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序章
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…数10分だろうか?
実際は数分、数秒だったかも知れない。
不思議と彼女と対面した時は恐怖心はなかったのだが、驚きと緊張で沈黙が長く感じ、辺りも静まり返っていたのもあって、どれ位の時間が経ったのか僕はわからなくなっていたのだ…
彼女は僕に対して、未だに敬礼?のポーズで向き合っていて、これ以上は彼女の方からのアクションはないと僕は感じたので、勇気を持って声を掛けてみた。
「え、えっと…」
僕は気が弱いのもあり、相手が綺麗な女性なので言葉が詰まってしまう…
情けないようだが、思うように話せないのだ。
〝さっき『お帰りなさいませ』『マオウ様、ご命令を』って発した彼女の言葉が、僕には日本語のように聞こえたので日本語で声を掛けたのだけど、通じるよね?〟
〝彼女の言葉遣いもあり、僕の勝手な想像やけど、彼女はメイドさん的な何かなのかな?〟
彼女は言葉を発することもなく、ジッと次の言葉を待っているかのようだった。
「あ、あの!こ、言葉は通じてます!ですが、ぼ、僕はマオウさんではありません!」
「ぼ、僕は佐々木誠と申しまして、に、日本人です。」
「今はこんな見た目ですが(°_°)」
〝角生えてて目付きが鋭いしぃ、日本人どころか人間にも見えないしぃぃぃ!〟
彼女は長い睫毛でキリッとした細長の目をパチパチさせながら、あたふたしてる僕の目を見つめていた。
「…魔王様。」
彼女はスゥッ…と目を閉じた。
そして、カッ!と目を見開き、バッ!と勢いよく立ち上がった。
彼女の急な行動に、僕はビクッ!となってしまった。
驚きのあまり少しビクついてる僕に対して彼女も『えっ!?』と目をパチクリさせて驚いているようだった。
「わ、悪ふざけはおやめ下さいっ!この数日で一体何があったのですか!?」
〝悪ふざけって何ぃ!?〟
彼女の僕の事を知っている口ぶり、彼女の事はわからないけれど、僕自身に何があったのかは僕も知りたいと思った。
「め、目が覚めると見知らぬ森にいたんだ、普通に自宅で寝たはずなんだけど…此処は日本…じゃないよね?」
「ニホン?見知らぬ森ではありません、此処ら一帯は貴方様の庭じゃないですか!」
僕の真顔に、悪ふざけでも冗談でもない事が彼女に伝わったのかはわからないが、意味不明な事を言う僕に対し違和感を感じたようだ。
「…その口調といい、その怯えた態度といい…まるで魔王様の皮を被った別人のよう…魔族の絶対的な王なのに覇気が全く感じられません…」
〝ん?〟
「ま、魔族!?魔族の王…」
考えないようにはしていたけど、現在の僕の容姿からしてそうなのかなぁって思ってはいた…
マオウ=魔王ってことやんね?(°_°)
「しかしながら、貴方様から微弱ながらですが魔王様の気が感じられます。あの森で魔王様の身に何か起きたのかも知れません…」
どうやら彼女のいう魔王様と僕は別人ではなさそう…
彼女とは初めて会ったはずなのに、見知った懐かしさを感じた。
僕の目を真っ直ぐ見つめる彼女の眼差しは、偽りがないように思えた。
あの森で僕が目を覚ます前に、魔王と言われる僕の身に何かが起きた。
言い換えてみると…あの森で魔王であった僕の身に何かが起きて、僕が目覚めてしまった。
彼女も知り得ない、不測の出来事が起きたのだろう。
「…この魔王城と城周辺には、それらを覆う強力な結界が貼られています。なのでその結界を破らない限り、外部からの侵入は難しいでしょう」
「しかし、この結界は魔王様自ら貼られた高位結界ですので破るのはまず不可能でしょう」
〝魔王が何者かの襲撃を受けて殺害された。これが不測の出来事なんだと僕は思う〟
〝結界は破る事ができないとすれば、襲撃者は内部にいるのではないか?〟
〝襲撃者は魔王は死んだ思っているはず…外見魔王の僕の身は危険極まりないよね!〟
「…しゅ、襲撃した奴が内部にいると思います…よ、よね?」
「ふぅ…」
彼女は一息ついた。
「考えたくもなかったですが、結界が破られない以上、それが最も適した答えかと…」
誰しも仲間を疑いたくはないだろう。
彼女の顔が少し悲しげに見えた。
「ぼ、僕には記憶がないので貴女の仲間の事がわからないのだけれど、魔王って恨まれてました?」
彼女の顔が一瞬歪んだ。
強張ってる。
「魔王様は決して恨まれるような方ではありません。」
「魔王様の配下には忠誠を誓われた兄君もいらっしゃいますし、魔王国は魔王様を慕う者ばかりなので恨まれる訳がありません。」
「お、お兄さんがいるんですね!ま、魔王国では長男?長子?が後を継がないのですか?」
「完全実力主義の魔王国ではあり得ません。」
〝けれど僕は魔王の兄が怪しいと思う〟
〝長男、長子が後継ぎの概念がないと難しいのかなぁ…〟
「魔王様」
「私は魔王様に忠誠を捧げた身。今後、何があろうとも私の忠誠は変わる事はありません」
「襲撃者に魔王様の存在を悟られないよう、参謀兼戦闘メイドの私が配下の皆を召集致します。」
〝うわぁ、メイドさんだぁ♪…戦闘メイドだけどねぇ〟
