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ジャンプ!

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「少し説明するわね…。この世界には、私達のように神の力を授かった能力者が存在しているわ。例えばレビのように、植物を生み出したり操ったりする能力者も入れば、私のように運命を変えることのできる能力者もいます。」

「能力者は鍛錬することで、身体能力も人間の域を遥かに超えることができるぜ。」
レビはその場で軽くジャンプし、3メートルはあろう天井に悠々と到達し右手をつくと、その手を押し出して降りてきた。

「おおー!!」
司は驚きの声をあげる。レビのジャンプの方がリアクションがよかったことに、恵は少し不機嫌な顔になった。

「さらに、人間の力程度では肉体が傷つくことはない。俺や恵クラスになれば、ナイフや銃弾でもほぼノーダメージ。まあ、今の司でも、デコピンぐらいなら全く痛くない。」
レビは指をはじき、デコピンをする真似をした。

だから僕はトラックに轢かれても…。んっ?デコピン?

「司が無傷だったのは、恐らく得た能力に由来するものね。身体強化に特化した能力かしら。」
恵が司の思いを察したのか、疑問に先回りして答えた。

「能力のことはなんとなくわかったよ…。でも、なんで僕を連れてきたりなんか…。」

「神の宝箱を開けた能力者はやがてどちらかに所属することになります。私達ノルンか、オーディンへ。」

「ノルンとオーディン…。」

レビはキッチンへと向かうと、包丁を手にした。そして司へと近づくと、包丁の刃を向けた。

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