ワンチャンいける

ちゃむ

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もしかしたら、!

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ああ、これワンチャンいけんじゃね?
そう思った。電車の中でいつも見かける美人。今日は2回目があった。2回も目があって、何をジロジロ見ているんだ、と不審がられるかもしれないそう思い、目を逸らしてしまったが、まさかその美人が俺の隣の席に座ってくるなんて。しかも周りで空いてる席はいくつもある。これはワンチャン連絡先を聞くことが出来るのではないか。しかし、目があったと感じているのは俺だけかもしれない。もしかしたら俺の後ろにある脱毛の広告を見たのかもしれない。あー、どしよう、これでもしダメだったら完璧に不審者だよな。いや、でも出会いのない俺にとって、こんな美人と知り合えるチャンスは今しかない。大学に入学したのは良いものの、楽単ばかりを選んで、授業はほぼリーモート。家でやるものばかり。たまに授業を受けに大学に行っても、いつもの固定のメンバーと飯を食うだけ。バイト先の大学生の7割は男。サークルにも入るタイミングも逃した。こんな俺に出会いなんか到底ない。俺はやはり行くべきか、、?!いやでもここは俺の地元だ。誰かにこんな場面見られてたら恥ずか死ぬ。というかネタにされるのは確定、半年後に控えている成人式では笑いものにされるのではないだろうか。俺の心は揺れていた。『間もなくー東神奈川ー東神奈川ー』やばい。俺の地元の新横浜までもう少し。そうだ、断られても直ぐに降りれるように、菊名、降りる駅の1個前の駅で連絡先を聞くことにしよう。そうすれば断られても逃げることができる。いや、しかしまてよ、この人が次の駅、大口で降りる可能性もある。聞くならやはり今なのか?そしてダメだったらその場で降りて、また1本後の電車に乗ればいいのではないだろうか。そもそものはなしだが、俺みたいな陰キャでも陽キャでもない中途半端な大学生に話しかけられて、きっと年上であろう隣の席の美人は嫌な気持ちになるのではないだろうか。むしろこんなに美人だからこんなことには慣れていて、よくある日常に過ぎないのかもしれない。横目でちらっと美人を見た。ミディアムより少し長めの下ろした髪を綺麗に巻いている。茶髪の艶のある髪からはいい匂いがしてきそうだというか多分している。まつ毛は長く来るんとして、色が白く、シミなんかひとつも見つからないような綺麗な肌をしている。いやしかし、毎回じっと見ている訳では無い。今回もちらっとみただけである。これでよくよく見てあまりタイプではなかったら、、マスクの下はほうれい線が凄かったら、、そんなことを考えたらやはり話しかけるのが億劫になってきた。『次はー大口ー大口ー』やばい、大口まで来てしまった。どうする、俺。
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