紫色彗星のフォトンテイル～TS転生令嬢は公爵騎士に溺愛されて～

2話 休憩室での喜劇？

　成人パーティーから数十分後。
会場横の休憩室でプレシアは目を覚ました。
　（（寝ぼけながら）うぅ……、私は……。）
プレシアは周囲を見渡す。　
　（（しばらく放心した後）ここは休憩室のベッドの上か……。アレクは？……。）
プレシアがキョロキョロと上半身を起こした身体で探っていると……。
　「（後ろから）おはよう、プレシア。」
　「（びっくりして）うあぁぁぁぁーーーーーー！？。」
　「（ダメージを受けて）ぐふっ……。」
プレシアの強力な肘の一撃が、アレクの脇腹に見事にクリティカルヒットした。
　「（勢いよくドアを開けて）プレシア姉さん！。だいz……、（目の前の惨状を見て）丈夫……そうね……。」
アリシアが休憩室に入ると上半身を上げてベッドに座ってるプレシアと、脇腹を押さえて悶えるアレクがいる喜劇的な惨状だった。
　「（一応念の為）プレシア姉さん、これはいったい……。」
　「（少し過剰な涙声で）アレクに後ろから抱きつかれた。」
　「（呆れた声で）あぁ……。」
是非もなし。
いくら好意のある相手とはいえ、時と場合は存在する。
　「（慌てた声で）大丈夫ですか！？。プレシア義姉様。」
　「（落ち着いた声で）テレス義姉さん。実は……。」
アリシアはテレスと呼ぶ少女に説明をする。
　【テレス＝フォトンテイル】公爵令嬢。
白く蒼いロングヘアに、月のような黄色い瞳。
純白の少し着飾ったドレス衣装の少女。
なお、ここにいる3人の中で1番のスレンダーである。
　テレスはアリシアの説明を聞いてるうちに、呆れ、深くため息をついた。
　「（呆れた声で）よくわかりました。お兄様、後で家族会議があるのでここを出ましょうね。」
　「（弁明する声で）違う、テレス、これは……。」
　「（圧のある声で）ね。」
　「（しおれた声で）はい……。」
テレスに首根っこを掴まれたアレクは引きずられるように、いや文字通り引きづられて連行された。
　「（はっとして）では姉さん、私はこれで。」
　「（優しい声で）うん、ありがとう。アリシア。」
アリシアは手を振って休憩室を出る。
プレシアも手を振って返すが、退室したアリシアはテレスを追いかけてアレクに制裁をかす声が聞こえて「あはは……。」と目を逸らした。

　しばらく経ってから二人の男女がプレシアのいる休憩室に入室する。
　「（会釈して）久しぶりですね。プレシア。」
　「（同じく会釈して）元気にしてたか、プレシア。」
　「（返しの会釈）はい、お久しぶりです。アルスさん。セレナさん。」
プレシアと面会しているのはアレクとテレスの両親のアルスとセレナ。
　アルスはアレクをそのままイケおじにしたような聖騎士。
　セレナはテレスをより可憐で美しく成長したような婦人。
プレシア、アリシアの両親とは結婚前からの古い付き合いで、半ば家族のような付き合いである。
そうなった要因はまあいろいろとあるのだが……。
　「（頬に手を当てて）そうかしこまらなくて良いのよ。もうすぐあなたの義母になるの、だからお義母様と呼んでくれると嬉しいのだけれど……。」
　「（腕組をして）そうだぞ。それにあいつらの一人娘なら何ら問題ない。それにアレクを手懐けられるのはプレシアぐらいだからな。」
　「（少し身を引いて）そんな、私なんてまだまだ……。」
両手で手を振って謙遜する。
フォトンレイル家にはそれはそれは複雑な事情があるのだが、それはまた別の話……。
　「（微笑みながら）あらあら～、そんなに謙遜しちゃって。そういうところも姉様に似ちゃったのね。お義母さん嬉しいわ。」
全くこの妹は……。
昔からそうである。
　「（少し残念がりながら）はあ……、こうゆうところはあいつに似るんかねぇ……。」
あなたは相変わらず圧が強いわね。
そんなんじゃ余計にプレシアが引いてしまうわ。
　「（プレシアを抱きしめて）大丈夫よ。あなたは姉さんとあの大バカ騎士の娘なのだから……、そんなに身構えなくてもいいのよ。」
　「（優しく抱き返して）でも……、はい。頑張ってみます。」
プレシアをしばらく堪能したセレナはプレシアの手を取って。
　「（プレシアの両手を包んで）最初は……、よく分からないかもしれないけれど……。ゆっくりでいいの、焦らずに、あの子のそばで見守れば……。知らないうちに恋が愛になっているものよ……。」
　「（少し不安な声で）本当ですか……？。」
　「（安心させる声で）本当よ……。あなたのお母さんだってそうだったのだから……、だから安心して見守ってて……。（元気な声で）最悪こいつのバカ息子なんだから、嫌なことがあったらガツンとやってね。」
　「（少し怒った声で）おいこら！。」
全くこの二人は……。
そんなバカ夫婦を見たプレシアは笑顔になり、また二人も笑顔になって仲良く談笑した。
　一方その頃、アレクは妹と義妹にプレシアに後ろから抱きついたことに関して長々と説教していた……。