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第四章 それぞれの想いの先に
35.知らぬ間の変化
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無事意識を取り戻せたセラフィーナだったが、やはり今回の発作は確実に彼女の身体を蝕んでいた様だ。
目覚めるまで二週間と長い期間を費やしただけではなく、その弊害は続いている。
終始身体の怠さが抜けず思い通りに動けないこと。そして、体内を巡るエネルギーをコントロール出来ないことだ。
結果、目覚めてから数日経っても彼女は手のひらサイズのまま。食事や着替え、入浴などもアイザックの手を借りてばかり。
そんな自分の状況を悲観し、時に苛立ちを爆発させるセラフィーナを、アイザックは根気よくなだめてくれた。
この日も、セラフィーナはアイザックの肩に乗り、時折その首元にへばりつきながら、体力回復に努めている。
朝食後届いた書類仕事を終えたアイザックのもとにやってきたのは、遠征時一緒に馬車に乗っていた眼鏡の男。
名をクラースと言うらしい。
以前、この部屋に食事や書類を届けていたのはほとんどがチャドだった。
しかし、セラフィーナが目覚めてから、不思議なことにアイザックの仕事に関する物の配達、並びに情報の共有を行っているのは、このクラースだという。
『えぇ!? ザック、眼鏡の人好きじゃないって言ってたでしょ? なのにどうして? あたしが寝てる間に、仲良くなったの!?』
『どうしてと言われても……特別何か交流を持ったわけでも無いのだが。……何故だろうな?』
『あたしに聞かれてもわかんないってば! あぁ、どうしてあたし寝てたんだろ』
人間嫌い、いや他人を拒絶するアイザックが、新たな人間を受け入れつつあることに、セラフィーナは衝撃をおぼえた。
同時に、彼の人間関係が広がっていくことが、とても嬉しくなる。
その過程を自身の瞳で確認出来なかったことが、無性に悔しい。
なんとも複雑な想いを胸に抱くが、彼女は少しずつそれを飲み込むことに決めた。
ここで駄々をこねても時間が巻き戻るわけではない。それを知るからこそ、今後を注視しようと決めたのだ。
翌日、食後のひと仕事と書類に目を通し終えたアイザックのもとに、クラースがやってきた。
呼びつけていない彼の到着に、王子はとても驚いた様子を見せる。
すると、クラースは、眼鏡の位置を直しながら口を開いた。
「毎日呼びつけられてますからね。貴方の処理速度と仕事量を計算し、タイミングを計ることなど容易いものです」
少しばかり自慢げな口調で語るクラースの言葉に、セラフィーナは尊敬の眼差しと共に彼には聞こえぬ拍手を贈る。
そんな彼女の様子も、拍手の音もばっちり認識してしまうアイザックは、複雑そうに口をへの字に曲げ、少々機嫌が悪くなった。
「今、なんと?」
「もう少し仕事を寄越せ。暇でしょうがない」
雑談もそこそこに、アイザックは必要事項を記入した書類の束をクラースに手渡す。
それと同時に、彼は更なる仕事を補佐官に要求し始めた。
数秒の沈黙を経て口を開いたクラースが紡ぐのは、小さいテーブルを挟み対峙する男が口にした言葉の確認。
その問いに、アイザックは再度同じ言葉を口にする。新たな仕事の要求だ。
「伯父上から話は聞いていましたが……ここまで仕事人間だったとは」
(おじうえ?)
盛大なため息と共に呟かれた耳慣れない言葉に、セラフィーナはコテンと首を傾げる。
「チャドが何か言っていたのか?」
(え? クラースさんって、チャドさんの親戚だったの!? 全然似てな……あ、でも目元の辺りは似てる、かも?)
