タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

2,おまけって大体いらないよね

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  嫌な予感は確かにしてたけど、異世界転移とは考えてなかった……。朝にタロットカードばらまいちゃったからバチがあたったとかなのかな。表になってたのも運命の輪とか死神とかだったし。残念なことに正位置と逆位置だったから、どっちも別れって不吉だなあなんて思ってたけど、まさか世界と別れることになるとは……。
  まあ、来てしまったのは仕方ない。帰る方法探すついでに楽しんでしまえ。というか、精神的にそう思わないと辛い。

「座ったままなのもなんですし、自己紹介でもしておきましょう。言い出しっぺの僕は相模さがみ光一こういち、高校三年です。よろしくお願いします」

  おお、仕切り出した。やっぱり会長タイプだ。一つ上なのかー。相模先輩だ。

「じゃあ次は私。名前は東雲しののめ沙夜香さやか。歳は二十歳。沙夜香でいいわ。よろしくね」
 
  すごいヒロインみたいな名前だ!  ちょっと感動。しかも美人だし隣にいるとなんかいい匂いしてくるし。ヒロイン要素がすごい。

「俺は御影みかげ颯太そうた。今年で二十八だ。さっきは取り乱してすまない。商社で働いてた。よろしく」

  さっき大声をあげてたことを謝るあたり社会人って感じだ。私じゃ焦って絶対謝れないもんなあ。すぐに冷静になれるのは見習いたい。

「私は入江いりえ杏子あんずです。高校二年生です。友達からはアンって呼ばれてました。よろしくお願いします」

  よろしく、とみんなに言われる。なんか入学初日を思い出すなあ。歳はみんな違うけど。

「恐れながら私も名乗らせていただきたいと思います。この国の神官長を務めております、メルドネアリス・クロムファーベ=ストラテインと申します。メルドとお呼びください」

  流れに乗って、おじいさんも自己紹介するけど名前が長い。正直メルドネアリスまでしか覚えられないです。お言葉に甘えてメルドさんと呼ぼう。
  自己紹介が終わってすぐ、なんだかボウリング玉くらいのでっかい宝石みたいなものが運ばれてきた。金色に光ってて、真ん中に黒い筋? みたいなのが入ってる。蛇の目とかに似てるなあ。
  灰色のローブの人がメルドさんに耳打ちしてる。あんまり数は多くないけど、他にもおんなじローブを着てる人がいる。メルドさんの部下とかなのかな?

「準備ができました。どうぞこちらへ」

  メルドさんに連れられてさっきの石の前に集まる私たち。近くで見ると余計に蛇の目に似てて、なんだか見られてるようで落ち着かない。

「お一人ずつこちらに触れてくださいませ」
「じゃあ私からいこうかな」

  真っ先に沙夜香さんが立候補する。沙夜香さんが石に触れると、石が強く輝き出した。少しするとだんだんと光が収まっていって、石の前に金色の光が浮かび上がる。メルドさんがそれを見てるってことは、結果とかが書いてある文字なのかな?

「サヤカ様は紛れもなく勇者です。世界神の加護、魔導神の加護、治癒神の加護を授かっておられます」
「加護?」

  沙夜香さんが首をかしげると、メルドさんが説明し出した。

「神からの祝福です。この世界の人は皆、神から加護を授かって生まれてくるのです。加護はその者が神や精霊から力の欠片を授かった証なのです。サヤカ様は英雄の証である世界神の加護。そして、あらゆる攻撃魔法を司る魔導神の加護。魔導神と並んで語られる、あらゆる補助魔法と回復魔法を司る治癒神の加護を授かっておいでです。サヤカ様はすべての魔法を操ることができ、さらに加護を持たぬものより強力な魔法を操れるお力を秘めておられます」

  なんだそれすごい。チートだ。全部の魔法が使えるなんて強すぎない?  しかも加護を持ってない人より強い魔法だなんて。つまり魔法最強ってことだよね。他の二人もかなり驚いてる。勇者ってそこまでとんでもない力を持つんだなあ。
  説明を聞いた後なんでもないような顔をして石から離れていく沙夜香さんだったけど、小さくガッツポーズをしてる。少し可愛い。

「じゃあ次は俺が」

  御影さんが石に触れる。沙夜香さんの時と同じように石が輝いて光が収まる。さっきよりも金色の文字が多い。これはまたかなり強いんじゃない?

「ソータ様も勇者でございます。世界神の加護、薬神の加護、弓神の加護、風精霊の加護、闇精霊の加護。五つの加護をお持ちです。薬の扱いに長け、毒への耐性が上がります。そして、弓が外れるようなことはほとんどなくなり、威力も上がります。精霊の加護はその属性の魔法が使え、強化されるというものです」

  御影さんもかなりすごい。百発百中の弓使い。かっこいい。しかも魔法もちゃんと使える。遠距離だと敵無しなんじゃなかろうか。
  今のところ二人とも勇者だーってなったけど、勇者ってあと一人なんだよね。これ私じゃない気しかしないんだけど、私だけ役立たず過ぎるってオチじゃないよね……?

「入江さん、次やる?」
「いやいやいや!  先輩、先どうぞ!」
「じゃあ先にやるね」

  正直勇者のとんでもなさに挟まれて勇者じゃないってなったら辛すぎる。前と比べてしょぼい上に次の素晴らしさにかき消されるとか死体蹴りにも程がある。なんとなくでしかないけど私がおまけで召喚されたって確信があった。

「コーイチ様も勇者でございます。世界神の加護、剣神の加護、軍神の加護、雷精霊の加護、光精霊の加護をお持ちです。剣の扱いに長け、軍を率いると味方にも加護の力の一端を与えることができます。そして雷と光の魔法と治癒の魔法を使うことが可能です」

  勇者だ。ドラ〇エの勇者だ。ギ〇デインとかベホ〇ズンだ。すごいテンプレートな感じ。前の二人よりもこれぞ勇者、って感じがする。
  というか、やっぱり私が勇者じゃなかった。どうなんだろう、普通の人と同じくらいの加護は欲しいけど……。なんか強い加護とかついてないかなあ。

「アンズ様。異世界からやってきた方は皆強い加護をお持ちです。お気を落とさずに」

  メルドさんが慰めてくれる。よし、大丈夫。皆持ってるならきっと私も何かしら持ってるよね!  
  意を決して石に触れる。
  光が収まったあと、浮かんでいる金の文字は一行だけだった。恐る恐るメルドさんを見る。メルドさんは真顔で文字を読み上げる。

「アンズ様の加護は占術神の加護です」

  おお、占術神!  占いの神様ってことだよね。素直に嬉しい。どんな効果があるんだろう。

「占いが当たりやすくなり、勘が鋭くなります」

  ……それだけ?

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