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番外編
願うのは笑顔3/光志視点
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『ああ、あのっ! 僕見たんです。ごみ袋を持ったスタッフの女性の後を、あの人が追いかけてるのを。あの人、説明会で騒いでたせいか、他の参加者さん達から煙たがられてて……。ゴミ出しをしていた人が、藤沢さんと一緒に居る所も僕何度か見てるんです』
自分が見たこと、感じたこと、考えたこと。そのすべてを名も知らぬファンが必死に伝えてくれる。
有難いと思う反面、話を聞けば聞くほど、はらわたが煮えたぎる熱を、光志は腹の奥から感じていた。
『あのスタッフさん、藤沢さんのお知り合いなんですよね!? 早く助けてあげてください。追いかけてた人、何かヤバい雰囲気で……』
『藤沢さん、すぐに美奈穂さんの所へ。こっちは相楽さんたちを呼んで後を追ってもらいますから!』
懸命なファンの説明を遮るように、良晴からの指示が飛んでくる。
その声は、ひどく焦っていて、事の緊急性を嫌でも教えてくれた。
『ごみ置き場ってどこだ!』
『ここを出てすぐの角を曲がったら――』
目的地への最短ルートを教えられた光志は、食堂から調理場を通り、廊下に出る。
今はそばに居ない美奈穂の面影だけを追い、彼はわき目もふらず駆けだした。
「――でよ!」
渡り廊下の先にごみ置き小屋がある。
教えられた通りの道順を走れば、次第に誰かの話し声が聞こえてきた。
声を聞いた瞬間、その荒々しさと耳障りな音に、美奈穂のものではないと理解する。
そして忌々しい声は、決して望まない事態が起きていることを教えてくれた。
渡り廊下に近づくにつれ、金切り声の他にも音が聞こえる。
それは何かがぶつかる衝撃音。そしてかすかに聞こえる震えた美奈穂の声。
心の奥が嫌にザワザワすると、光志はこれまでにも増して走る速度を上げた。
「スタッフとして潜り込んで、光志に取り入ろうとしてるんでしょう!? 見え透いた魂胆丸出しな女なんか、あの人が好きになるはず無いじゃないっ!」
ごみ置き小屋へ続く渡り廊下。そこへ辿り着いた瞬間目にしたのは、見覚えのない女性の後ろ姿と今にも泣きそうな顔で震える恋人の姿だった。
次の瞬間、自分に背を向ける女性が、訳の分からない文句を口にし大きく手を振り上げる姿を目撃する。
(ヤバいっ!)
頭の中に警鐘が鳴り響くと、光志の思考は真っ白になっていた。
意識が現実へ戻ったのは、女の腕を掴み、番に危害をくわえようとした彼女に冷たい視線を向けてた後。
「その女は参加者じゃないでしょ! それなのにどうして庇うのよ!」
「煩い! 俺が大人しくしてる間にさっさと消えろ!」
美奈穂に駆け寄り、無理矢理彼女の目と耳を塞いだ光志は、背後から聞こえる声に苛立っていた。
恋人に訳がわからない言いがかりをつけた女よりも、自分が優先すべきは腕の中で震える美奈穂だと、わずかに残った平常心が意識を繋ぎとめる。
それすらも消えれば、今度は自分が加害者になる。それだけは絶対ダメだと、激しい鼓動を感じながら、彼は自分自身へ必死に言い聞かせていた。
「はい、そこまで」
冷静になれと思う反面、女の言葉に引きずられ感情が昂る。
嫌な熱が伝わっているのか、腕の中にいる美奈穂の震えが止まらない。
真逆すぎる気持ちと行動に、どう折り合いをつけようか悩みながら、高飛車女を睨みつけ数分。
身勝手な女の主張に、若干感情的な反論を続けた光志を救ったのは、連絡を受け駆けつけてくれた志郎たち役人だった。
「離して! 離してってば!」
「落ち着いてください。大人しくしてくだされば、我々も手荒な真似はしません」
美奈穂を尾行した女は、志郎の部下数名に捕まり本館内へ連行されていく。
その姿に一瞬だけ目を向けた光志は、本館へ続く扉のそばで指示を出している志郎を見つめる。
「美奈穂さんは大丈夫? 随分大人しいけど……まさか、あいつに殴られて怪我でも!?」
「いいや、すっかりビビってるだけだ。間一髪、怪我だけは阻止出来たっぽい」
勝手な想像をして狼狽える志郎を尻目に、今度は腕の中で震える番を見下ろす。