まだまだ数少ない、アイザックを蔑まない人々の中にあった意外なつながりを知り、セラフィーナは驚愕のあまり目を見開く。
クラースに自分の声は聞こえぬと知っていても、咄嗟に口元を手で塞いだ判断は、きっと間違っていない。
「いいえ何も。アイザック様が仕事人間すぎて、寝食すら忘れ書類の山に埋もれやしないかと、ここ数年胃が痛いと愚痴をこぼしておりましたが」
テーブルに頬杖をついたアイザックが、至極面倒そうに首を傾げ、前髪越しにクラースを見つめる。
その言葉に返ってくるのは、満面の笑みを浮かべた表情と真逆の辛辣すぎる言葉の数々。
「恨み言は本人の耳に入らぬよう言うものだ。それを本人に伝達してどうする、阿呆め」
「おおっと、つい口が。無礼を働いた罰はいかように? 私を城から追い出しますか? それとも……私を殺します?」
「甥っ子を可愛がっている男に寝首をかかれるのは御免だ。……城での仕事はどうだ? お前、まだここに数年だろう」
「そうですね……今までは正直退屈でしたが、最近は少しばかり楽しいと思えるようになりました」
「……それなら良いが」
(え? え? 大丈夫なの、これ? ふ、二人共真顔で物騒なこと言ってるよー!?)
一介の国民にも満たぬ知識量しか有していない天使にとって、真顔で相手に言葉をぶつける男達の会話はこの上なく心臓に悪い。
しかし、今の自分には彼らをなだめる手立てなどなく、どうか荒事が起きぬよう祈ることしか出来なかった。
「セラ、もう大丈夫か?」
「……ん」
これまでは書類を受け取りすぐに立ち去っていたクラースが、今日は珍しくアイザックの部屋に長居していた。
その間、男達の間で交わされる一般人には鋭すぎる言葉の応酬に、終始セラフィーナの心臓は過剰に脈打っており、今日の心労は一段と色濃い。
夜、介助つきの入浴を終え部屋へ戻ってくれば、元々体力が無い状態の身体はすでに限界らしい。
コクン、コクンと舟をこぎ出した首の動きに、さてどう抗おうと脳内に霧のかかった頭で考えていた時、不意に後頭部を支えるぬくもりを感じる。
「このまま寝てはいけない。ほら、少し水を飲め」
「……ん、っ」
頭上から降り注ぐアイザックの声に、少しばかり意識が浮上する。
次の瞬間、小さな唇を塞ぐぬくもりに気づいたセラフィーナは、言われるがままそこにわずかな隙間を作った。
セラフィーナが目覚めてからも、毎日朝と晩に行う口付けの習慣は続いている。
しかしそれらは、以前とは意味合いの違うものになりつつあった。
遠征へ赴くまでは、基本セラフィーナから行動を起こすことが多かった。もちろんその目的は、アイザックの顔の傷を治すためと、一日仕事を頑張った彼を労わるためである。
それが今は真逆。
セラフィーナの不調が続く日々のなかで、アイザックの方から毎朝毎晩、唇を重ねてくるのだ。
その目的は、彼女でもすぐに理解出来た。
以前の成功例から、口づけをすることで彼はきっと自分のエネルギーをこちらへ譲渡している。
その証拠に、毎回口づけをしている間は、彼の体内に流れる優しいエネルギーが唇を通しセラフィーナの身体に流れてくる。
「ほら、もう少し……頑張れ。ん」
「……っ」
アイザックは、ベッド脇の棚に置いてあった水差しからグラスに水を注ぐと、それを一旦己の口へ近づけ少量を口に含む。
そしてそのまま、セラフィーナの唇にそれを合わせ、少しずつ分け与えてくれる。これも、入浴後毎日行われている行為だ。
深夜、他に誰も居ない静かな森の中で、たった一言だけ、互いに想いを告げた仲。
あの日から変わったアイザックの態度なども含め、自分と彼には特別な想いで繋がっていると、感じている。
そんな状況で、エネルギー循環の手助けとは言えキスを交わしているというのは、嬉しい反面、この上なく恥ずかしい。
恋愛耐性皆無なセラフィーナにとっては、いくら回数を重ねようと、いまだ羞恥心が勝るのだ。
(あ、れ?)
