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第21話 憤怒の水曜日
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どうも今日は落ち着かない。何も頭に入らない。こんな日はあれだ。無理に自分を変えようとせずに気の赴くままに流れに則って生きるに限る。人間には波がある。腹痛にも波があるように我々人間の気持ちにもある一定の浮き沈みがある。その沈みの時期が今なのだ。沈んでいるときは大抵単にやる気がなくなったときや、うまくいかないことが立て続けに続いたときなど、大して明確な理由はないのである。しかし今回に関しては明確な理由がある。そう、彼女だの隠し事だ。今週に入ってからと言うもの、彼女に元気がなく、心ここにあらず状態に陥っていた。そんな状態になっていることを自覚しておらず、さらにはその理由を彼女は教えてくれなかった。極めつけは教えられないのは私のことを慮ってだと言う。そんなんことを言われてしまうとなおさら聞きたくなってしまう。しかしあれだな。まさかこの私が自分以外の誰かにこれほど興味を持ち、気になてしまうとは思いもしなかった。まさか怒りの感情が芽生えるなんて、長生きはしてみるものだ。長くないって?寿命を考えたときには相対的には長くないかもしれないが、私がこれまで歩いてきた人生を考えると・・・そうだな、それでも大して長くはないようだ。ごめんなさい、長くないです。
1日中上の空で過ごしたため、当然のように何も頭に入っていない。何も残っていない。水を穴あきのボウルに流した時のように何も残っていない。考えているのはずっと彼女のことだ。少し冷静になって考えてみることにした。どうして彼女に対して憤りを覚えてしまったのだろうか。そしてなぜこんなにも彼女のことを考えててしまうのだろうか。こんなこと私の人生では1度もなかった。何度も何度も言うが私は自分と会話をすることが好きだ。むしろそうすることで忙しいのだ。他人に興味を向けている余裕は私にはない。そんな私が1日中、他のことを考えなくなるほど夢中になってしまうと言うのは、前例のないことなのだ。前例のないことには自然と拒絶反応が働くのが人間の心理と言うものである。しかし過去にすがったり新しい挑戦をしない、と言った現状維持は後退していることと同じだ。よって私はこの前例のない自分の感情を前向きにとらえるようにしている。しかし理解はできない。なぜそのような感情を抱いたのか。
私は初めて彼女と会った時のことを思い出していた。私のお気に入りのパーソナルスペースであった階段の下のあの空間に突如として現れたのが彼女だ。最初に放たれた言葉は「何みてんのよ」だったかな。あれには度肝を抜かれた。第1印象が悪いやつは後々仲良くなりやすい傾向にあると聞いたことがある。ソースは忘れた。その理論でいくと、私と彼女の関係は良好なものだったはずだ。いや、そんな周りくどい考え方をしなくても私にしてはストレスの少ない人間関係を築けていたと自信を持って言える。それから約3週間、あの時間、あの場所でだけ私は彼女との邂逅を繰り返した。その時間が心地よかったのだ。失いたくなかったのだ。そう思った時には信号が青くなった。今日はお前のことすら考えていなかった。
階段の下に着いた時、私は確信した。どうしてこんなに彼女のことを考えてしまって、憤りを覚えてしまって、彼女との時間を失いたくないと考えるのか、わかった。
「私は、彼女のことを好いているんだ」
それは、私が今まで感じたことがない名も無き感情だと思っていた。何よりも単純で何よりも確かで、何よりも強い感情だった。名前だって知っていた。「好き」と言う感情なのだ。しかしそんな私の人生で初めての感情から出た言葉は宙を漂い、消えていった。なぜ私がその感情に気づいたのか、と言う理由の答えにもなる出来事が起きたのだ。
その日、彼女は、いつものその時間、いつものその場所にいなかった。
1日中上の空で過ごしたため、当然のように何も頭に入っていない。何も残っていない。水を穴あきのボウルに流した時のように何も残っていない。考えているのはずっと彼女のことだ。少し冷静になって考えてみることにした。どうして彼女に対して憤りを覚えてしまったのだろうか。そしてなぜこんなにも彼女のことを考えててしまうのだろうか。こんなこと私の人生では1度もなかった。何度も何度も言うが私は自分と会話をすることが好きだ。むしろそうすることで忙しいのだ。他人に興味を向けている余裕は私にはない。そんな私が1日中、他のことを考えなくなるほど夢中になってしまうと言うのは、前例のないことなのだ。前例のないことには自然と拒絶反応が働くのが人間の心理と言うものである。しかし過去にすがったり新しい挑戦をしない、と言った現状維持は後退していることと同じだ。よって私はこの前例のない自分の感情を前向きにとらえるようにしている。しかし理解はできない。なぜそのような感情を抱いたのか。
私は初めて彼女と会った時のことを思い出していた。私のお気に入りのパーソナルスペースであった階段の下のあの空間に突如として現れたのが彼女だ。最初に放たれた言葉は「何みてんのよ」だったかな。あれには度肝を抜かれた。第1印象が悪いやつは後々仲良くなりやすい傾向にあると聞いたことがある。ソースは忘れた。その理論でいくと、私と彼女の関係は良好なものだったはずだ。いや、そんな周りくどい考え方をしなくても私にしてはストレスの少ない人間関係を築けていたと自信を持って言える。それから約3週間、あの時間、あの場所でだけ私は彼女との邂逅を繰り返した。その時間が心地よかったのだ。失いたくなかったのだ。そう思った時には信号が青くなった。今日はお前のことすら考えていなかった。
階段の下に着いた時、私は確信した。どうしてこんなに彼女のことを考えてしまって、憤りを覚えてしまって、彼女との時間を失いたくないと考えるのか、わかった。
「私は、彼女のことを好いているんだ」
それは、私が今まで感じたことがない名も無き感情だと思っていた。何よりも単純で何よりも確かで、何よりも強い感情だった。名前だって知っていた。「好き」と言う感情なのだ。しかしそんな私の人生で初めての感情から出た言葉は宙を漂い、消えていった。なぜ私がその感情に気づいたのか、と言う理由の答えにもなる出来事が起きたのだ。
その日、彼女は、いつものその時間、いつものその場所にいなかった。
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