ずっと彼女の背中に回していた腕を外し、そのまま頭を撫でてやれば、ほんの少しだけ震えがおさまり、光志は内心ホッとした。
「……なるほど。咄嗟に目と耳を塞いだのか。ここへ来る途中、本館の中に居ても言い争う声が聞こえてたよ。そのせいで野次馬がチラホラいる」
さっきより近くなった声に振り向くと、いつの間に移動したのか、志郎がすぐ後ろに立っていた。
彼は苦笑いを浮かべ、美奈穂の状況を冷静に確認している。
「悪い……あまりにもあの女が身勝手なことばっかり言うから、頭に来ちまって」
「いいよ謝らなくても。とりあえず、美奈穂さんを連れて俺たちは一旦部屋に避難しよう。こんな状況の彼女が配膳作業なんて出来るわけ無いし、野次馬たちへの対応もしなきゃいけない」
「俺たちのこと、喋るのか?」
「ははっ、そんな訳無いでしょう。ちょーっとばかり、兼治に頑張ってもらうのさ」
そう言って志郎は、自分の頭をポンポンと手のひらで叩く。
その意味を悟り、あまりにも兼治に申し訳ないと光志は無意識に苦々しい吐息を吐き出す。
「なあ、あのおっさんの好物とか知ってるか?」
「え? どうしたのいきなり」
「いや……帰ったら、迷惑かけまくった詫びに好物でも買って送り付けようかと」
「ははっ、お詫びの品って言うくせに送り付けるとか変なの」
こっちは真剣に悩んでいるのに、光志の発言を聞いた志郎は、ケラリと笑うだけだった。
その後、腰を抜かした美奈穂を支えながら、志郎と一緒にエレベーターへ向かう。
その途中、かすかに聞こえる騒がしい声に視線をむければ、役人スタッフ数人で築かれたバリケードを発見した。
「皆さん、食堂に行くか、ご自分の部屋に戻ってください」
「この先は立ち入り禁止です。押さないで!」
声をあげるスタッフの言葉に耳を貸さない参加者たちが、まるで野次馬のように溢れている光景が嫌でも目につく。
娯楽の少ないこの施設内では、きっと些細な騒動でも参加者たちの好奇心を刺激するのかもしれない。
(美奈穂は見なくていい)
騒ぐ人々を尻目に、光志は隣を歩く恋人を支える腕の力を無意識に強める。
そのまま、好奇心に突き動かされたたくさんの視線から美奈穂を守るように、自分の身体で小さな彼女を覆い隠し、足早にその場を離れた。
自分が見たこと、感じたこと、考えたこと。そのすべてを名も知らぬファンが必死に伝えてくれる。
有難いと思う反面、話を聞けば聞くほど、はらわたが煮えたぎる熱を、光志は腹の奥から感じていた。
『あのスタッフさん、藤沢さんのお知り合いなんですよね!? 早く助けてあげてください。追いかけてた人、何かヤバい雰囲気で……』
『藤沢さん、すぐに美奈穂さんの所へ。こっちは相楽さんたちを呼んで後を追ってもらいますから!』
懸命なファンの説明を遮るように、良晴からの指示が飛んでくる。
その声は、ひどく焦っていて、事の緊急性を嫌でも教えてくれた。
『ごみ置き場ってどこだ!』
『ここを出てすぐの角を曲がったら――』
目的地への最短ルートを教えられた光志は、食堂から調理場を通り、廊下に出る。
今はそばに居ない美奈穂の面影だけを追い、彼はわき目もふらず駆けだした。
「――でよ!」
渡り廊下の先にごみ置き小屋がある。
教えられた通りの道順を走れば、次第に誰かの話し声が聞こえてきた。
声を聞いた瞬間、その荒々しさと耳障りな音に、美奈穂のものではないと理解する。
そして忌々しい声は、決して望まない事態が起きていることを教えてくれた。
渡り廊下に近づくにつれ、金切り声の他にも音が聞こえる。
それは何かがぶつかる衝撃音。そしてかすかに聞こえる震えた美奈穂の声。
心の奥が嫌にザワザワすると、光志はこれまでにも増して走る速度を上げた。
「スタッフとして潜り込んで、光志に取り入ろうとしてるんでしょう!? 見え透いた魂胆丸出しな女なんか、あの人が好きになるはず無いじゃないっ!」
ごみ置き小屋へ続く渡り廊下。そこへ辿り着いた瞬間目にしたのは、見覚えのない女性の後ろ姿と今にも泣きそうな顔で震える恋人の姿だった。
次の瞬間、自分に背を向ける女性が、訳の分からない文句を口にし大きく手を振り上げる姿を目撃する。
(ヤバいっ!)
