を巡らせる。すると先生が何事か思い出したかのように声を上げた。

「あっ、そういえばさ……お前ら急に店でイベントするとか言いだしたじゃん。あれってクレハのためだろ?」

「バレてましたか」

 常連のお客様へのお詫びというのも嘘ではない。しかし、それは建前で、1番はクレハ様のためだった。不穏な話題ばかりで気が滅入ると仰っていたレオン様の言葉通り……王宮内も張り詰めた空気が漂っていて、あまり良い雰囲気とはいえなかった。それに、クレハ様の一時帰宅も中止になってしまい、彼女はまたしばらく王宮から出ることができないのだ。

「多少なりとも気を紛らわすことができたらと……皆で考えた結果です。クレハ様はうちの店を気に入って下さっているし、お祭りなどの催しもお好きだと伺いましたので、楽しんで頂けるのではないかと……」

「色々考えるねぇ……クレハはお前達に大事にされてるんだな」

「レオン様に負けず劣らず、我々もあの方のことを好いておりますので……」

 俺のこの発言を受けて目を細める先生も同じ穴のムジナだ。しかし、それを指摘したとしても惚けるか、はぐらかされてしまいそうなので、あえて口にすることはしなかった。
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