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9. 当然だろ

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僕はこの無神経な男を殺してしまおうかと思い、拳に力を込める。
僕は怖い顔をしていたのだろう。スナイフは語弊があったかと慌てる。

「おいおい!明日死ぬってのはおまえさんだけじゃないぜ!この俺もだ!兎に刃向かった者同士。最後ぐらい仲良くしようぜ!」
スナイフは屈託くったくのない笑顔を僕に向ける。

こいつはどうせ明日死ぬのか。僕から殺意が薄れていく。

「俺はもう我慢ならなかったんだよ。兎の奴隷として生きていくことに…。おまえも刃向かった瞬間はそうだったんだろ?」

「奴隷?」

「んっ?」

「奴隷って…。兎の?」

「えっ??そりゃそうだろ…。」

そういえば最初に兎に会った時、奴隷が脱走したとか。それってもしかして…。
「全ての人間が兎の奴隷か?」

「当然だろ…。」
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