頭の中に警鐘が鳴り響くと、光志の思考は真っ白になっていた。
意識が現実へ戻ったのは、女の腕を掴み、番に危害をくわえようとした彼女に冷たい視線を向けてた後。
「その女は参加者じゃないでしょ! それなのにどうして庇うのよ!」
「煩い! 俺が大人しくしてる間にさっさと消えろ!」
美奈穂に駆け寄り、無理矢理彼女の目と耳を塞いだ光志は、背後から聞こえる声に苛立っていた。
恋人に訳がわからない言いがかりをつけた女よりも、自分が優先すべきは腕の中で震える美奈穂だと、わずかに残った平常心が意識を繋ぎとめる。
それすらも消えれば、今度は自分が加害者になる。それだけは絶対ダメだと、激しい鼓動を感じながら、彼は自分自身へ必死に言い聞かせていた。
「はい、そこまで」
冷静になれと思う反面、女の言葉に引きずられ感情が昂る。
嫌な熱が伝わっているのか、腕の中にいる美奈穂の震えが止まらない。
真逆すぎる気持ちと行動に、どう折り合いをつけようか悩みながら、高飛車女を睨みつけ数分。
身勝手な女の主張に、若干感情的な反論を続けた光志を救ったのは、連絡を受け駆けつけてくれた志郎たち役人だった。
「離して! 離してってば!」
「落ち着いてください。大人しくしてくだされば、我々も手荒な真似はしません」
美奈穂を尾行した女は、志郎の部下数名に捕まり本館内へ連行されていく。
その姿に一瞬だけ目を向けた光志は、本館へ続く扉のそばで指示を出している志郎を見つめる。
「美奈穂さんは大丈夫? 随分大人しいけど……まさか、あいつに殴られて怪我でも!?」
「いいや、すっかりビビってるだけだ。間一髪、怪我だけは阻止出来たっぽい」
勝手な想像をして狼狽える志郎を尻目に、今度は腕の中で震える番を見下ろす。
ずっと彼女の背中に回していた腕を外し、そのまま頭を撫でてやれば、ほんの少しだけ震えがおさまり、光志は内心ホッとした。
「……なるほど。咄嗟に目と耳を塞いだのか。ここへ来る途中、本館の中に居ても言い争う声が聞こえてたよ。そのせいで野次馬がチラホラいる」
さっきより近くなった声に振り向くと、いつの間に移動したのか、志郎がすぐ後ろに立っていた。
彼は苦笑いを浮かべ、美奈穂の状況を冷静に確認している。
「悪い……あまりにもあの女が身勝手なことばっかり言うから、頭に来ちまって」
「いいよ謝らなくても。とりあえず、美奈穂さんを連れて俺たちは一旦部屋に避難しよう。こんな状況の彼女が配膳作業なんて出来るわけ無いし、野次馬たちへの対応もしなきゃいけない」
「俺たちのこと、喋るのか?」
「ははっ、そんな訳無いでしょう。ちょーっとばかり、兼治に頑張ってもらうのさ」
そう言って志郎は、自分の頭をポンポンと手のひらで叩く。
その意味を悟り、あまりにも兼治に申し訳ないと光志は無意識に苦々しい吐息を吐き出す。
「なあ、あのおっさんの好物とか知ってるか?」
「え? どうしたのいきなり」
「いや……帰ったら、迷惑かけまくった詫びに好物でも買って送り付けようかと」
「ははっ、お詫びの品って言うくせに送り付けるとか変なの」
こっちは真剣に悩んでいるのに、光志の発言を聞いた志郎は、ケラリと笑うだけだった。
その後、腰を抜かした美奈穂を支えながら、志郎と一緒にエレベーターへ向かう。
その途中、かすかに聞こえる騒がしい声に視線をむければ、役人スタッフ数人で築かれたバリケードを発見した。
「皆さん、食堂に行くか、ご自分の部屋に戻ってください」
「この先は立ち入り禁止です。押さないで!」
声をあげるスタッフの言葉に耳を貸さない参加者たちが、まるで野次馬のように溢れている光景が嫌でも目につく。
娯楽の少ないこの施設内では、きっと些細な騒動でも参加者たちの好奇心を刺激するのかもしれない。
(美奈穂は見なくていい)
騒ぐ人々を尻目に、光志は隣を歩く恋人を支える腕の力を無意識に強める。
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