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第17話 破裂音
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「そう言えば、この時間に行ってまだ事務所に入れるのかな」
瀬奈が思い出したように口にした。日はすっかりくれており、電柱に併設されている街灯が灯り始めていた。灯のそばでは何匹かの小さな虫が戯れており、今更ながら田舎らしさを感じた。
「そう言えば、俺たちあの男と連絡する手段がないな。瀬奈は、あの女性と連絡取れたりしないのか?」小吉はもうすっかり彼女との距離感になれたようだ。人と話すことが特段苦手ではない小吉にはこのくらいわけないのだろう。
「ううん、私も連絡は取れない、どうしよっか、大治」
瀬奈が黙って聞いていた僕に振ってくる。まだ瀬奈との距離に慣れていない僕は名前を呼ばれるたびにすこしどきっとしてしまう。
「う~ん、そうだね。とりあえず行ってみようよ、場所は知ってるわけだし。とりあえず今はそうするしかないよ」
「そうね」
「だな」
事務所へ向かう道中、踏切を渡った直後に少し離れた場所から破裂音が聞こえた。
「え、今の音、何?銃声?」瀬奈が明らかに動揺している。
「銃声というよりは何かが爆発したような音だな、それほど遠くはなさそうだけど」小吉は特に驚いた様子もなくそう分析した結果を口にする。
「でも、こんなことあまりないよね、この街は治安は悪くないし、何かあったのかもしれないよ。見に行ってみようか。」自分でも驚くほど驚いていなかった僕は興味本位で提案してみる。
「でも、私たちだけで大丈夫かな、一回事務所に行ってからの方が」瀬奈が不安そうに聞いてくる。
「でも、もし何か事件が起こっているとしたら早く行かなければ手がかりがなくなってしまうよ」小吉も僕の提案に乗り気のようだ。
「それはそうだけど・・・」瀬奈は未だ不安が拭いきれないようだ。
「じゃあ、せめて遠くから覗くだけにしておくからさ、もしそこで困っている人がいいて、助けられるのが僕たちだけだったら、そしてそのことにあとで気づいたらきっと後悔する」というのはこじつけのようなもので本当はただの興味だった。
「じゃあ、みるだけにしよ。本当にヤバそうなら警察に連絡した方がいいと思うし」
「でも、ルールのうちの一つで公の機関に直接関わったらダメだってのがあったろ」
「直接じゃなければいいんじゃない?連絡するだけして、私たちはおいとましましょうよ」
「それじゃあ無責任じゃないかな、それに第一発見者なら事情聴取とかされるだろうし。まあでもたいしたことは言えないか。落とし物を届けたときに無駄に時間取られて2度とゴメンだと思ったから確かに面倒だな」
瀬奈と小吉の小会議を僕は黙って聞いていた。正直どちらでも良かった。確かに興味はあったけど危険を冒してまで見に行くのも避けるべきという考えもあったため結論は二人に任せようとしていた。元来僕はこういう人間だ、結論を出したがらない。責任を取らなければならないような言動は慎みむべし、という生き方をしてきた。その方が楽だからだ。
「どうする?大治」小吉が最終判断を僕に委ねてきた。そう、小吉だけはいつも僕の意見を聞いてくる。昼ご飯のメニューだろうがムカつくやつの仕返しの仕方だって、僕からしたらどうでもいいようなことまで聞いてくることもあった。自分で決めた方がいいと思うようなことまで僕に確認してくるのだ、この男は。そして僕はそれに何となくだが返事をするようにしていた。普段人に聞かれることなどないため、小吉に聞かれた時だけは答えようという気概があった。だから今回も答えよう。
「じゃあ、見に行くだけ見に行ってやばそうなら通報してとんずらしよう」二人の意見を聞いた上で妥当な線を提案した。
「よし」
「それでいきましょう」
二人はすんなり受け入れてくれた。こうして僕たちは音がした方へ歩き出した。
瀬奈が思い出したように口にした。日はすっかりくれており、電柱に併設されている街灯が灯り始めていた。灯のそばでは何匹かの小さな虫が戯れており、今更ながら田舎らしさを感じた。
「そう言えば、俺たちあの男と連絡する手段がないな。瀬奈は、あの女性と連絡取れたりしないのか?」小吉はもうすっかり彼女との距離感になれたようだ。人と話すことが特段苦手ではない小吉にはこのくらいわけないのだろう。
「ううん、私も連絡は取れない、どうしよっか、大治」
瀬奈が黙って聞いていた僕に振ってくる。まだ瀬奈との距離に慣れていない僕は名前を呼ばれるたびにすこしどきっとしてしまう。
「う~ん、そうだね。とりあえず行ってみようよ、場所は知ってるわけだし。とりあえず今はそうするしかないよ」
「そうね」
「だな」
事務所へ向かう道中、踏切を渡った直後に少し離れた場所から破裂音が聞こえた。
「え、今の音、何?銃声?」瀬奈が明らかに動揺している。
「銃声というよりは何かが爆発したような音だな、それほど遠くはなさそうだけど」小吉は特に驚いた様子もなくそう分析した結果を口にする。
「でも、こんなことあまりないよね、この街は治安は悪くないし、何かあったのかもしれないよ。見に行ってみようか。」自分でも驚くほど驚いていなかった僕は興味本位で提案してみる。
「でも、私たちだけで大丈夫かな、一回事務所に行ってからの方が」瀬奈が不安そうに聞いてくる。
「でも、もし何か事件が起こっているとしたら早く行かなければ手がかりがなくなってしまうよ」小吉も僕の提案に乗り気のようだ。
「それはそうだけど・・・」瀬奈は未だ不安が拭いきれないようだ。
「じゃあ、せめて遠くから覗くだけにしておくからさ、もしそこで困っている人がいいて、助けられるのが僕たちだけだったら、そしてそのことにあとで気づいたらきっと後悔する」というのはこじつけのようなもので本当はただの興味だった。
「じゃあ、みるだけにしよ。本当にヤバそうなら警察に連絡した方がいいと思うし」
「でも、ルールのうちの一つで公の機関に直接関わったらダメだってのがあったろ」
「直接じゃなければいいんじゃない?連絡するだけして、私たちはおいとましましょうよ」
「それじゃあ無責任じゃないかな、それに第一発見者なら事情聴取とかされるだろうし。まあでもたいしたことは言えないか。落とし物を届けたときに無駄に時間取られて2度とゴメンだと思ったから確かに面倒だな」
瀬奈と小吉の小会議を僕は黙って聞いていた。正直どちらでも良かった。確かに興味はあったけど危険を冒してまで見に行くのも避けるべきという考えもあったため結論は二人に任せようとしていた。元来僕はこういう人間だ、結論を出したがらない。責任を取らなければならないような言動は慎みむべし、という生き方をしてきた。その方が楽だからだ。
「どうする?大治」小吉が最終判断を僕に委ねてきた。そう、小吉だけはいつも僕の意見を聞いてくる。昼ご飯のメニューだろうがムカつくやつの仕返しの仕方だって、僕からしたらどうでもいいようなことまで聞いてくることもあった。自分で決めた方がいいと思うようなことまで僕に確認してくるのだ、この男は。そして僕はそれに何となくだが返事をするようにしていた。普段人に聞かれることなどないため、小吉に聞かれた時だけは答えようという気概があった。だから今回も答えよう。
「じゃあ、見に行くだけ見に行ってやばそうなら通報してとんずらしよう」二人の意見を聞いた上で妥当な線を提案した。
「よし」
「それでいきましょう」
二人はすんなり受け入れてくれた。こうして僕たちは音がした方へ歩き出した。
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