数回程水分とエネルギーの補給を終え、このままベッドの中に入って就寝といういつのも流れが待っていると思えば、この日は違った。
何度目かの口付けが終わると、不意に身体の奥から湧き上がる、ポカポカしたぬくもりが体内を満たしていく感覚に気づく。
「なっ、これはどうした!? セラの身体が光って……ま、まさかっ!」
体内から放出された熱は、まるで彼女の身体を包むように彼女の周囲に漂う。
セラフィーナは、これまでに無い変化を頭の片隅で認識しつつも、どうにも抗えない睡魔に根負けし、一足早く夢の世界へ旅立つ。
「セラ、やったぞ。もとに、元の身体に戻れたんだっ!」
一人歓喜する男の声を遠くに聞きながら、スヤスヤと寝息を立てる彼女の口元は、緩いながら嬉しそうに弧を描いていた。
目覚めるまで二週間と長い期間を費やしただけではなく、その弊害は続いている。
終始身体の怠さが抜けず思い通りに動けないこと。そして、体内を巡るエネルギーをコントロール出来ないことだ。
結果、目覚めてから数日経っても彼女は手のひらサイズのまま。食事や着替え、入浴などもアイザックの手を借りてばかり。
そんな自分の状況を悲観し、時に苛立ちを爆発させるセラフィーナを、アイザックは根気よくなだめてくれた。
この日も、セラフィーナはアイザックの肩に乗り、時折その首元にへばりつきながら、体力回復に努めている。
朝食後届いた書類仕事を終えたアイザックのもとにやってきたのは、遠征時一緒に馬車に乗っていた眼鏡の男。
名をクラースと言うらしい。
以前、この部屋に食事や書類を届けていたのはほとんどがチャドだった。
しかし、セラフィーナが目覚めてから、不思議なことにアイザックの仕事に関する物の配達、並びに情報の共有を行っているのは、このクラースだという。
『えぇ!? ザック、眼鏡の人好きじゃないって言ってたでしょ? なのにどうして? あたしが寝てる間に、仲良くなったの!?』
『どうしてと言われても……特別何か交流を持ったわけでも無いのだが。……何故だろうな?』
『あたしに聞かれてもわかんないってば! あぁ、どうしてあたし寝てたんだろ』
人間嫌い、いや他人を拒絶するアイザックが、新たな人間を受け入れつつあることに、セラフィーナは衝撃をおぼえた。
同時に、彼の人間関係が広がっていくことが、とても嬉しくなる。
その過程を自身の瞳で確認出来なかったことが、無性に悔しい。
なんとも複雑な想いを胸に抱くが、彼女は少しずつそれを飲み込むことに決めた。
ここで駄々をこねても時間が巻き戻るわけではない。それを知るからこそ、今後を注視しようと決めたのだ。
翌日、食後のひと仕事と書類に目を通し終えたアイザックのもとに、クラースがやってきた。
呼びつけていない彼の到着に、王子はとても驚いた様子を見せる。
すると、クラースは、眼鏡の位置を直しながら口を開いた。
「毎日呼びつけられてますからね。貴方の処理速度と仕事量を計算し、タイミングを計ることなど容易いものです」
少しばかり自慢げな口調で語るクラースの言葉に、セラフィーナは尊敬の眼差しと共に彼には聞こえぬ拍手を贈る。
そんな彼女の様子も、拍手の音もばっちり認識してしまうアイザックは、複雑そうに口をへの字に曲げ、少々機嫌が悪くなった。
「今、なんと?」
「もう少し仕事を寄越せ。暇でしょうがない」
雑談もそこそこに、アイザックは必要事項を記入した書類の束をクラースに手渡す。
それと同時に、彼は更なる仕事を補佐官に要求し始めた。
数秒の沈黙を経て口を開いたクラースが紡ぐのは、小さいテーブルを挟み対峙する男が口にした言葉の確認。
その問いに、アイザックは再度同じ言葉を口にする。新たな仕事の要求だ。
「伯父上から話は聞いていましたが……ここまで仕事人間だったとは」
(おじうえ?)
盛大なため息と共に呟かれた耳慣れない言葉に、セラフィーナはコテンと首を傾げる。
「チャドが何か言っていたのか?」
(え? クラースさんって、チャドさんの親戚だったの!? 全然似てな……あ、でも目元の辺りは似てる、かも?)