「魔王様♪襲撃した愚か者を炙り出しましょう♪」
彼女の微笑みに、僕の背中がゾクリとした。
実際は数分、数秒だったかも知れない。
不思議と彼女と対面した時は恐怖心はなかったのだが、驚きと緊張で沈黙が長く感じ、辺りも静まり返っていたのもあって、どれ位の時間が経ったのか僕はわからなくなっていたのだ…
彼女は僕に対して、未だに敬礼?のポーズで向き合っていて、これ以上は彼女の方からのアクションはないと僕は感じたので、勇気を持って声を掛けてみた。
「え、えっと…」
僕は気が弱いのもあり、相手が綺麗な女性なので言葉が詰まってしまう…
情けないようだが、思うように話せないのだ。
〝さっき『お帰りなさいませ』『マオウ様、ご命令を』って発した彼女の言葉が、僕には日本語のように聞こえたので日本語で声を掛けたのだけど、通じるよね?〟
〝彼女の言葉遣いもあり、僕の勝手な想像やけど、彼女はメイドさん的な何かなのかな?〟
彼女は言葉を発することもなく、ジッと次の言葉を待っているかのようだった。
「あ、あの!こ、言葉は通じてます!ですが、ぼ、僕はマオウさんではありません!」
「ぼ、僕は佐々木誠と申しまして、に、日本人です。」
「今はこんな見た目ですが(°_°)」
〝角生えてて目付きが鋭いしぃ、日本人どころか人間にも見えないしぃぃぃ!〟
彼女は長い睫毛でキリッとした細長の目をパチパチさせながら、あたふたしてる僕の目を見つめていた。
「…魔王様。」
彼女はスゥッ…と目を閉じた。
そして、カッ!と目を見開き、バッ!と勢いよく立ち上がった。
彼女の急な行動に、僕はビクッ!となってしまった。
驚きのあまり少しビクついてる僕に対して彼女も『えっ!?』と目をパチクリさせて驚いているようだった。
「わ、悪ふざけはおやめ下さいっ!この数日で一体何があったのですか!?」
〝悪ふざけって何ぃ!?〟
彼女の僕の事を知っている口ぶり、彼女の事はわからないけれど、僕自身に何があったのかは僕も知りたいと思った。
「め、目が覚めると見知らぬ森にいたんだ、普通に自宅で寝たはずなんだけど…此処は日本…じゃないよね?」
「ニホン?見知らぬ森ではありません、此処ら一帯は貴方様の庭じゃないですか!」
僕の真顔に、悪ふざけでも冗談でもない事が彼女に伝わったのかはわからないが、意味不明な事を言う僕に対し違和感を感じたようだ。
「…その口調といい、その怯えた態度といい…まるで魔王様の皮を被った別人のよう…魔族の絶対的な王なのに覇気が全く感じられません…」
〝ん?〟
「ま、魔族!?魔族の王…」
考えないようにはしていたけど、現在の僕の容姿からしてそうなのかなぁって思ってはいた…
マオウ=魔王ってことやんね?(°_°)
「しかしながら、貴方様から微弱ながらですが魔王様の気が感じられます。あの森で魔王様の身に何か起きたのかも知れません…」
どうやら彼女のいう魔王様と僕は別人ではなさそう…
彼女とは初めて会ったはずなのに、見知った懐かしさを感じた。
僕の目を真っ直ぐ見つめる彼女の眼差しは、偽りがないように思えた。
あの森で僕が目を覚ます前に、魔王と言われる僕の身に何かが起きた。
言い換えてみると…あの森で魔王であった僕の身に何かが起きて、僕が目覚めてしまった。
彼女も知り得ない、不測の出来事が起きたのだろう。
「…この魔王城と城周辺には、それらを覆う強力な結界が貼られています。なのでその結界を破らない限り、外部からの侵入は難しいでしょう」
「しかし、この結界は魔王様自ら貼られた高位結界ですので破るのはまず不可能でしょう」
〝魔王が何者かの襲撃を受けて殺害された。これが不測の出来事なんだと僕は思う〟
〝結界は破る事ができないとすれば、襲撃者は内部にいるのではないか?〟
〝襲撃者は魔王は死んだ思っているはず…外見魔王の僕の身は危険極まりないよね!〟
「…しゅ、襲撃した奴が内部にいると思います…よ、よね?」
「ふぅ…」
彼女は一息ついた。
「考えたくもなかったですが、結界が破られない以上、それが最も適した答えかと…」
誰しも仲間を疑いたくはないだろう。
彼女の顔が少し悲しげに見えた。
「ぼ、僕には記憶がないので貴女の仲間の事がわからないのだけれど、魔王って恨まれてました?」
彼女の顔が一瞬歪んだ。
強張ってる。
「魔王様は決して恨まれるような方ではありません。」
「魔王様の配下には忠誠を誓われた兄君もいらっしゃいますし、魔王国は魔王様を慕う者ばかりなので恨まれる訳がありません。」
「お、お兄さんがいるんですね!ま、魔王国では長男?長子?が後を継がないのですか?」
「完全実力主義の魔王国ではあり得ません。」
〝けれど僕は魔王の兄が怪しいと思う〟
〝長男、長子が後継ぎの概念がないと難しいのかなぁ…〟
「魔王様」
「私は魔王様に忠誠を捧げた身。今後、何があろうとも私の忠誠は変わる事はありません」
「襲撃者に魔王様の存在を悟られないよう、参謀兼戦闘メイドの私が配下の皆を召集致します。」
〝うわぁ、メイドさんだぁ♪…戦闘メイドだけどねぇ〟
「魔王様♪襲撃した愚か者を炙り出しましょう♪」
彼女の微笑みに、僕の背中がゾクリとした。
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