まだまだ数少ない、アイザックを蔑まない人々の中にあった意外なつながりを知り、セラフィーナは驚愕のあまり目を見開く。
クラースに自分の声は聞こえぬと知っていても、咄嗟に口元を手で塞いだ判断は、きっと間違っていない。
「いいえ何も。アイザック様が仕事人間すぎて、寝食すら忘れ書類の山に埋もれやしないかと、ここ数年胃が痛いと愚痴をこぼしておりましたが」
テーブルに頬杖をついたアイザックが、至極面倒そうに首を傾げ、前髪越しにクラースを見つめる。
その言葉に返ってくるのは、満面の笑みを浮かべた表情と真逆の辛辣すぎる言葉の数々。
「恨み言は本人の耳に入らぬよう言うものだ。それを本人に伝達してどうする、阿呆め」
「おおっと、つい口が。無礼を働いた罰はいかように? 私を城から追い出しますか? それとも……私を殺します?」
「甥っ子を可愛がっている男に寝首をかかれるのは御免だ。……城での仕事はどうだ? お前、まだここに数年だろう」
「そうですね……今までは正直退屈でしたが、最近は少しばかり楽しいと思えるようになりました」
「……それなら良いが」
(え? え? 大丈夫なの、これ? ふ、二人共真顔で物騒なこと言ってるよー!?)
一介の国民にも満たぬ知識量しか有していない天使にとって、真顔で相手に言葉をぶつける男達の会話はこの上なく心臓に悪い。
しかし、今の自分には彼らをなだめる手立てなどなく、どうか荒事が起きぬよう祈ることしか出来なかった。
「セラ、もう大丈夫か?」
「……ん」
これまでは書類を受け取りすぐに立ち去っていたクラースが、今日は珍しくアイザックの部屋に長居していた。
その間、男達の間で交わされる一般人には鋭すぎる言葉の応酬に、終始セラフィーナの心臓は過剰に脈打っており、今日の心労は一段と色濃い。
夜、介助つきの入浴を終え部屋へ戻ってくれば、元々体力が無い状態の身体はすでに限界らしい。
コクン、コクンと舟をこぎ出した首の動きに、さてどう抗おうと脳内に霧のかかった頭で考えていた時、不意に後頭部を支えるぬくもりを感じる。
「このまま寝てはいけない。ほら、少し水を飲め」
「……ん、っ」
頭上から降り注ぐアイザックの声に、少しばかり意識が浮上する。
次の瞬間、小さな唇を塞ぐぬくもりに気づいたセラフィーナは、言われるがままそこにわずかな隙間を作った。
セラフィーナが目覚めてからも、毎日朝と晩に行う口付けの習慣は続いている。
しかしそれらは、以前とは意味合いの違うものになりつつあった。
遠征へ赴くまでは、基本セラフィーナから行動を起こすことが多かった。もちろんその目的は、アイザックの顔の傷を治すためと、一日仕事を頑張った彼を労わるためである。
それが今は真逆。
セラフィーナの不調が続く日々のなかで、アイザックの方から毎朝毎晩、唇を重ねてくるのだ。
その目的は、彼女でもすぐに理解出来た。
以前の成功例から、口づけをすることで彼はきっと自分のエネルギーをこちらへ譲渡している。
その証拠に、毎回口づけをしている間は、彼の体内に流れる優しいエネルギーが唇を通しセラフィーナの身体に流れてくる。
「ほら、もう少し……頑張れ。ん」
「……っ」
アイザックは、ベッド脇の棚に置いてあった水差しからグラスに水を注ぐと、それを一旦己の口へ近づけ少量を口に含む。
そしてそのまま、セラフィーナの唇にそれを合わせ、少しずつ分け与えてくれる。これも、入浴後毎日行われている行為だ。
深夜、他に誰も居ない静かな森の中で、たった一言だけ、互いに想いを告げた仲。
あの日から変わったアイザックの態度なども含め、自分と彼には特別な想いで繋がっていると、感じている。
そんな状況で、エネルギー循環の手助けとは言えキスを交わしているというのは、嬉しい反面、この上なく恥ずかしい。
恋愛耐性皆無なセラフィーナにとっては、いくら回数を重ねようと、いまだ羞恥心が勝るのだ。
(あ、れ?)
数回程水分とエネルギーの補給を終え、このままベッドの中に入って就寝といういつのも流れが待っていると思えば、この日は違った。
何度目かの口付けが終わると、不意に身体の奥から湧き上がる、ポカポカしたぬくもりが体内を満たしていく感覚に気づく。
「なっ、これはどうした!? セラの身体が光って……ま、まさかっ!」
体内から放出された熱は、まるで彼女の身体を包むように彼女の周囲に漂う。
セラフィーナは、これまでに無い変化を頭の片隅で認識しつつも、どうにも抗えない睡魔に根負けし、一足早く夢の世界へ旅立つ。
「セラ、やったぞ。もとに、元の身体に戻れたんだっ!」
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